60代の「最後の車」は、安全装備・取り回し・乗降性・維持費・手放しやすさの5条件で選ぶと、70代まで無理なく付き合いやすくなります。
大切なのは「今、運転できるか」だけではありません。5年後、10年後の自分が気軽に乗れて、暮らしに無理なく馴染むかまで考えて選んでいきましょうね。
60代の「最後の車」で重視したい5つの条件とは?
結論からいうと、60代から長く乗る車では、現在の便利さと、70代になった自分の扱いやすさを両方見ることが大切です。
私なら、車名を探し始める前に次の5条件を決めます。
- 安全装備:衝突被害軽減ブレーキや踏み間違い対策など、必要な支援機能があるか
- 取り回し:車幅感覚をつかみやすく、狭い道や駐車場で負担にならないか
- 乗降性:腰や膝に無理をかけず、自然な動作で乗り降りできるか
- 維持費:税金、燃料代、保険、タイヤ、整備などを無理なく負担できるか
- 手放しやすさ:生活環境の変化や免許返納を考えたとき、売却しやすい条件か
この5条件を満たした中から、最後に「好き」と思える一台を選ぶ。
私はこの順番が、60代の車選びではとても大切だと考えています。
65歳で車を買い、8年間乗れば73歳。10年間なら75歳です。
つまり、60代の最後の車は、現在の自分が選び、未来の自分が使う車でもあるんですね。
警察庁は2026年2月26日に、2025年の交通死亡事故の特徴について公表しています。高齢運転者の事故を考える場合は、単純な事故件数だけではなく、免許保有者数など年齢構成を踏まえた指標を見ることも重要です。警察庁
ここで大切なのは、「年齢を重ねたら危ない」と決めつけることではありません。
視力、体力、反応の速さ、生活範囲は人それぞれ違います。それなら車側にも少し助けてもらい、自分が無理をしなくて済む一台を選ぶという考え方でよいのではないでしょうか。
候補5車種はなぜこの5台なのか?
この記事では、スズキ「スペーシア」、ホンダ「フィット」、トヨタ「カローラツーリング」、マツダ「CX-30」、トヨタ「シエンタ」の5台を候補として取り上げます。
理由は、特定の車格に偏らず、
軽ハイトワゴン、コンパクトカー、ステーションワゴン、SUV、コンパクトミニバン
という異なる選択肢を同じ基準で比べられるからです。
「60代だから軽自動車」という結論を先に決めるのではなく、日常の使い方によって最適な形は変わる。その違いを見るための5台なんですね。
60代の最後の車では安全装備をどう選ぶ?
60代から5年、10年と乗るなら、私は車両価格の安さだけでなく、安全装備の世代まで確認することをおすすめします。
特に確認したいのは、衝突被害軽減ブレーキ、踏み間違い時の加速抑制、車線逸脱を知らせたり抑制したりする機能、バック時の周辺確認を助ける機能などです。
ただし、安全装備には一つ大きな注意点があります。
同じ車名でも、年式や改良時期によって中身が違うことです。
中古車は「安全装備付き」だけで判断しない
中古車を探していると、「衝突被害軽減ブレーキ付き」「安全運転支援システム搭載」という表示をよく見ますよね。
しかし、それだけで新しい車と同じ機能が使えるとは限りません。
たとえば現在のカローラツーリングのプリクラッシュセーフティは、前方の車両や歩行者、自転車などに加え、交差点で右折する際の対向直進車や、右左折時に横断する歩行者・自転車にも対応する機能が案内されています。トヨタ自動車WEBサイト
またトヨタは、2022年10月以降の一部カローラシリーズについてToyota Safety Senseのソフトウェア更新情報も公開しています。安全支援機能は、車名だけでなく年式や仕様まで確認したいことが分かります。トヨタ自動車WEBサイト
ですから中古車では、
「カローラツーリングだから安全」ではなく、「この年式の、この車両には何が付いているか」
まで販売店で確認してみてください。
これはフィットでも、スペーシアでも同じです。
Hondaの現行フィットではHonda SENSINGとして、衝突軽減ブレーキや踏み間違い衝突軽減システム、路外逸脱抑制機能など複数の運転支援機能が案内されています。Honda
スズキが2023年11月9日に発表した現行世代のスペーシアでも、新しい衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートII」などの安全装備が採用されました。スズキ株式会社
中古車を選ぶときは、次のように聞いてみると分かりやすいですよ。
「この車には踏み間違い対策がありますか?」
「前と後ろの両方で働きますか?」
「この年式と新しい年式では何が違いますか?」
「駐車を助ける機能はどこまで付いていますか?」
車名より実車の装備内容を見る。これが中古車選びではとても重要です。
安全装備は「多ければ多いほど良い」わけではない
ここは、長年お客様と接してきて感じたことでもあります。
安全装備が増えるほど安心材料は増えますが、運転する人が機能を理解できなければ、その良さを十分に生かせません。
警告音が鳴ったとき、
「何の音だろう?」
と毎回戸惑ってしまう車では、かえって落ち着かない場合もありますよね。
スマートフォンも同じです。
100個の機能を持っていることより、自分が日常的に使う10個を迷わず操作できるほうが快適でしょう。
私なら最後の車では、安全装備の数だけでなく、分かりやすさまで安全性能の一部として考えます。

70代まで乗るなら取り回しと乗降性はどう確認する?
