60歳でも申し込める車ローンはありますが、重要なのは「借りられるか」より、何歳で完済し、退職後も無理なく返せるかです。
2025年9月19日にイー・ローンで公開された相談では、地方在住で車を生活の足として使う63歳の会社員が、買い替え時にマイカーローンを利用できるかを質問しました。FPの豊田眞弓氏は、借入時・完済時の年齢条件と安定した収入を確認し、働いている間の購入検討や借入額を抑える考え方を示しています。
60歳でも車ローンは組める?63歳会社員へのFP回答とは

結論からいえば、60歳という年齢だけで車ローンを諦める必要はありません。 ただし、申込時の年齢だけではなく、「何歳までに完済するか」と「返済期間中に安定した収入が続くか」が大切になります。
元になったイー・ローンの記事は、2025年9月19日に公開されました。
相談者は63歳の会社員で、地方に住んでいるため車は生活に欠かせない存在です。そこで、60代になってから車を買い替える場合でもマイカーローンを利用できるのか、という疑問をFPの豊田眞弓氏に相談しています。
豊田氏がまず説明したのは、マイカーローンには金融機関ごとに借入時年齢と完済時年齢の条件があるという点です。
さらに、年齢条件を満たしていても、それだけで利用できるわけではありません。安定して継続する収入があるかどうかも重要で、商品によっては勤続年数などの申込条件が設けられています。
元記事で私が特に重要だと感じたのは、単純に「63歳でもローンを利用できる可能性があります」で終わっていないところです。
豊田氏は、シニア世代ではローンに頼りすぎず、できるだけ購入資金を準備して借入額を抑えることや、会社員として安定収入がある間に買い替えを検討する方法も示しています。
つまり、話の中心は「審査に通る裏技」ではありません。
これから収入の形が変わる年代だからこそ、返済の出口まで見て車を買うことが重要だという話なんですね。
私も長年ディーラーでお客様の相談を受けてきましたが、車を目の前にすると、どうしても「月々いくらなら買えるか」に意識が向きます。
けれど60歳からのローンでは、私は入口より出口を見ることをおすすめします。
「今払えるか」だけではなく、「完済する日の自分も払えるか」。
この視点が、50代までの車購入以上に大切になってきます。
車ローンの完済年齢は何歳?60歳から3年・5年・7年・10年で比較
60歳で借りた場合、3年返済なら63歳、5年なら65歳、7年なら67歳、10年なら70歳で完済します。
数字にすると当たり前に見えますが、60歳以降ではこの「何歳で払い終わるか」を先に書き出すことが、とても有効です。
返済期間 60歳で借りた場合の完済年齢 主に確認したいこと
3年 63歳 現役中に完済できるか
5年 65歳 定年や再雇用の時期と重なるか
7年 67歳 退職後の収入でも返済できるか
10年 70歳 商品の完済時年齢条件を満たすか
では、実際の金融機関では何歳まで利用できるのでしょうか。
ここでは条件の違いが分かりやすいように、全国規模の銀行、地域銀行、JAの例を比べます。以下は2026年8月14日に各公式商品情報で確認した内容です。
三菱UFJ銀行「ネットDEマイカーローン」は、申込時に満18歳以上で、完済時は満70歳の誕生日までが条件です。返済期間は6か月以上10年以内で、前年度税込年収200万円以上、勤続または営業年数1年以上などの申込条件も設けられています。
また、同商品の公式条件では年金収入のみの場合は対象外とされています。
一方、JAバンク公式サイトに掲載されているマイカーローンの融資条件例では、借入時18歳以上75歳未満、最終償還時80歳未満、融資期間は6か月以上15年以内とされています。
ただし、これは全国のJAでまったく同じ条件という意味ではありません。JAバンクも、資格や要件、融資条件は各JAによって異なる場合があると案内しています。
常陽銀行のマイカーローンは、満18歳以上70歳未満、完済時75歳未満が年齢条件です。返済期間は6か月以上10年以内で、公式商品情報では安定継続した収入のある方を対象とし、年金受給者も利用対象に含めています。
ここから分かるのは、「60歳なら車ローンが組める・組めない」と年齢だけで一括りにはできないということです。
同じ60歳でも、金融機関によって完済年齢の上限も違えば、年金収入の扱いも違います。
たとえば60歳から10年ローンを組めば、単純計算では70歳完済です。
しかし三菱UFJ銀行の商品は「満70歳の誕生日まで」という条件ですから、「60歳なら10年返済が必ず選べる」とは言えません。申込日や誕生日などを含め、実際の商品条件を確認する必要があります。
金融商品の条件は道路標識によく似ています。
昔そこを通れたからといって、今日も同じとは限りませんよね。
ローンも同じです。年齢条件、金利、返済期間などは変わる可能性がありますので、申し込む時点の公式情報を確認してください。
60歳の車ローンで定年後の返済は何が問題になる?
