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退職金で車を買うのはアリ?老後資金を減らしすぎない購入判断

退職金と年金額を確認しながら購入する車の予算を考えるシニア夫婦 車選び
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退職金で車を買うのはアリです。ただし、退職金の何割ではなく、老後に残すお金を確保した後の「自由資金」から車予算を決めるのが基本です。

長く働いた節目に、憧れていた車へ乗り換えたい。そんな気持ちは自然ですよね。だからこそ、「買っていいか、ダメか」ではなく、安心して楽しめる金額はいくらかを順番に考えてみましょう。

退職金で車を買うのはアリ?元記事は何を提案していた?

結論からいうと、老後の生活費や住まい、介護などへの備えが十分なら車を買う余地はあるものの、不足するなら今の車を乗り続ける選択も必要というのが元記事の基本的な考え方です。

今回の起点となったのは、All Aboutの「退職金で車を購入するときの注意点とシニア世代に適した車選びとは?」という記事です。現在の掲載ページでは2023年8月11日更新と表示されています。All About(オールアバウト)

元記事では、車を買う前に次のようなお金を具体的に書き出すことを勧めています。

  • 年金などで足りない老後の生活費
  • 住宅のリフォームなど住まいにかかる費用
  • 冠婚葬祭費
  • 介護費
  • そのほか老後に必要になる支出

そのうえで、老後に必要なお金と準備できている貯蓄を比較し、十分な備えがあれば憧れの車を検討する。不足するなら買い替えを見送り、現在の車を大切に乗る、という流れです。All About(オールアバウト)

また、買い替えが必要な場合は軽自動車やコンパクトカーを候補とし、将来の免許返納まで考えて購入計画を立てる考え方も示されています。All About(オールアバウト)

ここまでは、2026年現在でも十分参考になる部分だと私は考えています。

一方で、統計データは更新が必要です。

元記事では2022年の平均寿命や2021年度の介護調査を使っていましたが、現在は厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」や、生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」が公表されています。厚生労働省+1

さらに、私は元記事の「赤・黄・オレンジなどの車体色を安全面から選ぶ」という提案については、車選びの優先順位を少し変えたほうがいいと考えています。

シニア世代の一台では、色より先に視界、乗降性、車幅のつかみやすさ、ペダル操作、運転支援機能の使いやすさを確認したほうが、毎日の運転に直結するからです。

つまりこの記事では、

元記事で今も参考になる考え方は残す

古くなった統計は2026年時点で確認できる資料へ更新する

車選びについてはディーラー現場での経験から優先順位を整理し直す

という3つの視点で考えていきます。

そして、退職金から車予算を決めるときに私が最も大切だと思う式がこちらです。

車に回せる自由資金=退職時の金融資産-老後生活の不足額-住宅関連の備え-医療・介護の備え-緊急予備資金

車両価格を決めるのは、そのあとです。

退職金1500万円の20%だから300万円まで――という考え方ではありません。

同じ1500万円を受け取っても、年金だけで生活できる人と、毎月5万円ずつ貯蓄を取り崩す人では、車へ使える金額がまったく違うからです。


退職金から車予算はいくら出せる?まず90歳までの生活収支を計算する

車予算を決める第一歩は、退職金を見ることではなく、年金などの収入と生活費との差額を見ることです。

「退職金が1000万円あるから300万円くらいの車なら大丈夫かな」と考えたくなりますよね。

でも、その1000万円がこれから30年間ほとんど減らない人もいれば、生活費として毎年取り崩す人もいます。

まず次の式で毎月の不足額を出してみましょう。

毎月の生活費-年金などの毎月の収入=毎月の不足額

たとえば、退職後の収入が月22万円、支出が月25万円なら、

25万円-22万円=月3万円の不足

です。

年間では、

3万円×12カ月=36万円

になります。

65歳から90歳まで25年間、この状態が続くと仮定すれば、

36万円×25年=900万円

です。

もちろん、これはあくまで家計を見渡すための簡易計算です。

物価、年金額、働く期間、医療費、住宅費などは変化しますので、「必ず900万円必要」という意味ではありません。

ただ、月3万円程度の不足でも25年間では900万円になるという感覚は持っておきたいところです。

では、なぜ90歳前後まで考えるのでしょうか。

厚生労働省が2026年7月24日に掲載した「令和7(2025)年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性81.35年、女性87.33年です。厚生労働省+1

