定年前の最後の車は、安全性・扱いやすさ・乗り降り・維持費・将来の手放しやすさ、この5条件で選ぶと後悔を減らせます。
50代後半で買う一台は、60代、場合によっては70代まで付き合う車になります。「最後だから憧れをかなえたい」という気持ちを大切にしながら、ローンの完済年齢や年間維持費まで数字で確認しておきましょうね。
定年前の最後の車選びで重視したい5つの条件とは?
定年前の最後の車では、「いま欲しいか」だけでなく「10年後にも無理なく扱えるか」まで考えることが大切です。
一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)が2026年4月14日に公表した「2025年度乗用車市場動向調査」によると、前に所有していた車の平均保有期間は7.2年でした。10年を超えて保有していた人も3割弱に上ります。
さらに、新車の平均購入価格は331万円です。
数百万円を払って7年、10年と乗る可能性があるのですから、定年前の車は「そのとき気に入ればいい」という買い物ではありませんよね。
たとえば58歳で購入すると、平均並みの7.2年乗っただけでも65歳前後になります。
10年なら68歳、12年なら70歳です。
そこで私なら、最後の車候補を次の5条件で確認します。
確認する条件 定年後まで考える理由
安全装備 判断や操作のうっかりを補助してくれる
車体サイズ・視界 駐車や狭い道路での負担が変わる
乗り降りのしやすさ 年齢とともに腰や膝への負担が変化する
維持費 税金・保険・燃料・整備費は退職後も続く
売却・乗り換えのしやすさ 暮らしや身体の変化に対応しやすい
ここで覚えておきたいのは、「最後の車=死ぬまで絶対に乗り換えない車」ではないということです。
58歳で選んだ車が68歳でも快適なら、そのまま乗ればいいでしょう。
一方、大きく感じるようになったり、運転する回数が減ったりしたら、コンパクトな車へ乗り換えて構いません。
私は、最後の車とは「人生最後の一台」と決めつけるより、これからの10年前後を気持ちよく過ごせる一台と考える方が現実的だと思っています。
「最小の車」ではなく「将来も負担にならない最大サイズ」を探す
定年が近づくと、「もう大きな車はいらないから軽自動車で十分かな」と考える人もいるでしょう。
もちろん、それが暮らしに合っているなら良い選択です。
ただし、年齢だけを理由に小さな車へ替える必要はありません。
子どもが独立すると、3列シートや巨大な荷室を使う機会が減る家庭は多いですよね。一方で、定年後に夫婦で高速道路を使って旅行したい人なら、長距離での快適性も捨てたくないところです。
そこでおすすめしたいのが、
「一番小さい車」ではなく「10年後にも負担にならない最大サイズ」を探すこと。
大型ミニバンや大きなSUVの場合、
- スーパーの駐車場で気を使う
- 狭い道ですれ違いに神経を使う
- 洗車が大変になる
- 大径タイヤの交換費用が高くなりやすい
- 燃料代が増えやすい
といった負担が表面化することがあります。
反対に、必要以上に小さくすると「高速道路で長距離を走ると疲れる」「荷物が入らない」と感じる人もいるでしょう。
つまり大切なのは車格ではなく、自分がこれから何に車を使うのかなんですね。
定年前の最後の車はいくらまで?ローンは完済年齢から逆算する
定年前に車を買うなら、車両価格だけでなく「何歳で支払いが終わるのか」を必ず確認しましょう。
JAMAの2025年度乗用車市場動向調査では、新車の平均購入価格は331万円でした。
300万円前後は、現在の新車市場では珍しい価格ではありません。
しかし、同じ300万円でも35歳で購入する場合と58歳で購入する場合では意味が大きく変わります。
ここでは300万円を、頭金・ボーナス払いなし、年3.0%、元利均等返済で借りると仮定してみます。
返済期間 月返済額の目安 総返済額の目安 58歳で借りた場合の完済年齢
3年 約8万7,200円 約314万円 61歳
5年 約5万3,900円 約323万円 63歳
7年 約3万9,600円 約333万円 65歳
10年 約2万9,000円 約348万円 68歳
※年3.0%で計算した概算です。実際の金利、手数料、審査条件、返済額は金融機関や販売会社によって異なります。
10年返済を見ると、月々は約2万9,000円まで下がります。
「3万円なら払えそうだな」と感じますよね。
ところが58歳から10年間なら、完済は68歳です。
月額は軽く見えても、定年後まで固定費を抱える期間が長くなることは忘れてはいけません。
