60代の車買い替えは、今回の仮定では5年間の負担が修理継続160万円、新車購入230万円となり、修理継続が70万円有利です。
ただし、これは車両価値の減少や維持費を含めた試算であり、すべての車に当てはまる結論ではありません。
「車検で30万円と言われたけれど、修理するのはもったいない?」「退職金で新車を買った方が安心?」と迷っている方へ、費用と安全性の両面から判断方法をお伝えします。
60代の車買い替えはもったいない?5年間の費用比較で分かったこと
60代で車を買い替えるかどうかは、修理費だけでなく、今後5年間に必要な総費用と車の残存価値を比較すると判断しやすくなります。
今回の試算では、現在の車を修理して乗り続ける方が、新車に買い替えるより70万円有利になりました。
ただし、安全性や故障の可能性によっては、買い替えが合理的になる場合もあります。
修理継続160万円、新車購入230万円の比較結果
まずは、今回の比較条件を確認しましょう。
現在の車には30万円の売却価値があり、新車の購入総額は250万円と仮定します。
比較期間は5年間で、両方とも現金払いとし、ローン金利は発生しない条件です。
車検・点検・消耗品には、通常の定期整備費用を含め、突発的な故障修理費とは分けて計算しています。
また、税金や保険料、燃料費についても、両方の車で必要な費用を計上しました。
| 費用項目(5年間・仮定) | 今の車を継続 | 新車へ買い替え |
|---|---|---|
| 比較開始時点の車両価値 | 30万円 | 250万円 |
| 5年後の車両価値 | 5万円 | 100万円 |
| 車両価値の減少 | 25万円 | 150万円 |
| 車検・点検・消耗品 | 30万円 | 15万円 |
| 故障修理費 | 25万円 | 5万円 |
| 税金・任意保険など | 35万円 | 30万円 |
| ガソリン代 | 45万円 | 30万円 |
| ローン金利 | 0円 | 0円 |
| 5年間の経済的負担 | 160万円 | 230万円 |
| 1年当たりの負担 | 32万円 | 46万円 |
※この表は計算方法を説明するための独自試算です。特定車種の実際の購入価格や修理実績、将来の査定価格を示すものではありません。
結果は、修理継続が160万円、新車購入が230万円。
5年間で70万円、1年間に換算すると14万円の差になります。
新車の方が故障修理費や燃料費を抑えられる想定でも、車両価値の減少が大きいため、総費用では今の車が有利になるわけです。
ここで大切なのは、新車の方が維持費は安いからといって、必ずしも家計全体の負担まで安くなるわけではないということです。
私は、車の買い替えで見落とされやすいのは、この「維持費の節約」と「購入費用の負担」の違いだと考えています。
実際に支払う現金は165万円も違う
もう一つ、60代の車選びで見逃せない数字があります。
それは、実際に手元から出ていく現金です。
先ほどの比較表では、車両価値の減少を費用として計算しました。
しかし、今の車を乗り続ける場合、現在の車両価値30万円を新たに支払うわけではありません。
そこで、5年間の現金支出だけを計算してみましょう。
今の車を乗り続ける場合
- 車検・点検・消耗品:30万円
- 故障修理費:25万円
- 税金・任意保険など:35万円
- ガソリン代:45万円
- 現金支出合計:135万円
新車へ買い替える場合
- 新車購入総額:250万円
- 現在の車の売却代金:マイナス30万円
- 車検・点検・消耗品:15万円
- 故障修理費:5万円
- 税金・任意保険など:30万円
- ガソリン代:30万円
- 現金支出合計:300万円
新車側の5年間の維持費は、15万円+5万円+30万円+30万円=80万円です。
したがって、新車側の現金支出は250万円-30万円+80万円=300万円となります。
現在の車を乗り続ける場合は135万円ですから、現金支出の差は165万円になります。
これは退職後の生活資金を考えるうえで、決して小さな金額ではありませんよね。
なぜ現金支出165万円の差が経済的負担では70万円になる?
