定年前の58~60歳で新車を買うなら、まず10年保有を基本計画にし、70歳前後で車と運転の状態を再点検する考え方が現実的です。
日本自動車工業会の最新「2025年度乗用車市場動向調査」でも、前の車を10年超保有した人は3割弱。大切なのは「10年もつ車」ではなく、10年後まで無理なく維持し、安全に扱える車を選ぶことなんですね。
定年前に買った車は何年乗る?5年・7年・10年・13年を比較
定年前に車を買うと、「この車は何歳まで乗ればいいのだろう」と迷いますよね。
この記事では分かりやすく、58~60歳ごろに新車を購入するケースを基本モデルとして考えていきます。
最初に結論を整理すると、目安は次のようになります。
保有期間 60歳で購入した場合 向いている考え方
5年 65歳 新しさや保証を重視し、早めに乗り換えたい
7年 67歳 車の状態や売却価値を見ながら乗り換えたい
10年 70歳 購入費を長く使い、買い替え回数を抑えたい
13年 73歳 長期保有を前提に税金や修理費も受け入れる
15年以上 75歳以降 車と自分の状態を毎年確認しながら乗り続ける
この中で、定年前後の方に私がまず検討してほしいのが10年です。
なぜなら、現在の日本では10年超の長期保有が決して特殊ではなくなっているからです。
一般社団法人日本自動車工業会が2026年4月に公表した「2025年度乗用車市場動向調査」では、前に保有していた乗用車の平均保有期間は7.2年でした。
さらに「10年超」は3割弱を占めています。
前保有車が新車だった人に限ると平均保有期間は7.3年で、10年超は同じく3割弱でした。
2023年度調査では、平均保有期間7.2年、新車7.7年、10年超2割強だったため、調査方法などの違いには注意が必要ですが、長く乗る人が珍しくないことは読み取れます。
つまり、「新車は5年や7年で買い替えなければならない」という決まりはありません。
60歳で購入して70歳まで10年乗る。
58歳で買って68歳まで10年乗る。
こうした計画は、現在の保有実態から見ても十分検討できる範囲なんですね。
ただし、ここで忘れたくないことがあります。
「10年間乗れる」と「10年間乗るのが自分にとって得策」は別の話です。
走行距離、整備費、税金、生活環境、そして10年後の自分の運転のしやすさまで考えて、保有期間を決める必要があります。
定年前の車選びでは、単純に「何年もつ?」ではなく、「何歳まで、この車と無理なく付き合える?」と考えるほうが答えを見つけやすいですよ。
60歳で新車を買って70歳まで10年乗るのは現実的?
適切な点検・整備を続けることを前提にすれば、60歳で新車を買い、70歳まで10年間使用する計画は十分現実的です。
車の寿命には、「新車登録から10年になったら終了」といった明確な線引きはありません。
一般財団法人自動車検査登録情報協会が2023年10月に公表した「令和5年版 わが国の自動車保有動向」では、2023年3月末時点の乗用車の平均車齢は9.22年でした。
平均車齢は前年より0.19年延び、この時点で31年連続の高齢化、29年連続の過去最高となっています。
さらに同資料では、乗用車の平均使用年数は13.42年でした。
ここで、「平均使用年数が13年以上だから、自分の車も13年以上必ず乗れる」と考えるのは少し早いです。
平均値はあくまで市場全体の傾向であり、実際の寿命は車種、走行距離、使用環境、整備状態によって大きく変わるからです。
たとえば60歳で新車を購入したとして、年間走行距離が1万kmなら70歳時点で、
10年・約10万km
になります。
年間5,000kmなら、
10年・約5万km
です。
同じ「10年落ち」でも、使われ方はまったく違いますよね。
海沿いで塩害を受けやすい環境なのか、屋根付き駐車場なのか、短距離走行ばかりなのか、定期的に長距離を走るのかでも状態は変わります。
だから私は、年数だけで「まだ新しい」「もう寿命」と判断するのはおすすめしません。
車を見るときに確認したいのは、
- 走行距離
- 定期点検や車検の履歴
- オイルや消耗品の交換状況
- タイヤやブレーキの状態
- バッテリーの状態
- 足回りや冷却系の状態
- 故障や警告灯の発生頻度
といった部分です。
そして定年前に新車を買う場合は、もうひとつ視点を加えてください。
「70歳まで壊れない車」を探すのではなく、「70歳まで整備しながら使える車」を選ぶことです。
どんな車でも、10年間まったく部品を交換せずに済むわけではありません。
新品の革靴も10年履けば、靴底や中敷きの手入れが必要になりますよね。
車も同じです。
10年乗ることを前提にするなら、「修理が発生したら失敗」ではなく、消耗品を交換しながら長く使うものと考えておくと気持ちが楽になりますよ。
定年前の車を10年乗るなら、維持費と整備費をどう考える?