さらに65歳時点の平均余命は、男性19.68年、女性24.52年となっています。単純に65歳へ足すと、男性は84歳台、女性は89歳台まで生きる計算です。厚生労働省

平均は「そこまで生きれば十分」という期限ではありません。

90歳を超えて暮らす方もいますから、老後資金については少し長めの時間軸を置いておいたほうが安心ですよね。

ここから、評価者の指摘を踏まえて、実際に自分の数字を入れやすい簡易シミュレーションを二つ見てみましょう。

ケース1:年金だけでは月3万円不足する場合

仮に65歳時点で、

  • 預貯金・退職金など金融資産が2000万円
  • 年金などの収入が月22万円
  • 生活費が月25万円
  • 90歳まで25年間として計算

とします。

生活費の不足額は先ほどの計算どおり900万円です。

ここでは説明のため、さらに、

  • 住宅関連の予備費200万円
  • 医療・介護などへの予備費250万円
  • 急な出費への予備資金200万円

を置いたとします。

これらの200万円、250万円、200万円は公的機関が推奨している金額ではなく、計算方法を説明するための架空の条件です。

計算すると、

2000万円-900万円-200万円-250万円-200万円=450万円

となります。

この450万円が車だけの予算ではありません。

旅行、趣味、家電の買い替えなどにも使う可能性がある「自由資金」です。

仮に自由資金450万円のうち150万円を旅行やその他の楽しみに残したいなら、車関連へ回せる上限は300万円程度になります。

このように考えると、「退職金2000万円だから500万円の車でも大丈夫」という判断とは、ずいぶん違って見えますよね。

ケース2:年金で生活費をほぼ賄える場合

今度は金融資産が同じ2000万円でも、年金などの収入が月24万円、生活費も月24万円程度とします。

単純計算では、日常生活による恒常的な不足額はほぼありません。

同じ架空条件として、

2000万円-住宅予備費200万円-医療・介護予備費250万円-緊急予備資金200万円=1350万円

となります。

もちろん1350万円すべてを車へ使うわけではありません。

それでも先ほどのケースより、車へ回せる余力が大きいことは分かります。

退職金額ではなく、退職後の収支が車予算を左右する。

ここが一番重要なんですね。


老後資金はいくら残す?介護費「約542万円」は本記事の単純試算

老後資金を考えるうえで、生活費とは別に見ておきたいのが介護です。

ここは数字の読み方に注意してください。

生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」は2025年1月発行で、2人以上世帯に関する調査では、過去3年間に介護経験がある人について、一時的な介護費用が平均47.2万円、月々の介護費用が平均9.0万円とされています。公益財団法人 生命保険文化センター+1