定年前は「月々いくら」より「何歳まで払うか」を見る
販売店でローンを組むときは、「月々○万円」という数字がどうしても目に入りやすいものです。
ですが定年前なら、その横に年齢を書いてみてください。
58歳で5年なら63歳。
7年なら65歳。
10年なら68歳です。
数字に年齢を付けただけなのに、急に現実味が出てきませんか。
定年や再雇用によって収入が変化すれば、現役時代には気にならなかった月3万円、4万円が重く感じられる可能性があります。
しかも定年後には、車以外にも住宅修繕、家電の買い替え、旅行、医療や保険、家族に関する支出などが出てくるでしょう。
ですから私は、定年前の車選びでは値引き額より完済年齢を先に確認するくらいでちょうどいいと考えています。
300万円を5年ローンで買ったら家計はいくら減る?
58歳で300万円を年3.0%、5年ローンで購入すると、月返済額は約5万3,900円です。
年間では約64万7,000円になります。
これだけを見ると、「年収から考えれば払えそう」と判断する人もいるでしょう。
ただし、車には維持費があります。
ローンを払いながら、
- 自動車税
- 自動車重量税
- 自賠責保険
- 任意保険
- ガソリン代
- 車検代
- タイヤ代
- オイルやバッテリーなどの消耗品費
も負担しなければなりません。
だから見るべき数字は、
車両価格ではなく「ローン返済+維持費」です。
300万円の車を買えるかどうかだけではなく、買ったあとも旅行や趣味、日々の暮らしを楽しめるかまで考える。
私は、この「買ったあとの余白」が定年前の最後の車ではとても大切だと思っています。
定年後まで乗る車の年間維持費はいくら?
定年前の最後の車では、購入価格と同じくらい年間維持費を重視したいところです。
三菱UFJカードの自動車維持費に関する記事では、年間1万km走行、月極駐車場1万円など一定の条件を置いた場合、年間維持費の目安は次のように試算されています。
- 軽自動車:約37万~44万円
- 小型自動車:約44万~53万円
- 普通自動車:約52万~61万円
任意保険、ガソリン価格、駐車場代、車検内容などで実際の金額は大きく変わります。
自宅に駐車場があれば、この試算より負担が軽くなることもあるでしょう。
一方で、大径タイヤを履くSUVや高性能車、燃費の低い車などは消耗品や燃料費が大きくなることがあります。
ここで重要なのは「軽なら年間○万円」と数字をそのまま自分に当てはめることではありません。
購入前に、自分の条件で一年分の維持費を計算してみることなんですね。

300万円・5年ローンでは車関連支出が年間100万円を超える場合も
先ほどの300万円、年3.0%、5年ローンでは、年間返済額が約64万7,000円でした。
仮に小型自動車の維持費を年間44万~53万円とすると、単純合計では、
年間約109万~118万円
になります。
月平均なら約9万1,000~9万8,000円です。
もちろん、先ほどの維持費モデルには月1万円の駐車場代が含まれていますから、自宅駐車場なら条件は変わります。
それでも、「ローンは月5万円台だから大丈夫」と考える場合と、「車全体で月9万円前後になるケースもある」と理解している場合では、購入判断が変わってきますよね。
定年前の一台では、月々のローンを小さく見せることより、車に年間いくら流れていくのかを把握する方が大切です。
車検20万円と300万円の買い替えを単純比較しない
車検前になると、
「今度20万円くらいかかりそう。それなら買い替えた方が得かな」
と思うことがありますよね。
ただ、ここには数字の錯覚があります。
20万円の支出を避けるために300万円の車へ買い替えるなら、当然ながら支出規模そのものは大きくなります。
もちろん、新しい車へ替えれば安全性能や燃費が向上し、故障の心配が減る可能性があります。
ですから、車検代だけで判断するのではなく、
- 現在の車を今後何年乗れるのか
- 大きな修理が近づいていないか
- 安全装備に不足を感じていないか
- 買い替え後に維持費が下がるのか
- 新しいローンを何歳まで払うのか
まで比べたいところです。
私はこれを「次回車検比較」ではなく「今後5年総額比較」と考えています。
現在の車へ整備費をかけて5年乗る場合と、新しい車へ替えて5年間乗る場合。
この2つを比べると、「車検が高いから何となく買い替える」という迷いがかなり整理しやすくなりますよ。
定年前の最後の車で安全装備と乗り降りはどう確認する?