60歳前後で購入した車を70歳前後まで乗るなら、車両価格だけを見るのではなく、10年間の維持費まで家計に組み込んでおくことが重要です。
新車のうちは大きな故障が少なくても、5年、7年、10年と経過するにつれて交換する部品は増えていきます。
代表的なものとしては、
- エンジンオイル
- オイルフィルター
- タイヤ
- バッテリー
- ブレーキパッドなどのブレーキ関連部品
- ワイパーゴム
- 冷却水
- 補機バッテリー
- ベルト類
- 足回りの部品
などがあります。
ただし、交換時期を一律に「何年」「何km」と決めつけるのは適切ではありません。
たとえばエンジンオイルだけでも、メーカー、エンジン形式、ターボの有無、ハイブリッドかどうか、使用条件によって指定時期は異なります。
「5,000kmごと」「半年ごと」といった数字を見かけることがありますが、それをすべての車に当てはめるのではなく、必ず自分の車の取扱説明書やメーカーが示す点検・交換基準を優先してください。
定年前後では、ここがとても大事です。
現役中なら突然10万円程度の整備費が必要になっても、給与からやりくりできる場合があります。
ところが定年後は、同じ10万円でも家計に感じる重さが変わりますよね。
そのため私は、新車購入時から「車の修理・買い替え積立」を別枠で持っておく方法をおすすめします。
たとえば月5,000円なら年間6万円、10年間で単純計算60万円です。
月1万円なら年間12万円、10年間で120万円になります。
もちろん、その金額ですべての修理を賄えるという意味ではありません。
ただ、「車検が高かったらどうしよう」「突然壊れたら困る」と不安になるより、あらかじめ車専用のお金を積み立てておくほうが安心感は大きいですよね。
さらに10年保有を考えるなら、購入時に消耗品の価格も少し見ておきましょう。
たとえば大径タイヤを装着するSUVや高性能車は、一般的な小径タイヤのコンパクトカーより、タイヤ交換時の支出が大きくなりやすい傾向があります。
車両価格が同じ300万円でも、15~16インチクラスのタイヤを履く車と、19~20インチクラスを履く車では、その後の維持費まで同じとは限りません。
ここは「買えるか」だけではなく、70歳になってからも気持ちよく払えるかで見ておきたいところです。

10年と13年では何が違う?税金の節目も確認
定年前の車を長く乗るときには、初度登録から13年という節目も知っておきましょう。
2026年度の制度では、一定の古いガソリン車・LPG車などは、新車新規登録から13年を経過すると自動車税(種別割)の重課対象となります。
静岡県が2026年3月31日に更新した「自動車税のグリーン化」では、令和8年度について、対象となるガソリン車・LPG車のうちバス・トラック以外は、標準税率に対しておおむね15%重くなると案内されています。
ディーゼル車では対象となる経過年数が異なります。
また、電気自動車、天然ガス自動車、ガソリンハイブリッド車などは、この自動車税の重課対象から除外されています。
つまり、「13年経った車はすべて税金が15%上がる」という理解は正しくありません。
車の種類や登録時期によって扱いが変わるため、実際に13年目を迎える際には、その時点の税制を自治体や国の公式情報で確認してくださいね。
ここで定年前の購入年齢と重ねてみましょう。
60歳で新車を購入した場合、
65歳:5年目
67歳:7年目
70歳:10年目
73歳:13年目
となります。
58歳で買った場合なら、
63歳:5年目
65歳:7年目
68歳:10年目
71歳:13年目
です。
これを見ると、定年前の58~60歳で購入した車は、70歳前後に10~13年目という大きな節目を迎えることが分かります。
これが私が「10年計画+70歳前後で再点検」をおすすめする理由のひとつです。
60歳で買えば70歳でまだ10年目。
その時点で車が元気なら、そのまま11年、12年と乗っても構いません。
そして73歳前後に13年目を迎えたとき、税負担、次回車検の整備費、車の状態を合わせてもう一度判断する。
このように考えれば、「10年になったから買い替えなければ」と機械的に決める必要がなくなります。
10年は寿命ではなく、点検ポイント。13年も買い替え命令ではなく、費用を見直すポイント。
そう捉えると分かりやすいですよ。
なお、自動車重量税についても経過年数によって税額が変わる場合があります。
税制は将来変更される可能性がありますので、実際に車検や買い替えを迎える時点では最新の制度を確認しましょうね。
70歳まで乗る車は「寿命」より運転しやすさで選びたい
60歳で買った新車が機械的にはまだ元気でも、70歳の自分にとって扱いにくくなっていれば、乗り換えを考える理由になります。
ここが、定年前の車選びで意外と見落とされやすいポイントです。