「現金では165万円も違うのに、最初の比較では70万円の差だったの?」
少し不思議に感じるかもしれません。
理由は、5年後に残る車の価値が違うからです。
今回の仮定では、今の車を乗り続けた場合の5年後の売却価値は5万円、新車へ買い替えた場合は100万円としています。
つまり、新車側には95万円多く車両価値が残ります。
現金支出の差165万円から、この95万円を差し引くと70万円です。
165万円-95万円=70万円。
これで、最初の経済的負担の比較と一致します。
ただし、5年後の売却価値は保証されません。
車の状態や中古車市場の状況によって変わるため、査定価格を高く見積もりすぎないことが重要です。
私は、60代の車買い替えでは、経済的負担と現金支出を別々に確認することをおすすめします。
将来の売却価値が高くても、購入時にまとまった現金が必要になる事実は変わらないからです。
車検・修理費が30万円なら買い替えるべき?見積書の確認方法
車検や修理に30万円かかると言われても、その金額だけで買い替えを決める必要はありません。
重要なのは、30万円の内訳と、修理後に残る不具合の可能性です。
車検30万円のすべてが修理費ではない
例えば、車検の見積書に「合計30万円」と書かれていたとします。
この金額には、故障している部品の修理費以外にも、さまざまな費用が含まれています。
一般的には、次の4種類に分けて確認できます。
- 法定費用:自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料など
- 基本整備費用:点検や検査に必要な作業料金
- 必要な修理費用:保安基準への適合や安全確保に必要な整備
- 予防整備費用:将来の不具合を防ぐために提案される交換作業
仮に、法定費用などが6万円、基本整備費用が4万円、部品交換費用が20万円だったとしましょう。
この場合、買い替え判断で詳しく確認したいのは、20万円の部品交換の内容です。
ブレーキなど安全性に直接関わる部分なら、必要な整備を適切に実施しなければなりません。
一方、予防的な部品交換であれば、現在の劣化状態や交換の緊急性を整備士に確認できます。
もちろん、安全上必要な整備を自己判断で先延ばしにすることは避けてください。
大切なのは、費用を削ることではなく、何にお金を使うのかを理解することです。
ディーラー経験から考える見積書の確認順序
長年メーカー直営ディーラーでお客様の相談に向き合ってきた経験から、私が重視するのは、見積書の金額より先に整備内容を整理することです。
特に、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
最初に、安全に直結する不具合を確認します。
ブレーキ、タイヤ、操舵装置などに問題があれば、修理の必要性や車両の状態を優先して判断します。
次に、高額な追加修理の可能性を確認します。
今回の整備とは別に、エンジンや変速機、エアコンなどに不具合が見つかっていないかを確認します。
最後に、予防整備の必要性を確認します。
今すぐ交換が必要なのか、現在の状態を踏まえて次回点検まで経過観察できるのか、整備士に説明してもらいます。
この順番なら、単に30万円を高いと感じるだけでなく、支払うことで何が改善されるのかを理解できます。
例えば、ブレーキ関連の修理と、エアコンの修理では、費用が同じでも判断の意味が違います。
前者は安全確保に直結し、後者は使用環境や故障内容によって、修理の優先順位を検討できる場合があります。
ただし、エアコンの不具合でも窓の曇りを除去できないなど、安全運転に影響する場合は軽視できません。
修理項目の名称だけでなく、実際にどのような支障が生じるのかを確認しましょう。
30万円の修理であと5年間乗れる?
仮に30万円の修理を行い、その後5年間使えたとします。
修理費だけを年割りすると、年間6万円です。
一方、同じ修理費で2年間しか使わなかった場合は、年間15万円になります。
この違いを見ると、修理後の使用期間が重要だと分かりますよね。
ただし、整備士でも、修理後に何年間故障せず使えるかを保証することはできません。
そのため、修理前には次のように質問するとよいでしょう。
「今回の修理箇所以外に、近いうちに高額な整備が必要になりそうな部分はありますか?」
「交換部品は今後も入手できそうですか?」
「今回の修理で、現在確認されている不具合はどこまで改善しますか?」
特に、年式の古い車では部品の供給状況も重要になります。
メーカーや車種、部品の種類によって供給状況は異なるため、必要な部品が入手できるかを個別に確認することが大切です。
修理費が安くても、必要な部品を確保できなければ、乗り続けることが難しくなる場合があります。
私は、修理するか買い替えるかを判断するとき、金額と同じくらい「修理後に残る不安」を重視したいと考えています。
60代は何年同じ車に乗る?平均使用年数と購入傾向から考える