定年後まで乗るなら、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置など、安全運転を支援する機能の優先順位を上げたいところです。
国土交通省は2017年から、高齢運転者の事故防止などを目的として、安全運転サポート車「セーフティ・サポートカー(サポカー)」の普及に取り組んできました。
さらに2026年7月24日には、対象装置を拡大した「サポカー2.0」の方針を公表しています。
サポカー2.0では、これまでの安全技術に加えて、ドライバーモニタリングシステムなど、より高度な先進安全技術を対象に広げる考えが示されました。
定年前に購入し、10年前後乗ることを考えるなら、安全技術の世代も無視できないポイントですよね。
安全装備は「付いているか」だけでは足りない
安全装備には、たとえば次のようなものがあります。
- 衝突被害軽減ブレーキ
- ペダル踏み間違い時加速抑制装置
- 車線逸脱警報
- 車線維持支援
- バックカメラや周囲確認カメラ
- 後側方車両を知らせる機能
- 運転者の状態を確認する機能
ただし、これらは運転を完全に車任せにするものではありません。
天候、道路状況、速度、対象物などによって作動条件や限界があります。
ですから私は、安全装備を「事故を起こさなくしてくれる魔法」ではなく、自分の確認を横から支えてくれるもう一組の目くらいに考えるのがよいと思っています。
また、中古車の場合は特に注意が必要です。
同じ車名でも、年式やグレードによって安全機能が異なる場合があります。
「この車種なら付いているはず」と思い込まず、購入する現車の装備を確認してくださいね。
10年後を考えるなら「0~100km/h」より「0~1歩目」
車の記事では、加速性能や最高出力が注目されがちです。
もちろん走りが好きな人にとっては大切な魅力ですよね。
しかし定年前の最後の車では、私はもう一つ見てほしい数字があります。
それが「0~1歩目」です。
つまり、車から降りて最初の一歩を出すまでが楽かどうか。
座面が低すぎるスポーツカーなら腰を深く落とす必要があります。
反対に背の高いSUVでは、乗り込む際に足を大きく持ち上げる車もあります。
58歳では気にならなかった数センチが、68歳になると気になることもあるでしょう。
試乗するときは一度乗って終わりにせず、できれば何度か乗り降りしてみてください。
そして、
「これを10年後の自分も自然にできそうかな」
と考えてみる。
定年前の最後の車では、スペック表には載らない大切な試乗ポイントです。
視界と駐車のしやすさも安全装備と同じくらい大切
カメラやセンサーが充実していても、運転席に座ったときに車体感覚をつかみにくければ、毎日の運転で緊張することがあります。
試乗では、
- 右左折で歩行者を確認しやすいか
- フロントの左右が見やすいか
- 後方を振り返ったとき見えやすいか
- 狭い駐車場へ入れやすいか
- 車幅をつかみやすいか
も見てみてください。
先進装備と自分自身の見やすさ。
この両方がそろって初めて「扱いやすい安全な車」に近づくと私は考えています。
定年前の最後の車は軽・コンパクト・SUVのどれがいい?
