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定年後に車を維持できない?手放す前に確認したい家計の判断基準

車維持費
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定年後に車を維持できないと感じても、すぐ手放す必要はありません。家計・修理・ローン・手元資金・必要性の5基準で判断すると答えが見えやすくなります。

長年ディーラーの店頭で車選びの相談に向き合ってきた私が特に大切だと感じるのは、「今払えるか」ではなく、退職後も3年間、無理なく持ち続けられるかという視点です。

定年後に車を維持できない?まず確認したい家計5基準

「年金生活になったら、車なんて持てないのでは」と不安になりますよね。

けれども、年齢だけで車を手放す必要はありません。まずは次の5基準を確認してみましょう。

家計5基準 維持しやすい状態 見直しを考えたい状態
1. 毎月の家計 車代を払っても黒字 車代で赤字になる
2. 車の状態 消耗品交換が中心 高額修理が続く
3. ローン 完済済み、または無理なく返済 退職後も重い返済が続く
4. 手元資金 修理後も生活予備費が残る 修理すると貯蓄が大きく減る
5. 車の必要性 買い物・通院などで頻繁に使う 利用が少なく代替交通がある

この5項目のうち、家計赤字・高額修理・重いローンが同時に重なるなら、今の車の持ち方を見直す優先度は高いと私は考えています。

反対に、ローンがなく、整備状態も良く、生活に欠かせない車なら、年式が古くても乗り続ける合理性は十分にあります。

つまり判断は「定年したから手放す」ではありません。

今の車を持ったあとにも生活の安心が残るかで決めるのが基本です。

まず年間支出を書き出してみましょう。

たとえば家計確認用のモデルケースとして、普通車を年間1万kmほど使い、

  • 燃料費:12万円
  • 任意保険:8万円
  • 自動車税など:4万円
  • 車検・整備の年平均:10万円
  • タイヤ・バッテリーなど:5万円

と置けば、年間約39万円です。

これは公的統計の平均額ではなく、家計を考えるための筆者試算です。実際には車種、燃費、走行距離、保険条件、整備内容によって大きく変わります。

年間39万円なら月平均は約3万2,500円です。

さらに月2万円の駐車場を借りていれば年間24万円が加わり、合計は約63万円になります。

「車は高い」と漠然と考えるより、

自分の車は年間いくらなのか

を数字にすることが最初の一歩なんですね。

私が店頭でお客様とお話ししていた頃も、買い替えへの不安が大きかった方ほど、実際の支出を書き出すと判断が変わることがありました。

「思ったほど高くなかった」という方もいれば、「ローン以外にこんなに払っていたのか」と初めて気づく方もいました。

不安は、数字が見えないほど大きくなります。

定年後の車こそ、感覚ではなく一年分の家計表にしてみましょうね。


車を手放すか乗り続けるかは「今後3年間の総額」で比べる

定年後の車で迷ったら、過去にいくら払ったかではなく、これから3年間でいくら必要かを比べてください。

長く乗った車ほど、「ここまで車検も通してきたのだから、今さら手放すのはもったいない」と感じますよね。

ただし、過去の支出は戻ってきません。

これからの家計で比べたいのは、次の3択です。

  • 今の車を3年間乗り続ける
  • 維持費の安い車へ乗り換える
  • 車を手放して公共交通やタクシーなどを使う

たとえば、ローンのない車の年間維持費を39万円と仮定します。

3年間なら117万円です。

さらに筆者試算として、次回車検15万円、タイヤ交換8万円、予備修理費20万円を見込めば、3年間で約160万円になります。