最大の注意点は、退職や再雇用で収入が下がっても、ローンの毎月返済額は自動的には下がらないことです。
60歳前後でローンを考えるとき、現在の給与だけを見て「月3万円なら大丈夫」と判断するのは少し危険です。
たとえば60歳で7年ローンを組めば、完済は67歳です。
65歳で現在の勤務先を退職する予定なら、残り2年間は現役時代とは違う収入で返す可能性があります。
もちろん、再雇用収入や年金、その他の収入で十分に返済できる方もいます。
ですから「65歳を超えるローンは危険」「定年前に必ず完済すべき」と一律に決める必要はありません。
見るべきなのは、年齢そのものではなく返済期間中の家計の変化です。
私はこれを「未来の家計でローンを試運転する」と考えています。
車は試乗してから購入を決めますよね。ローンも、現在の給与だけでなく、退職後を想定した家計で一度“試乗”してみるんです。
たとえば65歳以降に見込む毎月の収入から、住居費や食費、光熱費、保険料などを差し引きます。
さらに忘れたくないのが、車そのものの維持費です。
- 自動車税などの税金
- 任意保険料
- 車検・点検費用
- タイヤやバッテリーなどの消耗品
- ガソリンなどの燃料代
- 駐車場代
- 故障時の修理費
ローンが月3万円だからといって、車にかかるお金が月3万円で終わるわけではありません。
ローンの後ろから保険、税金、車検、タイヤと、維持費の一行がついてくるようなものです。
そのため60歳からのローンでは、現在よりも返済期間中で収入が少なくなりそうな時期の家計を基準に考えるほうが安心です。
元記事で豊田氏が「働いて安定した収入がある間の買い替え」も選択肢として示しているのは、この収入変化を考えると納得できます。
ただし、これは「会社員のうちなら高額な車を買っておいたほうが得」という意味ではありません。
むしろ逆で、給与収入がある間に、退職後も無理なく持てる車を冷静に選んでおく。
私は、そこに60歳前後で車を買い替える意味があると考えています。
年金生活でも車ローンは組める?金融機関で条件は違う
年金受給者が利用できるマイカーローンはありますが、年金収入だけでは申し込めない商品もあります。
この違いは、60歳以降の車ローンを考えるうえで見落としたくないところです。
2026年8月14日に確認した常陽銀行のマイカーローンでは、公式商品情報で年金受給者を利用対象に含めています。
一方、三菱UFJ銀行「ネットDEマイカーローン」は、公式の申込条件で年金収入のみの場合を対象外としています。
つまり、
「年金を受け取っていれば車ローンを組める」
とも、
「年金生活になったら車ローンは組めない」
とも一律には言えません。
金融機関ごとに申込条件が異なるからです。
また、「年齢条件を満たしていること」と「審査に通ること」も同じではありません。
金融機関が公表している年齢、収入、勤続年数などの条件を満たしたうえで審査が行われるため、条件内だから必ず借りられるというものではありません。
詳細な審査基準は一般にすべて公開されているわけではありませんので、「60歳だから不利」「会社員なら大丈夫」と単純化しないほうがよいでしょう。
まずは自分が利用を検討している金融機関の公式条件を確認する。
そのうえで、借りられる金額ではなく、自分の家計で無理なく返せる金額を決める。
順番としては、このほうが安心です。
60歳から車ローンの負担を減らす方法は?