60代で車を買い替える場合、今の車が古いかどうかだけでなく、これから何年間使う予定なのかを考えることが大切です。
また、実際に60代がどのような車へ乗り換えているのかも、判断の参考になります。
車は10年を超えたら買い替え時なのか
「もう10年以上乗っているから、そろそろ限界かな」
そう感じる方もいるでしょう。
しかし、車齢10年という数字だけで、買い替えが必要になるわけではありません。
一般財団法人自動車検査登録情報協会の「わが国の自動車保有動向」では、乗用車の平均使用年数に関する統計が公表されています。
2025年3月末時点の乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は、約13年台という水準です。
なお、平均使用年数とは、登録を抹消された車が新規登録から何年間使用されていたかを示すもので、現在保有されている車の平均車齢とは異なります。
この記事では正式な小数点以下の数値を原表と再照合できていないため、約13年台という表現にとどめています。
この統計は、車が長く使われている状況を理解する参考にはなりますが、個々の車の寿命を示すものではありません。
同じ年式でも、年間走行距離、整備履歴、保管環境によって状態は大きく異なります。
例えば、10年間で5万km走った車と、15万km走った車では、使用状況が違います。
ただし、走行距離が少なくても、ゴム部品や樹脂部品などは時間の経過によって劣化する場合があります。
車の年齢だけでなく、実際の状態を確認することが重要なんですね。
60代の車購入額は293万円という調査結果も
60代の車選びを考えるうえで、興味深い調査があります。
市場調査会社インテージが2025年10月24日に公表した「Car-kit®」を用いた分析では、ミドルサイズ以上のミニバンから新車へ乗り換えた人の購入傾向が紹介されています。
調査対象は、2020年以降に新車を購入し、直前にミドルサイズ以上のミニバンを所有していた人です。
年代別の対象人数は、20代386人、30代2,388人、40代6,895人、50代6,930人、60代3,131人、70代以上616人で、合計20,346人でした。
この分析における平均最終支払額は、次のようになっています。
| 年代 | 平均最終支払額 |
|---|---|
| 50代 | 316万円 |
| 60代 | 293万円 |
| 70代以上 | 261万円 |
※値引きや下取りを差し引いた後の最終支払額を示す調査結果です。60代全体の平均購入価格ではありません。
50代から60代、70代以上へと年代が上がるにつれて、平均最終支払額が低くなっています。
ただし、この結果だけで、年齢が上がるほど節約志向が強まると断定することはできません。
購入する車種やグレード、家族構成などの違いも関係する可能性があるからです。
60代ではミニバンから小さな車への乗り換えも目立つ
同じインテージの分析では、50代の乗り換え先としてトヨタ「シエンタ」が1位、ホンダ「フリード」が2位となっています。
60代、70代以上でも、これらのコンパクトミニバンは上位に入っています。
さらに、60代以上ではトヨタ「ルーミー」が3位に入っている点も注目したいところです。
大きなミニバンから、比較的扱いやすいサイズの車へ乗り換える動きが見えてきます。
背景を考えるうえで参考になるのが、子どもとの同居状況です。
同じ分析では、子どもが同居していない割合は50代で19%、60代で46%となっています。
家族全員で出かける機会が減れば、大きな車を必要とする場面も変わってきますよね。
ただし、これは調査対象者の傾向であり、すべての60代に当てはまるわけではありません。
私は、この調査で特に重要なのは、単に小さな車が選ばれていることではなく、家族構成や暮らしの変化に合わせて車の役割を見直している可能性だと考えています。
例えば、以前は家族6人で使っていた車でも、現在は夫婦2人で買い物や通院に使うことが中心になっているかもしれません。
その場合、大きな車を新しい大きな車へ買い替える必要があるのか、一度考えてみる価値があります。
60代の買い替えでは使用予定年数を先に決める
250万円の車を購入する場合、何年間使う予定なのかによって、購入費用の重みが変わります。
売却価値や維持費を含めず、購入価格だけを年数で割ると、次のようになります。
| 使用予定年数 | 購入価格の年割り額 |
|---|---|
| 5年間 | 年間50万円 |
| 10年間 | 年間25万円 |
| 15年間 | 年間約16万7,000円 |
これは単純な参考計算であり、実際の年間負担を表すものではありません。
それでも、5年間しか使わない予定の車と、15年間使う予定の車では、購入費用の受け止め方が変わります。
例えば、65歳で購入し、75歳ごろまで使う予定なら10年間です。