一方、今の車を50万円で売り、250万円の車へ買い替えるなら、車両価格だけでも差額200万円です。

そこへ登録時の諸費用や、新しい車の維持費が加わります。

この比較をすると、「古い車だから新しい車の方が得」とは限らないことが分かりますよね。

ディーラー時代にもよくあったのが、15万円前後の車検見積もりを見て、「それなら買い替えた方が得ですよね」と考えてしまうケースです。

でも15万円を払えば、その後2年間大きな故障なく使える状態なら、単純に年7万5,000円です。

その15万円を避けるために200万円、300万円を追加で使うのであれば、家計全体では支出が増える場合があります。

逆に、車検を通しても間もなく高額修理が予想される場合は話が変わります。

エアコン、足回り、電装品などで修理が重なり、さらに次の整備費まで大きくなりそうなら、乗り換えを比較する意味が出てきます。

そこで車検見積もりを取るときには、

「あと3年乗るなら、近いうちに交換が必要になりそうな部品はありますか?」

と整備担当者に聞いてみてください。

私はこの質問がとても大切だと思っています。

今回の車検代だけを見るのではなく、3年間の車の健康状態を先回りして考えられるからです。

そして「車を手放す場合」も支出ゼロではありません。

電車、バス、タクシー、レンタカー、カーシェアなどを使えば移動費がかかります。

仮に月1万円なら年間12万円、3年間で36万円です。

ですから比較すべきなのは、

車の維持費 対 0円

ではありません。

車を持つ場合の総移動費 対 車を持たない場合の総移動費

なんですね。

さらに一歩進めるなら、年間走行距離とのバランスも見てみましょう。

年間60万円かけて1万km乗るなら、単純計算で1kmあたり60円です。

同じ年間60万円でも、2,000kmしか乗らなければ1kmあたり300円になります。

もちろん車には、通院、家族の送迎、趣味、旅行など距離だけでは測れない価値があります。

それでも「ほとんど乗っていないのに固定費だけ残っていないか」を知るには有効な見方ですよ。


車検・13年超・走行距離は手放す理由になる?

結論から言えば、車検が来た、13年を超えた、10万kmを超えたという一つの数字だけで手放す必要はありません

自家用乗用車の車検は、一般的には新車登録時から初回3年、その後は2年ごとに継続検査を受ける仕組みです。

そのため5年、7年、9年といった節目は、整備と買い替えを考えやすい時期になります。

ただ、車検代が高く見えても、その中身は確認したいところです。

ブレーキやタイヤ、バッテリーなど、いずれ交換する消耗品が一度に重なれば金額は上がります。

交換後しばらく使える部品なら、「今回高かった=車そのものが寿命」とは限りません。

年式が古くなると税負担が変わる車もあります。

軽自動車検査協会が案内する自家用軽自動車の継続検査時の自動車重量税は、通常の場合2年分6,600円、初度検査から13年経過で8,200円、18年経過で8,800円です。エコカー減税対象車などでは扱いが異なるため、実際の税額は車両ごとの確認が必要です。経験教会+1

2025年11月からは、13年・18年経過車の重課適用時期に関する扱いも変更されているため、古い車では車検を受ける時期も含め、軽自動車検査協会の「次回自動車重量税額照会サービス」などで確認すると安心です。Boo+1

普通車の自動車税(種別割)については、東京都主税局の税率表では、2019年10月1日以降に初回新規登録された自家用乗用車の場合、1.0L以下が年2万5,000円、1.0L超1.5L以下が3万500円、1.5L超2.0L以下が3万6,000円です。東京税務署+1