結論から言えば、老後だから軽、最後だから高級SUVという決め方ではなく、定年後の使い方から逆算するのが正解です。
車のカテゴリーそのものに正解はありません。
近所の買い物や通院が中心なら、軽自動車やコンパクトカーの取り回しやすさは魅力です。
一方、定年後に夫婦で遠くへ旅行したい人なら、高速道路での疲れにくさや乗り心地も重要になります。
キャンプや釣り、雪道を走る機会が多いならSUVが候補になるでしょう。
軽自動車が向いている人
近距離中心で、狭い道路や駐車場を頻繁に使う人には軽自動車が候補になります。
先ほど紹介した一定条件での維持費試算でも、軽自動車は約37万~44万円と、小型車や普通車より低い水準でした。
車体サイズも小さく、日常の取り回しでは楽に感じる人が多いでしょう。
ただし高速道路をよく走る人は、購入前に実際の速度域での乗り心地やシートの疲れにくさ、荷室容量などを確認したいところです。
コンパクトカーが向いている人
「軽ほど小さくなくてもいいけれど、ミニバンほど大きな車はいらない」
そんな人にはコンパクトカーが使いやすいでしょう。
街中で扱いやすく、夫婦での旅行にも使いやすい車種が多いため、子育て時代にミニバンへ乗っていた人が一段階だけサイズダウンする選択としても自然です。
定年前から定年後へ生活スタイルが変化しても対応しやすい、いわば大きすぎず、小さすぎない中間解ですね。
SUVが向いている人
SUVが好きなら、年齢だけを理由に諦める必要はないと私は考えています。
旅行、アウトドア、雪道、荷物を積んでの遠出などを続けたい人には、SUVの使い勝手が暮らしに合うことがあります。
ただし購入前に確認してほしいのが、タイヤです。
車両価格や燃費は比較しても、「純正タイヤ4本はいくらなのか」まで確認する人は意外と少ないんですね。
特に大径タイヤは、数年ごとの交換でまとまった金額になる場合があります。
販売店で、
「この純正サイズのタイヤを4本交換すると、今ならだいたいいくらですか」
と聞いてみてください。
定年後の家計では、毎月数千円の差だけでなく、数年ごとにまとまって来る支出を把握することがとても重要です。
最後の車は新車と中古車のどちらがいい?
10年前後の長期保有を考えるなら、新車だけでなく、安全装備が充実した比較的新しい中古車まで含めて比較すると選択肢を広げられます。
JAMAの2025年度乗用車市場動向調査では、前保有車全体の平均保有期間は7.2年、新車では7.3年でした。
10年超保有する人も3割弱います。
つまり定年前の車選びでは、「今日安く買えるか」だけでなく、買った時点からあと何年付き合えそうなのかを見る必要があるわけですね。
新車は安全装備と長期保有の計画を立てやすい
新車の良さは、新しい世代の安全装備を選びやすく、購入時点から車歴が始まることです。
保証期間や消耗品の状態も把握しやすいため、10年前後乗る計画を立てやすいでしょう。
一方で価格は高くなりやすいため、
「最後の車だから」
という言葉で予算を膨らませすぎないことが大切です。
新車だから500万円でも安心、というわけではありません。
安全性が高くても、定年後の支払いが家計を圧迫するようでは別の不安が生まれてしまいます。
中古車は価格だけでなく「残りの時間」を見る
中古車には、購入価格を抑えやすいメリットがあります。
借入額を少なくしたり、現金を手元に残したりできるのは、定年前には大きな意味がありますよね。
一方で長期保有するなら、
- 初度登録年
- 走行距離
- 整備記録
- 保証内容
- タイヤやバッテリーなどの状態
- 衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備
- 購入後数年間で予想される消耗品交換
まで確認したいところです。
私なら、中古車では「100万円安い」という現在価格だけでなく、購入後5年間にいくら整備費がかかりそうかも販売店へ尋ねます。
安く買えても、直後にタイヤ、バッテリー、ブレーキ、車検と重なれば、印象は変わりますからね。
憧れの旧車やスポーツカーは「生活車」と分けて考える
定年を前に、
「若いころ欲しかったスポーツカーに一度は乗りたい」
と思う人もいるでしょう。
私は、その気持ちを無理に封印する必要はないと思っています。
車は単なる移動手段ではなく、出かけるきっかけや趣味にもなります。
ただし古い車では、最新世代の衝突被害軽減ブレーキや踏み間違い抑制装置を備えていない場合が多く、部品供給や整備費も新しい車とは条件が異なります。
そのため、
毎日の買い物や通院まで担う「生活の一台」なのか、維持や整備も含めて楽しむ「趣味の一台」なのか
を分けて考えると判断しやすいでしょう。
将来の中古価格が上がるかどうかを当てにして予算を組むのはおすすめしません。
値上がりしたらうれしい、くらいに考えておく方が安心です。
定年前の最後の車はどんな順番で決めればいい?