70歳で購入し、75歳ごろに免許返納を検討しているなら5年間になります。
もちろん、75歳で必ず免許を返納する必要があるわけではありません。
警察庁が案内する運転免許更新制度では、70歳以上の運転者に高齢者講習が設けられ、75歳以上では認知機能検査が必要になります。
また、75歳以上で一定の違反歴がある方は、運転技能検査の対象になります。
これらは年齢だけで運転を禁止する制度ではありません。
ただし、今後の健康状態や生活環境によって運転を続ける期間が変わる可能性は、購入前に考えておきたいですね。
修理継続と新車購入はどこで逆転する?損益分岐点を検証
ここまでの試算では、修理して乗り続ける方が70万円有利でした。
では、修理費が増えた場合や、新車の売却価値が変わった場合はどうなるのでしょうか。
この確認こそ、買い替え判断を現実に近づける大切な作業です。
修理費が追加で70万円増えたら同額になる
最初の試算では、5年間の経済的負担は次のとおりでした。
今の車を継続する場合が160万円、新車へ買い替える場合が230万円です。
ほかの条件が変わらないなら、現在の車の修理費が追加で70万円増えると、両方の負担は230万円になります。
つまり、今回の条件では追加修理費70万円が損益分岐点です。
ただし、すべての車で修理費70万円が買い替え基準になるわけではありません。
今の車の売却価格や燃費、新車の購入価格によって、損益分岐点は変わります。
また、修理費が増えるだけでなく、故障によって車を使えなくなる期間が長くなる場合もあります。
その間にレンタカーやタクシーが必要になれば、追加の支出が発生します。
特に、日常生活で車が欠かせない方にとっては、金額だけでは測れない負担もあるでしょう。
私は、損益分岐点を「この金額を超えたら必ず買い替える」という線ではなく、判断を見直す目安として使うのがよいと考えています。
修理費が20万円、40万円増えた場合は?
今回の条件で、修理継続側の費用だけを変えてみます。
| 追加修理費 | 修理継続の5年間の負担 | 新車との差 |
|---|---|---|
| 追加なし | 160万円 | 修理継続が70万円有利 |
| 20万円追加 | 180万円 | 修理継続が50万円有利 |
| 40万円追加 | 200万円 | 修理継続が30万円有利 |
| 70万円追加 | 230万円 | 同額 |
| 100万円追加 | 260万円 | 新車が30万円有利 |
※新車側の費用230万円、両車の売却価値などは変わらないと仮定しています。
この表から分かるのは、多少の追加修理が発生しても、すぐに新車購入が有利になるとは限らないということです。
例えば、修理費が想定より40万円増えても、今回の条件では修理継続の方が30万円有利です。
ただし、追加修理が重なる車では、故障の頻度や使用できない期間も問題になります。
修理費の合計が安くても、頻繁に車が止まってしまうようでは、安心して使い続けることが難しいですよね。
新車の5年後の売却価格が下がったら?
新車を購入する場合、将来の売却価値も重要です。
最初の試算では、250万円で購入した車が5年後に100万円で売れると仮定しました。
しかし、実際には市場環境や走行距離、車両状態によって売却価格が変わります。
仮に、5年後の売却価値が100万円ではなく70万円だったとしましょう。
この場合、新車側の車両価値の減少は150万円から180万円へ増えます。
そのため、5年間の経済的負担は230万円から260万円になります。
修理継続側が160万円のままなら、差額は100万円です。
逆に、新車の5年後の売却価値が130万円だった場合は、経済的負担が200万円となり、差額は40万円に縮まります。
つまり、将来の査定価格によって比較結果は変わるのです。
私は、買い替えを検討するとき、将来の高い査定価格を前提に購入を決めることには慎重でありたいと思っています。
売却価値は将来の予測であり、購入時に確定しているお金ではないからです。

年間走行距離が少ないなら燃費改善の効果も小さい
退職後に通勤がなくなると、年間走行距離が減る方もいるでしょう。
その場合、燃費の良い新車に買い替えても、ガソリン代の節約効果は限定的になります。
例えば、現在の車が15km/L、新車が25km/L、ガソリン価格が170円/Lと仮定します。
年間5,000km走る場合、現在の車のガソリン代は約56,700円、新車は約34,000円です。
差額は年間約22,700円になります。
5年間なら約11万3,500円、10年間でも約22万7,000円です。
この金額だけで、250万円の新車購入費用を回収することは難しいでしょう。
一方、年間走行距離が長い場合は、燃費改善による節約額も大きくなります。
そのため、買い替えによる燃料費の差を考える際には、カタログ燃費だけでなく、自分が実際に何km走るのかを確認する必要があります。
また、カタログのWLTCモード燃費は一定の試験条件に基づく数値です。