ここで気をつけたいのは、税額が数千円上がったことだけを理由に、数百万円の車へ買い替えないことです。

年間数千円の負担増を避けるために100万円、200万円を追加で使えば、家計全体では逆効果になることがあります。

走行距離も同じです。

「10万kmになったら寿命」という一律の線引きはできません。

車種、使われ方、整備履歴、保管環境によって状態は大きく違います。

10万kmを超えていても丁寧に整備された車がありますし、それより少ない走行距離でも高額修理が必要になる車はあります。

判断するときは、

年式や距離ではなく、これから3年間に予想される修理費

を見てください。

「13年になった」「10万kmになった」は買い替え命令ではなく、一度じっくり健康診断をする合図くらいに考えるのがよいでしょう。

※画像はAIによるイメージ

定年後も車のローンが残る場合は「完済年齢」を見る

定年前後で特に注意したいのが、退職後まで車のローンが続くケースです。

現役時代には負担できていた月3万円でも、退職後には同じ3万円の重みが変わりますよね。

月3万円の返済が5年間続けば、年間36万円です。

そこへ年間40万円前後の維持費が加われば、筆者試算では車関連支出が年間70万円を超える可能性があります。

定年後は、ローンと維持費を別々に考えず、

ローン+維持費

で見てください。

さらに私は、「毎月いくらか」以上に何歳で完済するのかを確認することをおすすめします。

55歳から10年ローンなら65歳。

60歳から7年なら67歳です。

その期間に故障や次の買い替えが重なると、古い車の支払いと新しい車の費用が重なる可能性もあります。

返済期間を延ばして月額だけを小さくすると、契約時には楽に感じます。

けれども退職後の家計では、「支払いが長く残ること」そのものが自由度を下げる場合があるんですね。

また、ローン中の車を売却する場合には契約内容を確認してください。

ディーラーや信販会社を利用したローンでは、完済まで販売会社や信販会社が所有者として登録される「所有権留保」になっているケースがあります。

この場合、売却時に残債精算や所有権解除の手続きが必要になることがあります。

銀行系マイカーローンなどでは本人が所有者になっている場合もあるため、車検証だけでなくローン契約書も確認しましょう。

そして注意したいのが、残債を次の車へ持ち越す買い方です。

たとえばローン残高が100万円、現在の車の売却額が60万円なら40万円不足します。

その状態で300万円の車へ乗り換えれば、実質的には340万円分の資金をどうするか考えなければなりません。

これは定年前後の家計では、かなり慎重に見たい部分です。

一括返済も同様です。

退職金などで100万円のローンを一括返済できたとしても、その結果として手元現金が100万円減ります。

退職後には住宅設備、家電、医療・介護関連の出費、冠婚葬祭など、車以外にもまとまった支出が発生する可能性があります。

ですから、

ローンが消える安心と、現金が残る安心の両方を比べる

ことが大切です。

「借金がなくなったから安心」だけではなく、返済後にも生活を守る現金が残っているかを確認してくださいね。


定年後に車を手放す・小さくする・維持する判断方法

ここまでの5基準と3年間の総額を使えば、選択肢はかなり整理できます。

私は大きく、次の3つに分けて考えています。

今の車を維持する

ローンがなく、故障も少なく、生活に頻繁に使い、車代を払ったあとも家計が黒字なら、急いで手放す理由はありません。

15年乗った車であっても、整備状態が良く用途に合っているなら、買い替えないことが立派な選択になります。

軽自動車やコンパクトカーへダウンサイジングする

今の車は必要だけれど、車格が生活に合わなくなった場合です。

子どもが独立して大型ミニバンの3列目をほとんど使わなくなったり、退職して年間走行距離が減ったりすることはありますよね。

そうした場合、より小さな車へ替えることで燃料、タイヤ、自動車税などを抑えられる可能性があります。

ただし、「維持費が安くなるから買い替える」という判断だけでは不十分です。

たとえば今の車の年間維持費が50万円、新しい小型車が35万円なら、差額は年15万円です。

ところが買い替えに実質150万円かかるなら、維持費差だけで単純計算すると10年分になります。

つまり、

維持費が安くなることと、買い替えた方が家計に得であることは別問題

なんですね。

私はディーラー勤務時代、ここを誤解されるケースを何度も見てきました。

車検や修理の20万円を避けるために200万円以上を使うと、毎月の支払いは新しくなっても、家計全体は軽くならないことがあります。

もちろん安全装備が必要、故障リスクを下げたい、運転しやすい小さな車にしたいという目的があるなら話は違います。

ダウンサイジングとは「格を下げる」ことではありません。

これからの暮らしのサイズに車を合わせ直すことだと私は思っています。

車を手放す

利用頻度が非常に低く、公共交通やタクシーなどで代替でき、車を持つことで毎年大きく貯蓄が減るなら、手放す効果は大きくなります。

特に確認したいのは、「車を持った結果、年間いくら赤字になるのか」です。

たとえば車以外の生活費を差し引いた余裕が年間30万円なのに、車へ50万円かかるなら、毎年20万円を貯蓄から補うことになります。