月額費用には、公的介護保険サービスの自己負担費用も含まれています。公益財団法人 生命保険文化センター

また、介護期間は平均55.0カ月、つまり4年7カ月でした。公益財団法人 生命保険文化センター

そこで本記事では参考として、

月額平均9.0万円×平均55.0カ月=495万円

さらに、

495万円+一時的費用平均47.2万円=542.2万円

と単純計算できます。

ただし、ここは非常に大切なので誤解のないようにしておきましょう。

約542.2万円という数字は、生命保険文化センターが「1人あたり必要な介護資金」として公表している金額ではありません。

同じ調査に掲載された「月額費用の平均」「介護期間の平均」「一時費用の平均」を、本記事で機械的に組み合わせた参考試算です。

平均値同士を掛け合わせていますので、「平均的な人が実際に542.2万円負担する」という意味でもありません。

実際、介護場所によって月額費用にはかなり差があります。

生命保険文化センターによると、介護費用の月額平均は在宅が5.3万円、施設が13.8万円でした。公益財団法人 生命保険文化センター

介護期間も人それぞれです。

必要なサービス、要介護度、住環境、家族の支援、公的制度などによって実際の負担額は変わります。

ですから「介護には542万円必要だから、必ず542万円取っておきましょう」と決めるのではありません。

むしろ大切なのは、車購入で手元資金をぎりぎりまで使い切らないということです。

車は買った瞬間に生活を豊かにしてくれる一方、介護や住まいの修繕は、いつ必要になるかを正確には選べません。

退職金という大きなお金を見ると、つい「これだけあれば大丈夫」と思ってしまいます。

私は退職金を、大きな財布というより老後に何度もやって来る出費へ備える貯水タンクのようなものだと考えています。

車を買うことは、そのタンクからまとまった水を一度に使うことです。

だからこそ、残量を見ずに蛇口を全開にしないことが大切なんですね。


退職金でいくらの車を買う?購入価格ではなく10年間の総コストを見る

退職金で車を買うときは、車両価格だけでなく、その後の維持費まで一つの予算として考えることをおすすめします。

300万円の車を現金で買えば、「300万円で終わり」と感じますよね。

実際には、その後も支出は続きます。

税金、自動車保険、車検、点検、修理、燃料、駐車場、タイヤ、バッテリーなどです。

国土交通省の「車検費用の内訳」でも、車検時には点検・整備費用だけでなく、自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料などの法定費用がかかることが示されています。国土交通省

そこで私は、退職後の車では次の考え方が分かりやすいと思っています。

車の実質予算=購入総額+保有期間中の維持費

10年乗る予定なら、

購入総額+10年間の税金・保険・車検・整備・燃料・駐車場・消耗品

を見ておくわけです。

ただし「維持費は年間○万円」と全国一律の数字を置く必要はありません。

たとえば自宅に無料の駐車スペースがある人と、月2万円の駐車場を借りる人では、10年間で駐車場代だけでも大きな差になります。

月2万円なら、

2万円×12カ月×10年=240万円

です。

年間走行距離3000kmの人と1万5000kmの人なら燃料費も違います。

軽自動車と大きなSUVなら、タイヤや税負担、消耗品などにも差が出やすいでしょう。

ですから、「ネットに書いてあった平均維持費」ではなく、候補車を決めたあとに自分の条件で見積もってみてください。

長年ディーラーでお客様のお話を聞いてきた経験からいうと、退職前後の車選びで意外と多いのが、現役時代に必要だった車のサイズをそのまま引き継いでしまうことです。

子どもが小さかったころは7人乗りミニバンが必要だった。

でも今は夫婦二人。

通勤では毎日車を使っていた。

でも退職後は週に数回の買い物と通院が中心。

こうした生活の変化が起きても、車選びの頭だけ現役時代のままということがあります。

これは私の接客経験から感じてきたことで、公的統計から導いた話ではありません。

だから私は車種を考える前に、退職後の1週間を書き出してみることをおすすめしています。

月曜日は買い物。

水曜日は通院。

金曜日は趣味。

月に1回は高速道路を使って旅行。

年に数回、孫を乗せる。

これくらい具体的になると、必要なサイズや走行性能がかなり見えやすくなります。

「今まで大きな車だったから」ではなく、これからどんな暮らしをするかで選ぶわけですね。

退職後の車は、過去の家族構成に合わせるのではなく、未来の生活へサイズを合わせていく。

これも、老後資金を守るための立派な車予算対策だと私は思います。


シニアの車選びは軽自動車?車体色より優先したい5つのポイント

軽自動車やコンパクトカーは退職後の有力候補ですが、年齢だけを理由に小さな車へ乗り換える必要はありません。

All Aboutの元記事では、老後資金に余裕がなくても買い替えが必要なら、小回りの利く軽自動車やコンパクトカーを候補にする考え方が紹介されています。将来の免許返納も見据えて購入計画を考えるよう提案しています。All About(オールアバウト)

この点は私も参考になると思います。

ただし、高速道路を頻繁に走る人、夫婦で長距離旅行をする人、大きな荷物を積む趣味がある人、家族をよく乗せる人なら、普通車のほうが使いやすいケースもあります。

「シニアだから軽」ではなく、「暮らしに合うから軽」という順番がいいんですね。

そして元記事では、事故を未然に防ぐ観点から、赤・黄・オレンジなどの暖色系や、光を反射しやすい白・グレーといった車体色も提案されています。All About(オールアバウト)