実際の燃費は道路状況や運転方法、エアコンの使用状況などによって変わります。
私は、退職後の車選びでは、過去の走行距離だけでなく、これからの生活でどれくらい車を使うかを考えることが大切だと思っています。
60代の車買い替えで後悔しないためには?安全性と生活資金を考察
費用面では修理継続が有利でも、それだけで買い替えの結論を出すことはできません。
60代の車選びでは、安全性、故障時の影響、退職後の生活資金という3つの要素も重要になります。
安全装備が不足しているなら買い替える価値がある
古い車と新しい車では、安全装備に違いがあります。
国土交通省などが普及を進めてきた安全運転サポート車、いわゆるサポカーには、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術が備わっています。
また、車種によっては、ペダル踏み間違い時の加速抑制機能や車線逸脱警報なども搭載されています。
こうした機能は、運転時の負担や事故リスクを軽減するための補助になります。
ただし、安全装備があれば事故を必ず防げるわけではありません。
天候や道路状況、車種ごとの作動条件によって、機能が十分に働かない場合もあります。
購入候補を比較する際には、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が実施する自動車アセスメントの評価も参考になります。
ここで私が重視したいのは、新しい車だから安全と単純に考えないことです。
同じ車種でも、年式やグレードによって安全装備の内容が違う場合があります。
また、運転席からの視界、乗り降りのしやすさ、駐車時の取り回しなども、毎日の安全運転に関わります。
例えば、大きなSUVからコンパクトカーへ乗り換えることで、狭い駐車場での取り回しが楽になる方もいるでしょう。
反対に、車高やシート位置が変わることで、運転感覚に慣れるまで時間が必要になる場合もあります。
私は、安全装備の数だけでなく、実際に運転したときの安心感まで確認してほしいと思っています。
新車だけでなく中古車も比較対象になる
現在の車に故障が増えてきたものの、新車購入に250万円以上を使うことには抵抗がある方もいるでしょう。
そんな場合は、比較的新しい中古車も選択肢になります。
例えば、現在の車には衝突被害軽減ブレーキがなく、安全装備を充実させたいと考えている場合です。
新車だけでなく、必要な安全装備を備えた中古車を探すことで、購入費用を抑えられる可能性があります。
ただし、中古車には車両ごとの状態の違いがあります。
修復歴、整備記録、保証内容、タイヤの状態などを確認し、購入後に必要な整備費用も考慮しましょう。
また、車両本体価格だけでなく、諸費用を含めた支払総額で比較することが大切です。
私は、中古車を選ぶ場合も、最初の5年間の比較と同じ考え方を使うことをおすすめします。
購入総額、維持費、将来の売却価値を同じ期間で比較すれば、新車と中古車のどちらが家計に合うか判断しやすくなります。
退職金で新車を買うなら手元資金を確認する
60代の車購入では、退職金を使うかどうかも大きな問題になります。
まとまったお金が入ると、長年乗ってきた車を新しくしたいと考えることもありますよね。
その気持ちは自然なものだと思います。
しかし、退職金は車の購入だけに使うお金ではありません。
今後の生活費、住宅の修繕、医療費、予期しない支出などにも備える必要があります。
例えば、300万円の新車を現金で購入すれば、その分だけ手元の資金が減ります。
一方、現金を残すためにローンを利用すれば、金利負担が発生します。
残価設定型クレジットやカーリースも選択肢になりますが、月々の支払額だけで判断するのは避けたいところです。
契約終了時の支払い、走行距離制限、中途解約条件なども確認する必要があります。
特に、将来免許を返納する可能性がある場合は、予定より早く車を手放す際の条件が重要です。
私は、60代の車購入では「買えるかどうか」よりも、購入後の暮らしに十分な現金を残せるかを重視したいと考えています。
免許返納後の移動費も車の予算に含めて考える
ここで、少し視点を変えてみましょう。
車の買い替えを考えるとき、多くの方は購入後の維持費を計算します。
しかし、私は車を手放した後の移動費も、同じ生活設計の中で考えることが重要だと思っています。
例えば、70歳で250万円の車を購入し、75歳ごろに免許を返納する可能性があるとします。
この場合、車を使う予定期間は5年間です。
一方、現在の車を適切に修理して5年間使い、その後に免許を返納する選択肢もあります。
もし修理継続によってまとまった現金を残せれば、そのお金を将来のタクシー代や公共交通機関の利用費に充てられます。
例えば、月2万円を移動費に使うと仮定すると、年間24万円です。
100万円あれば、単純計算で約4年2か月分の移動費に相当します。