5年間なら100万円です。

そこへ高額修理が一度入れば、取り崩しはさらに増えます。

反対に年間80万円の余裕があり、車に40万円使っても40万円残るなら、同じ40万円でも家計への影響はまったく違います。

つまり、

車を維持できるとは、車代を払えることではなく、払ったあとも生活の余白が残ること

なんですね。


私が考える「定年後に車を手放す本当のタイミング」

ここからは、長年ディーラーの店頭で車選びや買い替え相談に向き合ってきた経験を踏まえた私見です。

私は、車を手放す本当のタイミングは「13年経ったとき」でも「10万kmを超えたとき」でもないと考えています。

車から得られる便利さや楽しさより、家計と気持ちの負担が大きくなったときです。

車には数字だけでは表せない価値があります。

地方ではスーパーや病院へ行くための生活必需品になることがあります。

夫婦で温泉へ出掛けるための車かもしれません。

釣りやキャンプ、写真撮影を楽しむための相棒という方もいますよね。

離れて暮らす家族に会いに行く大切な足ということもあるでしょう。

ですから「定年したから車は贅沢」と一律に考える必要はありません。

一方で、

「次の車検はいくらになるだろう」

「また壊れたらどうしよう」

「ローンはまだ何年あるのだろう」

と車を持つこと自体が毎月の不安になっているなら、所有方法を変える合図かもしれません。

そんなとき私は、3年後の自分を想像する方法をおすすめします。

今の車をあと3年持つとして、

  • 総額でいくら必要か
  • 払ったあとにも生活資金は残るか
  • その3年間、この車で何をしたいか

を書き出してみてください。

最後の一つは家計簿らしくない質問ですよね。

でも私は、ここがとても大事だと思っています。

目的がはっきりしている車なら、維持費を払う意味があります。

反対に「何となく昔から持っているだけ」で年間数十万円を払っているなら、一度見直す価値があります。

そしてもう一つ覚えておいていただきたいのが、

「高く売れること」と「家計が得をすること」は同じではない

ということです。

100万円で売れる車を今手放し、その後300万円の車を買えば、単純な車両価格差だけでも200万円です。

一方、査定30万円の古い車でも、大きな故障なくあと5年乗れるなら、総支出では有利になる場合があります。

販売や買取の世界では、「今なら高く売れる」「次の車検前がおすすめ」といった情報を目にすることがあります。

それらが間違いとは限りません。

ただし定年後の家計で最優先したいのは査定額ではなく、

最終的に自分の財布からいくら出ていくのか

です。

元ディーラー勤務の立場から見ても、定年前後ほど「次に何を買うか」の前に「今の車を使い切れるか」を考える価値があると思っています。

ローンがなく、故障リスクも低く、生活に必要なら、そのまま乗る。

大き過ぎるなら、小さくする。

ほとんど必要なくなったなら、手放す。

この順番で考えると、焦って結論を出さずに済みますよ。


定年後に車を維持できないかは「払った後の安心」で判断しよう

定年後に車を維持できるか不安になったら、まず家計・車の状態・ローン・手元資金・必要性の5基準を確認してみましょう。

そのうえで、今後3年間について「乗り続ける」「小さな車へ替える」「手放す」の総額を比べます。

古い車でも、ローンがなく故障も少なく、生活に必要なら維持する合理性があります。

反対に、高額修理とローン返済が重なり、ほとんど利用しておらず、毎年貯蓄を取り崩しているなら、見直す意味は大きいでしょう。

私が最もお伝えしたいのは、

「払える」と「維持できる」は違う

ということです。

車代を払ったあとにも、生活費があり、突然の出費に備える現金があり、趣味や旅行を楽しむ余白も残っている。

そんな状態なら、安心して車を持ち続けやすいですよね。

定年後の車選びで目指したいのは、一番安い方法ではありません。

これからの生活を守りながら、自分に必要な移動と車の楽しみを残せる方法です。

「定年したから手放す」ではなく、「これからの暮らしに、この車はどんな役割を持つのか」。

そこからゆっくり考えてみてくださいね。


よくある質問

定年後に車を維持できないと思ったら、最初に何を確認すればいいですか?

ローン、任意保険、税金、燃料、車検・整備、駐車場などを含めた年間支出を計算してください。

そのうえで退職後の収入と生活費を比べ、車代を払ったあとにも年間黒字と生活予備費が残るかを見るのが基本です。

10年以上乗った車は手放した方がいいですか?

年数だけで決める必要はありません。

ローンがなく、状態が良く、高額修理の見込みも小さく、生活に必要なら、買い替えない方が総支出を抑えられる場合があります。

今後3年間の修理費と買い替え総額を比較して判断しましょう。

定年後もローンが残っている車は売れますか?

売却できる場合はありますが、ローン契約によって手続きが異なります。

所有権留保がある場合は残債精算や所有権解除が必要になることがあるため、まず車検証と契約書を確認し、売却額と残債との差額まで把握しておきましょう。

モーターライフ・アドバイザー 杉原健一

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