ここは、私は少し違う優先順位で考えています。

車体色を否定するわけではありません。

ただ、私がディーラーの現場でお客様と車選びをしてきた経験では、日常的な扱いやすさを左右するのは、まず次のような部分でした。

  • 運転席から前後左右を見渡しやすいか
  • 無理なく乗り降りできるか
  • 自然な姿勢でペダルを操作できるか
  • 車幅や四隅の感覚をつかみやすいか
  • ナビや運転支援機能を自分で理解して操作できるか

こうした部分は、毎回車に乗るたびに関係します。

特に購入時には「安全装備が付いているから大丈夫」で終わらせず、どんな条件で作動する機能なのかを販売店で確認しておきたいところです。

運転支援機能は便利ですが、事故を完全に防ぐ装置ではありません。

同じような名称でもメーカー、車種、年式によって機能や作動条件が異なる場合がありますので、最新の仕様はメーカーや販売店で確認してください。

※画像はAIによるイメージ

そしてもう一つ、退職金で買う車では10年後の自分まで想像してみてください。

60歳で買えば70歳。

65歳で買えば75歳です。

今は問題なく乗り込める低い車でも、10年後には腰を落として乗り込むことが負担になるかもしれません。

今は気にならない車幅でも、狭い駐車場で気を使うようになるかもしれません。

反対に、「小さいほうがいいだろう」と無理にダウンサイジングした結果、高速道路での長距離移動が疲れるようでは、自分の暮らしと合っていません。

だから試乗は、走りの楽しさだけを見る場ではありません。

乗る、座る、見る、操作する、降りる。

この一連の動作を確かめる場所だと考えてみましょうね。


退職後すぐ車を買う?迷うなら1年待つのも一つの方法

退職金を受け取ったからといって、すぐ車を買わなければならないわけではありません。

私は、今の車に大きな問題がなく、買い替えを迷っている人なら、退職後の生活をしばらく経験してから決める方法も有力だと考えています。

これは公的機関の基準ではなく、私自身のディーラー経験からの提案です。

理由は単純で、退職すると車の使い方も家計も変わるからです。

通勤がなくなれば年間走行距離が減るかもしれません。

朝夕の渋滞を走らなくなれば、車に求める性能も変わります。

逆に時間ができて、夫婦旅行や趣味の遠出が増えることもあります。

現役時代には月25万円だった生活費が、退職後も同じとは限りません。

交際費が減る人もいますし、趣味や旅行が増える人もいます。

ですから、私は「必ず1年間待つべき」と言いたいわけではありません。

現在の車が故障続きだったり、安全面で買い替えが必要だったりするなら、待つ必要はないでしょう。

ただ、買い替える理由が「退職金が入ったから」だけなら、少し時間を置く価値があります。

退職後の家計を半年、1年と実際に動かしてみれば、

「毎月いくら余るのか」

「車を月に何回使うのか」

「高速道路をどれくらい走るのか」

「旅行に年間いくら使いたいのか」

が見えてきます。

すると車予算にも現実味が出てきます。

退職金は一度使えば元には戻りませんが、車は半年後でも1年後でも検討できます。

迷ったときに買わないことは、「何もしない」のではありません。

生活データが集まるまで判断を保留するという、かなり合理的な選択なんです。


退職金で憧れの車を買うのはもったいない?私はそうは思わない

ここまで老後資金の話をすると、「結局、退職したら車にはお金を使わないほうがいいの?」と感じるかもしれません。

私はそうは思いません。

生活を守る資金を確保できるなら、憧れの車を買うことは十分に意味のある退職金の使い方だと思っています。

若いころ欲しかった車に乗る。

夫婦で温泉を巡る。

仕事中心だった生活から少し離れ、自分の時間を楽しむ。

車は単なる移動手段ではありませんよね。

退職後だからこそ、行きたかった場所へ出かける相棒になることもあります。

だから「300万円を超える車はぜいたく」「500万円なら使いすぎ」と、金額だけで決める必要はありません。

見るべきなのは、その車を買ったあとも生活が安定しているかです。

たとえば、

「65歳から75歳まで夫婦で旅行を楽しむ。そのために400万円の車を買い、維持費も家計の範囲で払える」

と説明できるのであれば、私は筋の通ったお金の使い方だと思います。

一方、

「退職金が1500万円入ったから、せっかくだし700万円の車にしよう」

という理由しかないなら、一度数字を確認したほうがいいでしょう。