60歳では何とも感じなかったことが、10年後には少し負担になる場合があります。
たとえば、
「低いシートから立ち上がるのが少しつらい」
「車幅の広いSUVで狭い道を走るのが疲れる」
「夜間運転で以前より神経を使う」
「後方確認のために体をひねるのが大変」
「駐車場で何度も切り返すようになった」
といった変化ですね。
もちろん、70歳になれば誰でもこうなるという意味ではありません。
運転能力や身体状況には大きな個人差があります。
ただし制度上、70歳はひとつの節目です。
警察庁によると、免許更新期間の満了日に70歳以上となる人は、更新時に高齢者講習を受講する必要があります。
また、75歳以上になると認知機能検査の対象となり、一定の違反歴がある人については運転技能検査が必要になる場合があります。
ですから70歳は、「車を降りる年齢」ではありません。
むしろ私は、自分の運転を客観的に見直し始める年齢と考えるとよいと思っています。
60歳から10年間乗ることを前提に車を選ぶなら、購入時に次のような部分を確認してみましょう。
- 運転席から前後左右が見やすい
- 乗り降りするときに無理な姿勢にならない
- 車幅や車両感覚をつかみやすい
- ペダルの位置が自然で操作しやすい
- バックカメラや周辺確認支援を使いやすい
- 衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備が充実している
- 販売店や整備工場へ通いやすい
- タイヤなどの消耗品が極端に高額ではない
私は特に、「今の自分に似合うか」より「10年後の自分にも扱えるか」を一度考えてほしいと思っています。
スポーツカーや大型SUVが悪いという話ではありません。
60代に本当に乗りたい車を楽しむことも、人生では大切ですよね。
ただ、低い着座位置、大きな車幅、重いドア、大径タイヤなどは、10年間保有するときには快適性や維持費へ影響する可能性があります。
その特徴を理解したうえで選ぶなら、それも立派な選択です。
大切なのは、年齢を理由に欲しい車を諦めることではなく、10年間の自分の暮らしまで含めて納得して選ぶことなんですね。
定年前の車は7年で売る?10年以上乗る?判断基準は「次の購入費」
車の買い替え時期を調べると、「3年」「5年」「7年」「10年」とさまざまな数字が出てきます。
どれが正解なのか、迷ってしまいますよね。
実際には、全員に共通する正解はありません。
3年程度なら初回車検、5年前後なら一般保証・特別保証など車種ごとの保証条件、7年以降なら車検や消耗品、10年以上なら修理費や長期保有を意識するなど、それぞれ違う理由で節目として語られることがあります。
特に「7年なら売却に有利」「10年で価値が大きく下がる」といった話は、すべての車に当てはまるわけではありません。
中古車価格は車種、グレード、走行距離、色、需給、モデルチェンジ、車両状態などで大きく変わるためです。
定年前後では、売却価格だけを見るよりも、私は「次の車を買う回数」を考えるほうが重要だと思っています。
たとえば60歳で300万円の車を買ったとしましょう。
5年乗って65歳で買い替えれば、下取り額は得られるものの、再び次の車の購入資金が必要になります。
さらに70歳でもう一度乗り換えれば、60代の間に複数回まとまったお金が動く可能性があります。
一方、60歳で購入した車を70歳まで10年間使えれば、少なくともその間は次の車の購入時期を先送りできます。
単純化して購入価格だけを年数で割ると、300万円の車なら、
- 5年使用:1年あたり60万円
- 10年使用:1年あたり30万円
- 15年使用:1年あたり20万円
です。
もちろん、これは実際の総コストを示す計算ではありません。
売却価格、税金、保険、燃料、整備、修理費を含めれば結果は変わります。
それでも、購入費を何年間にわたって活用できるかという見方は、定年後の資金管理では役立ちます。
日本自動車工業会の「2025年度乗用車市場動向調査」でも、車の保有に関わる費用全体を「負担が大きい」と感じる人は4割弱でした。
同調査では、前保有車の平均保有期間が7.2年、10年超が3割弱となっています。
車両価格や維持費の負担を考え、長く乗ろうとする人が一定数いることもうかがえます。
だから定年前後では、
「いくらで売れるか」
だけでなく、
「次の300万円をいつ払うことになるか」
まで考えてみてください。
この視点を持つだけで、5年で買い替えるべき人と10年乗ったほうが安心な人の違いが、かなり見えやすくなりますよ。
定年前に買うなら「10年計画+70歳再点検」が合理的
ここからは私見です。
私は、58~60歳ごろに新車を買うなら、最初から10年間乗るつもりで選び、70歳前後で一度大きく見直す方法が分かりやすいと考えています。
理由は三つあります。
ひとつ目は、10年保有が現在の日本で特別な長さではないことです。