私見ですが、定年前の最後の車は、「定年後の暮らし→予算→完済年齢→維持費→安全性→サイズ→最後に好きかどうか」の順で考えると迷いが減ります。
少し夢のない順番に見えるでしょうか。
でも、私はむしろ逆だと思っています。
先に安心できる範囲を決めてしまえば、その中では思い切り好きな車を選べるからです。
まず「定年後に何をしたいか」を決める
最初に車種を選ばないことがポイントです。
定年後に、
「夫婦で月1回は旅行したい」
「近所の買い物と通院が中心になる」
「キャンプを続けたい」
「スポーツカーで休日を楽しみたい」
など、車を使って何をしたいのかを書き出します。
車選びは車から始めるのではなく、定年後の一日の過ごし方から始めるんですね。
これだけで必要な車格はかなり変わります。
次に「車を買ったあと残したいお金」を決める
「いくらの車が買えるか」より先に、
「購入後にどれだけ余裕を残しておきたいか」
を考えます。
退職後も旅行を楽しみたい。
住宅修繕用のお金を残したい。
急な出費に対応できる現金を持っておきたい。
そうした希望を確保してから、車に使える上限を決めます。
私は、車を買って夢を使い切るのではなく、車を買ったあとも夢を楽しめる予算にすることをおすすめします。
ローンを使うなら完済年齢を書き出す
58歳で5年なら63歳。
7年なら65歳。
10年なら68歳。
返済期間を「5年」「7年」とだけ見るのではなく、自分の年齢へ変換してください。
その年齢のとき、働いているのか。
年金生活へ移っているのか。
住宅ローンなど別の支払いが残っているのか。
ここまで考えると、自分に合う返済期間が見えやすくなります。
試乗では10年後の自分になってみる
試乗では加速や乗り心地だけでなく、
「スーパーへ週3回行くとしたら?」
「70歳近くなっても駐車しやすい?」
「夫婦で3時間走ったら疲れない?」
「何度も乗り降りしても苦しくない?」
と考えてみてください。
カタログは今日の車を説明してくれますが、10年後のあなたとの相性までは書いてくれません。
そこを想像するのが、最後の車選びでは重要なんですね。
条件を通過した車の中から「それでも欲しい一台」を選ぶ
安全で、維持できて、扱いやすい。
ここまでクリアしたら、最後は気持ちで選んでいいと私は思っています。
駐車場に止まっている姿を見てうれしい。
休日になると少し遠くまで出かけたくなる。
洗車するのが苦にならない。
そんな感情も、長く乗る車には大切です。
欲しい気持ちを我慢するのではなく、安心して「欲しい」と言える条件を先につくる。
それが定年前の車選びで、いちばん後悔しにくい順番ではないでしょうか。
定年前の「最後の車」で本当に大切なのは変更できること
ここからは私自身の考えですが、最後の車選びで意外と見落とされるのが、未来の自分が考えを変えられる余地です。
JAMAの2025年度乗用車市場動向調査では、今後「保有をやめる予定」とした割合は全体で1割で、高齢期ではその意向が高い傾向も示されています。
年齢を重ねれば、車との付き合い方は変わります。
58歳では年1万km走っていても、68歳では5,000kmになるかもしれません。
夫婦旅行へ頻繁に出かけていた人が、近所中心になることもあるでしょう。
住む場所が変わる可能性もあります。
そう考えると、「最後だから一生乗れる一台を決めなければ」と自分を追い込む必要はありません。
最後の車とは、未来を固定する車ではなく、これからの10年を楽しめる車。
私はそう考えています。
58歳で買った車が68歳でも快適なら、そのまま乗る。