基本は「車両価格を見直す」「借入額を抑える」「返済期間を必要以上に延ばさない」の3つです。
元記事でも、シニア世代ではローンだけに頼らず、できるだけ購入資金を準備して借入額を減らす考え方が示されています。
たとえば250万円を全額借りる場合と、200万円に車両予算を見直す場合では、そもそもの借入元金が50万円違います。
返済期間を長くして月々を小さくする前に、「本当にその価格の車が必要か」を見直すほうが、家計への効果が大きい場合があります。
ディーラーの商談では、毎月の負担を小さくするために返済期間を延ばす方法が分かりやすく見えます。
しかし返済期間が長くなれば、一般に利息を支払う期間も長くなりますし、ローン返済中に車齢も進んでいきます。
ここが60歳以降では特に重要です。
たとえば60歳で7年ローンを組めば、完済時には車も購入から7年経っています。
その間に車検やタイヤ交換など、ローンとは別の支出が発生する可能性があります。
つまり、返済期間を長くすれば月額は軽く見えても、「ローン+維持費」を支払う期間は長くなるわけです。
一方で、頭金についても「多ければ多いほど安心」とは限りません。
60歳以降は、生活の予備資金を手元に残しておくことも重要です。
頭金を大きく入れて借入額が減っても、預貯金がほとんどなくなってしまえば、住宅設備や家電の故障など予想外の支出に対応しにくくなります。
私は、借入額を減らすことと、現金を残すことの両方を見るのが現実的だと考えています。
車は生活を助ける道具です。
ローンのために家計の余白をすべて使い切ってしまっては、本来の便利さが薄れてしまいますよね。
私が60歳の車ローンで「完済後の5年」まで見る理由
ここからは、ディーラーで長くお客様の相談を受けてきた私自身の考えです。
60歳から車ローンを組むなら、完済年齢だけでなく、完済したあとの5年間まで想像してみてください。
たとえば60歳で新しい車を購入し、5年ローンを組んだとします。
65歳でローンは終わります。
ここだけを見ると、「定年のころに完済できるから安心だ」と感じますよね。
でも65歳になった時点で、その車も購入から5年が経過しています。
そして70歳まで乗る予定なら、ローンが終わったあとにもカーライフは5年間続きます。
その5年間には、走行距離や車の状態によって差はあるものの、車検、タイヤ、バッテリー、各種消耗品の交換や整備が必要になる可能性があります。
ここで私が伝えたいのは、ローンのゴールとカーライフのゴールは同じではないということです。
60歳で購入して65歳で完済する。
そのあと70歳まで乗る。
この流れを一本の時間軸にすると、
購入 → ローン返済 → 完済 → 維持 → 次の買い替え
という姿が見えてきます。
一般的なローンの説明では「何歳まで借りられるか」「何歳で完済するか」が中心になります。
もちろん、それは重要です。
ただ、実際のカーライフでは、完済した瞬間に車の費用がゼロになるわけではありません。
私は長年ディーラーの店頭でお客様と話してきましたが、購入時には「月々いくらになりますか」という質問が本当によく出ます。
一方、ローンを払い終えたあと、その車にさらに何年乗るかまで最初から考えている方は多くありませんでした。
これは無理もないことです。
新車を前にして10年先のタイヤ代を考えるのは、旅行へ出発する朝に帰宅後の洗濯物を心配するようなものですからね。
けれど60歳から選ぶ一台では、この先を見ることがかなり大切になります。
70歳まで車が必要なのであれば、
「60歳の今、その車を買えるか」
だけではなく、
「70歳まで、その車を気持ちよく持ち続けられるか」
を考えてみてください。
これが、私が60歳からの車ローンでおすすめしている「完済後の5年」という視点です。
60歳で車ローンを組む前に確認したい5項目
申し込む前に、次の5つを紙に書いて確認してみましょう。