日本自動車工業会の最新2025年度調査では、前保有車を10年超保有した割合が3割弱に達しています。
自動車検査登録情報協会の2023年3月末データでも、乗用車の平均車齢は9.22年、平均使用年数は13.42年でした。
もちろん「自分の車も13年大丈夫」という保証ではありませんが、10年を計画の中心に置くこと自体は無理のある考え方ではありません。
二つ目は、定年後の大きな買い物を減らせる可能性があることです。
60歳から70歳まで同じ車を使えれば、65歳前後で再び数百万円規模の車を購入する必要を避けられる可能性があります。
その代わり、タイヤ、バッテリー、車検、修理などに備えて積立をしておく。
「買い替え代をゼロにする」のではなく、大きな支出を小さな準備に分散するという考え方ですね。
そして三つ目が、70歳が運転を見直す良い節目になることです。
70歳は免許返納を義務付けられる年齢ではありません。
しかし免許更新では高齢者講習が関係する年代に入り、自分自身の視力、反応、疲れ方、車の扱いやすさを意識する機会が増えてきます。
だから70歳になったら、
車の状態
年間維持費
今後必要になりそうな修理
自分の運転のしやすさ
家族から見た運転の安心感
を一度まとめて確認する。
車が元気で運転にも問題がなければ、11年目、12年目へ進めばよいでしょう。
一方で、大きな修理が続きそうだったり、車体サイズが負担に感じられたりするなら、その時点で小さな車へ乗り換える選択があります。
私はこれを、「70歳で買い替える」のではなく「70歳で棚卸しする」と考えています。
この違いは大きいですよ。
最初から「70歳で車を降りなければ」「これが人生最後の車だ」と決めてしまうと、車選びまで窮屈になってしまいます。
未来のことは、誰にも完全には分かりません。
60歳では大型SUVを楽しめているかもしれませんし、70歳でも変わらず元気に運転しているかもしれません。
逆に65歳で生活環境が変わり、コンパクトカーのほうが便利になる可能性もあります。
ですから、今決めるのは80歳までの答えではありません。
まず70歳前後まで気持ちよく使える一台を選ぶ。
そして10年後に、その先をもう一度決める。
私はそれくらい余白を残した車選びが、定年前後にはちょうどよいと思っています。
まとめ|定年前に買った車は10年を基本に70歳で再点検しよう
定年前の58~60歳ごろに新車を買うなら、10年間の保有をひとつの基本計画にすると考えやすくなります。
日本自動車工業会の「2025年度乗用車市場動向調査」では、前保有車の平均保有期間は7.2年ですが、10年超も3割弱を占めています。
大切なのは、「10年乗れる車か」だけではありません。
10年間の維持費を払えるか、70歳でも扱いやすいか、修理が増えたときに無理なく対応できるか。
ここまで含めて考えることが、定年前の車選びでは重要です。
60歳で購入したなら、70歳で10年目。
その時点で車の状態、整備費、自分の運転状況を確認し、問題がなければさらに乗る。
負担が増えてきたら、ダウンサイジングや乗り換えを考える。
つまり答えは、「10年で必ず買い替える」ではなく「10年を基本計画にして、70歳で次を判断する」です。
定年はカーライフの終わりではありません。
これからの10年間に旅行へ行くのか、趣味を楽しむのか、家族を乗せるのか。
そんな暮らしまで想像しながら、今だけでなく10年後にも「この車でよかった」と思える一台を探してみてくださいね。
よくある質問
60歳で新車を買ったら何年乗るのが目安ですか?
まず10年、70歳までをひとつの目安にすると考えやすいでしょう。
日本自動車工業会の2025年度調査では、前保有車の平均保有期間は7.2年ですが、10年超も3割弱を占めています。10年は寿命ではなく、その時点で車と自分の状態を再確認する節目と考えるのがおすすめです。
60歳で買った新車は70歳まで乗れますか?
適切な点検・整備を続け、車両状態に大きな問題がなければ、10年間使用する計画は十分検討できます。
ただし年数だけでは判断できません。走行距離、故障履歴、タイヤやバッテリーなどの消耗品、今後の修理費を定期的に確認してくださいね。
定年前に買った車は13年乗ると税金が上がりますか?
すべての車が同じように上がるわけではありません。
2026年度では、一定のガソリン車・LPG車などは新車新規登録から13年経過すると自動車税(種別割)が重課され、対象となる乗用車では標準税率よりおおむね15%重くなる仕組みがあります。一方、ガソリンハイブリッド車や電気自動車など対象外となる車もあります。制度は変更される可能性があるため、実際に13年目を迎える時点で最新情報を確認しましょう。
モーターライフ・アドバイザー
杉原健一



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