大きく感じるようになれば小型車へ替える。
運転する必要がなくなれば手放す。
それは失敗ではありません。
むしろ、自分の身体や暮らしに合わせて判断を変えられることこそ、安全で豊かなモーターライフだと思います。
「最後だから高級車」も「年だから軽」も一度外してみる
「人生最後の車なら、一度くらい高級車に」
「もう定年だから軽で十分」
どちらも気持ちはよく分かります。
ただ、その言葉をいったん外してみてください。
定年後に全国を旅行するなら、長距離で疲れにくい車へお金を使う価値があるでしょう。
一方、週2~3回の近所の買い物が中心なら、大型車の維持費を払い続けるメリットは小さくなるかもしれません。
スポーツカーで休日を楽しみたい人。
SUVでアウトドアへ行きたい人。
コンパクトカーで夫婦旅行を楽しみたい人。
それぞれで正解は違います。
「何に乗るべきか」より、「その車で定年後の時間をどう過ごしたいか」。
ここから考えると、最後の車はずっと選びやすくなりますよ。
まとめ|定年前の最後の車は「払える・扱える・楽しめる」で選ぼう
定年前の最後の車を選ぶなら、安全装備、扱いやすいサイズ、乗り降り、年間維持費、将来の乗り換えやすさを確認しましょう。
JAMAが2026年4月14日に公表した2025年度乗用車市場動向調査では、新車の平均購入価格は331万円、前保有車の平均保有期間は7.2年でした。
58歳で購入すれば、平均的な保有期間でも65歳前後まで乗る計算になります。
10年なら68歳です。
だからこそ、定年前の車選びは「いまの自分」に合わせるだけでは足りません。
ローンを利用するなら月返済額だけでなく完済年齢を確認し、維持費まで含めた年間負担を見る。
試乗では走りだけでなく、視界、駐車、乗り降りまで確かめる。
そして最後に、「それでもこの車に乗りたいか」と自分へ聞いてみてください。
買える車ではなく、買ったあとも楽しく暮らせる車を選ぶ。
安全に扱える。
定年後も無理なく維持できる。
10年後にも乗り降りしやすい。
必要なら小さな車へ乗り換えられる。
そして駐車場に止まっている姿を見ると、「今日はどこへ行こうかな」と少し気持ちが明るくなる。
私は、この条件が重なる一台こそ、定年前から定年後まで長く付き合いやすい「最後の車」だと考えています。
よくある質問
定年前に最後の車を買うなら何歳がいいですか?
一律に何歳が正解とは言えません。
現在の車の状態、次回車検、定年予定年齢、定年後の収入、ローン完済年齢をまとめて確認しましょう。特にローンを利用するなら、「何歳で買うか」より「何歳で支払いが終わるか」が重要です。
58歳で300万円の車を買うならローンは何年がいいですか?
年3.0%、頭金・ボーナス払いなしの概算では、5年返済なら月約5万3,900円で63歳ごろ完済、7年返済なら月約3万9,600円で65歳ごろ完済します。
どちらが適するかは、定年年齢や再雇用後の収入、貯蓄、住宅費などによって異なります。ローン返済だけでなく、年間維持費を足したうえでも家計に余裕が残るか確認してください。
定年後の最後の車は軽自動車が一番いいですか?
必ずしも軽自動車が最適とは限りません。
買い物や通院など近距離中心なら、維持費や取り回しの面で有力です。一方、高速道路を使った旅行が多ければコンパクトカーやSUVなどが合う人もいます。
「老後だから軽」と決めるのではなく、定年後にその車で何をしたいのかから選びましょう。
モーターライフ・アドバイザー 杉原健一



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