もちろん、これは移動費が毎月一定で、運賃の変動などを考慮しない参考計算です。
また、公共交通機関が少ない地域では、車を手放した後の移動手段を確保すること自体が難しい場合もあります。
だからこそ、車を買うかどうかだけでなく、今後どのように移動するのかまで考えておきたいのです。
車の購入費用は、車を所有している間だけでなく、その後の暮らしにも影響する。
これが、60代の買い替えを考えるうえで、私が特に大切にしたい視点です。
私なら修理継続と買い替えをこう判断する
もし私が60代で、長く乗ってきた車を買い替えるか迷っていたら、最初に新車のカタログを集めることはしません。
まず、現在の車の状態を確認します。
そして、整備工場で今後必要になりそうな修理内容を聞き、現在の車の売却見込額を調べます。
そのうえで、買い替え候補の購入総額と維持費を比較します。
例えば、現在の車に大きな不具合がなく、今後数年間の使用に支障がないと判断できるなら、修理継続を有力な選択肢にします。
反対に、エンジンや変速機などの高額修理が必要で、ほかにも不具合が重なっているなら、買い替えを検討します。
ただし、修理費だけでなく、車が使えなくなる頻度や安全性も確認します。
また、今後10年以上車を使う予定で、現在の車の安全装備に不安があるなら、新車や比較的新しい中古車も候補になります。
ここで大切なのは、車の購入を「古い車から新しい車へ交換すること」だけで考えないことです。
これからの暮らしに必要な移動手段を、どのくらいの費用で確保するか。
そのように考えると、車の大きさや価格、安全装備、使用予定年数を落ち着いて比較できるようになります。
私がディーラーでの経験を通じて大切にしてきたのは、お客様が何を不安に感じ、何を優先したいのかを確認することです。
車の状態が同じでも、毎日通勤に使う方と、週に数回の買い物に使う方では、必要な信頼性や使い方が違います。
同じ250万円の車でも、生活資金に十分な余裕がある方と、退職後の支出を抑えたい方では、負担の感じ方も違うでしょう。
だからこそ、誰にでも同じ買い替え時期をおすすめすることはできません。
私は、年齢だけで車を買い替える必要はないと考えています。
ただし、修理して乗り続けることが常に正解というわけでもありません。
費用、安全性、生活資金の3つを確認し、自分の暮らしに合った選択をすることが大切です。
まとめ|60代の車買い替えは5年間の総費用で判断しよう
60代の車買い替えは、修理費が高いからといって、必ずしも新車を購入した方が得になるわけではありません。
今回の独自試算では、5年間の経済的負担は修理継続160万円、新車購入230万円となり、修理継続が70万円有利でした。
また、実際の現金支出では、修理継続135万円、新車購入300万円となり、165万円の差が生まれています。
ただし、これらは仮定に基づく計算結果です。
実際には、車の状態、修理費、燃費、購入価格、将来の売却価値によって結果が変わります。
さらに、60代では安全装備や運転のしやすさ、今後の使用予定年数、退職後の生活資金も重要な判断材料になります。
私は、車の買い替えで一番避けたいのは、十分な情報がないまま、修理費の高さや新車への憧れだけで決めてしまうことだと考えています。
まずは、現在の車の点検結果、今後必要になりそうな修理費、売却見込額を確認してみてください。
そのうえで、買い替え候補の購入総額と5年間の維持費を比較すれば、自分にとって納得できる答えが見つけやすくなります。
車は、買うことそのものが目的ではありません。
これからの毎日を、安全に、無理なく、心地よく過ごすための大切な道具です。
60代からのカーライフが、家計にも心にも余裕のある、安心できるものになればうれしいですね。
よくある質問
60代で車を買い替えるのは本当にもったいないですか?
必ずしももったいないわけではありません。
現在の車の状態が良く、今後の修理費が少ないなら、乗り続ける方が経済的な場合があります。
一方、安全装備に不安がある場合や高額な修理が続く見込みがある場合は、買い替えが合理的になることもあります。
車検や修理費が30万円なら新車に買い替えるべきですか?
30万円という金額だけでは判断できません。
車検費用には法定費用や基本整備費用も含まれるため、まず見積書の内訳を確認しましょう。
修理後の車両状態や今後必要になりそうな整備費用を把握し、買い替え後の総費用と比較することが大切です。
60代で新車を買うなら何年乗ることを考えるべきですか?
まずは、自分が今後何年間運転する予定なのかを考えましょう。
例えば65歳で購入して75歳まで使うなら10年間ですが、免許返納の時期は人によって異なります。
購入価格だけでなく、維持費や将来の売却価値、生活環境の変化も考慮して判断しましょう。
モーターライフ・アドバイザー
杉原健一



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