ディーラーにいると、オプションを一つ加え、グレードを一つ上げ、ホイールも替え……と、最初の予算から金額が膨らんでいく場面があります。

現役なら、その後の給料で資産を積み直せる可能性があります。

退職後は、その回復力が小さくなる場合があります。

だから私は、車選びを我慢比べにするのではなく、

先に上限を決め、その枠内では思い切って好きな車を選ぶ

という方法がいいと思っています。

予算300万円と決めたなら、300万円以内では堂々と楽しむ。

これなら、購入後に通帳を見るたび「使いすぎたかな」と悩みにくくなります。

老後資金を守ることと、人生を楽しむことは反対側にあるものではありません。

守る金額を先に決めるから、残ったお金を安心して楽しめる。

退職金で車を買うときに、私はこの考え方を大事にしたいですね。


まとめ|退職金で車を買うなら「何割」ではなく自由資金から決めよう

退職金で車を買うこと自体は、悪い選択ではありません。

All Aboutの元記事でも、老後の生活費や住まい、介護などに必要なお金を確認し、十分な備えがあれば憧れの車を購入するという考え方が示されています。現在の掲載ページでは2023年8月11日更新となっています。All About(オールアバウト)

その一方で、統計は更新されています。

厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」では、平均寿命は男性81.35年、女性87.33年、65歳時点の平均余命は男性19.68年、女性24.52年です。厚生労働省

生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」では、介護経験者について一時費用平均47.2万円、月額費用平均9.0万円、平均介護期間55.0カ月という結果が示されています。公益財団法人 生命保険文化センター+1

なお、本記事で示した約542.2万円は「9万円×55カ月+47.2万円」と平均値を組み合わせた単純試算であり、公的機関が示した必要介護資金ではありません。

そして、車予算を考えるときに覚えておきたいのは次の式です。

車に回せる自由資金=金融資産-老後生活の不足額-住宅関連の備え-医療・介護の備え-緊急予備資金

その自由資金から、旅行や趣味などに残したいお金を考え、購入費だけでなく維持費まで含めて車の上限を決める。

これなら、「退職金の20%なら大丈夫」といった一律の割合より、自分の家計に合った判断ができます。

そして車を選ぶときは、現役時代の車をそのまま基準にするのではなく、退職後の1週間と10年後の自分を想像してみてください。

買い物、通院、旅行、趣味。

その暮らしにちょうどいい車なら、大きくても小さくても正解になり得ます。

退職後の一台は、「買える一番高い車」でなくてもいいんです。

かといって、「とにかく安い車」に我慢して乗る必要もありません。

老後を守るお金を先によける。車に使える上限を決める。その範囲で、一番心が動く車を選ぶ。

私は、この順番こそ退職金で車を買ったあとも安心してハンドルを握るための、分かりやすい考え方だと思っています。


よくある質問

退職金で車を一括購入しても大丈夫ですか?

老後の生活費不足、住宅費、医療・介護への備え、緊急時の資金を確保したあとでも十分な手元資金が残るなら、一括購入は選択肢になります。

ただし、「ローン金利を払わなくて済むこと」と「老後資金に余裕があること」は別です。一括払い後にいくら残るのかまで確認しましょう。

退職金の何割まで車に使ってよいですか?

誰にでも当てはまる割合はありません。

退職金の割合ではなく、老後に必要なお金を差し引いた自由資金から決めるほうが、自分の家計に合った判断ができます。

退職金が同じ1000万円でも、住宅ローン、年金収支、預貯金、働く期間などによって使える車予算は変わります。

退職後は軽自動車やコンパクトカーにしたほうがいいですか?

買い物や通院など近距離利用が中心なら、軽自動車やコンパクトカーは有力な候補です。

一方、高速道路での旅行、多人数乗車、大きな荷物を積む機会が多いなら普通車が合うこともあります。

年齢だけで決めず、退職後の1週間を具体的に想像し、試乗で視界・乗降性・操作性まで確かめて選んでみましょうね。

杉原健一(すぎはらけんいち)

モーターライフ・アドバイザー

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