- 利用するローンの申込時年齢・完済時年齢を公式情報で確認したか
- 自分が実際に何歳で完済するのか
- 退職・再雇用後の収入でも返済を続けられるか
- ローンと車の維持費を払っても生活予備資金を残せるか
- 完済後、その車に何年乗る予定なのか
特に意識してほしいのは、「借りられる上限」と「使ってよい予算」は別物だということです。
仮に審査上300万円まで借りられたとしても、生活に必要な車が200万円程度で見つかるなら、300万円を使い切る必要はありません。
これは若い世代にも当てはまりますが、退職や再雇用など収入の転換点が近い60歳前後では、より重要になります。
車を買う目的は、ローンを最大限まで使うことではありません。
買い物へ行ける。
通院できる。
趣味に出かけられる。
家族に会いに行ける。
そうした生活を支えることが、車の本来の役割ですよね。
だからこそ私は、60歳からの車選びでは「乗ってうれしい」と同じくらい、「払い終わったあとも安心して乗れる」を大切にしてほしいと思います。
まとめ|60歳の車ローンは「完済年齢+その後5年」で考えよう
60歳でも、商品ごとの条件を満たせば車ローンを利用できる可能性があります。
2025年9月19日に公開されたイー・ローンの相談では、地方在住の63歳会社員に対し、FPの豊田眞弓氏が借入時・完済時の年齢条件や安定収入を確認し、働いている間の買い替え検討や、購入資金を準備して借入額を抑える考え方を示しました。
また、2026年8月14日に確認した公式商品情報では、三菱UFJ銀行「ネットDEマイカーローン」は完済時が満70歳の誕生日まで、常陽銀行は完済時75歳未満です。
JAバンク公式サイトに掲載されている融資条件例では最終償還時80歳未満となっていますが、実際の条件は各JAによって異なる場合があります。
60歳から借りれば、3年返済なら63歳、5年なら65歳、7年なら67歳、10年なら70歳が完済年齢の目安です。
ただし、最長期間まで借りられることと、その期間で返すのが適切であることは別です。
大切なのは、ローンの入口より出口を見ること。
そして退職後の収入を想定し、未来の家計でローンを試運転すること。
さらに私は、完済時点だけで安心せず、完済後の5年間まで見ることをおすすめします。
60歳で買って65歳で完済し、70歳まで乗るなら、ローンが終わったあとの車検や整備、消耗品などもカーライフの一部です。
「何歳まで借りられるか」から一歩進んで、
何歳で払い終え、何歳までその車を維持するのか。
この2つをセットで考えてみてくださいね。
60歳からの一台は、単に「今買える車」を選ぶのではなく、払い終えたあとも暮らしの中で気持ちよく付き合える車を選ぶことが、安心につながると私は考えています。
よくある質問
60歳でも車ローンの審査に申し込めますか?
60歳でも申し込める商品はあります。ただし申込時・完済時の年齢条件や収入など、金融機関ごとの利用条件を満たす必要があり、実際の融資可否は審査によって決まります。
60歳で10年の車ローンを組めますか?
60歳から10年返済なら、単純計算では70歳で完済します。ただし完済時年齢の条件は商品によって異なり、「満70歳の誕生日まで」など細かな規定もあるため、申込時点の公式条件を確認してください。
年金収入だけでも車ローンを利用できますか?
商品によって異なります。2026年8月14日に確認した常陽銀行のマイカーローンでは年金受給者を利用対象に含めていますが、三菱UFJ銀行「ネットDEマイカーローン」は年金収入のみの場合を対象外としています。
金融商品の年齢条件、金利、融資期間、収入条件などは変更される場合があります。申込みを検討するときは、その時点の金融機関や信販会社の公式商品情報を必ず確認してください。
杉原健一
モーターライフ・アドバイザー



コメント