70代まで乗る可能性があるなら、車体寸法だけでなく、自分が感じる大きさと乗り降りの楽さを確認しましょう。
ここで覚えておきたいのは、「小さい車=必ず運転しやすい」ではないことです。
全長が短くても、ボンネットの先端が分かりにくかったり、斜め後方が見にくかったりすると、車両感覚をつかみにくいことがあります。
反対に少し大きな車でも、着座位置や窓の形が自分に合っていれば扱いやすく感じることもあります。
ディーラーでお客様と接していたころ、大きな車から小さな車へ乗り換えた方が、
「小さくしたのに、なぜか前より車幅が分かりにくい」
と戸惑われることがありました。
カタログ上の寸法と、運転席から感じる大きさは別物なんですね。
ですから試乗では、直線道路を走るだけでは足りません。
右折、左折、細い道、バック駐車まで試し、車の四隅を頭の中でだいたい想像できるかを確認してみてください。
乗降性は「乗れるか」ではなく「楽か」で見る
60代では、多少腰を低くしたり、足を高く上げたりしても乗れてしまいます。
だから私は、試乗のときに少し意地悪なくらい、
「75歳になっても、この動作を毎日したいかな?」
と考えてみることをおすすめしています。
低い車では腰を深く落とす動作が必要になります。
逆に背の高いSUVでは、座面へ体を持ち上げる感覚になる方もいるでしょう。
正解のシート高は人によって違います。
一度乗って「大丈夫」と判断するのではなく、運転席へ2~3回乗り降りしてみてください。
助手席に夫婦で乗るなら助手席も、家族を乗せるなら後席も確認してみましょう。
シエンタは現在も、乗り降りのしやすさや車両感覚のつかみやすさを特徴として案内しています。トヨタ自動車WEBサイト+1
こうした車は、家族の送迎や日常の乗降回数が多い方ほどメリットを感じやすいでしょう。
60代の最後の車候補5台を5条件で比べると?
ここでは、スペーシア、フィット、カローラツーリング、CX-30、シエンタを、冒頭で挙げた5条件に沿って整理します。
記号は絶対的な優劣ではありません。
◎=この5台の中で特に強みが分かりやすい、○=用途が合えば十分候補、△=購入前に負担や条件をよく確認したいという意味で使っています。
維持費については、税区分、車格、燃料、タイヤなど日常的に差が出やすい要素から相対的に見ています。
「手放しやすさ」は将来の中古車価格を保証する評価ではなく、流通量や一般的な使いやすさを踏まえた出口を考えるための目安です。実際の査定額は年式、走行距離、状態、需給で大きく変わります。
車種 安全装備 取り回し 乗降性 維持費 手放しやすさ 合いやすい使い方
スズキ スペーシア ○ ◎ ◎ ◎ ○ 買い物・通院・近距離中心
ホンダ フィット ○ ◎ ○ ○ ○ 街乗り+ときどき遠出
トヨタ カローラツーリング ◎ ○ ○ ○ ○ 高速道路・旅行・荷物
マツダ CX-30 ○ ○ ○ △ ○ SUVらしさ・運転感覚重視
トヨタ シエンタ ◎ ○ ◎ ○ ◎ 家族・孫・送迎・旅行
重要なのは、◎の数を数えて一位を決めることではありません。
自分が毎週使う場面で◎になる車を選ぶことです。
スズキ「スペーシア」|近距離中心なら扱いやすさが魅力
スペーシアは、買い物、通院、近所への外出など、日常の移動を重視する方に向いた候補です。
現行世代は2023年11月9日に発表され、11月22日に発売されました。衝突被害軽減ブレーキの刷新に加え、広い室内空間や後席の使い勝手にも工夫されています。スズキ株式会社
軽自動車なので税区分が普通車とは異なり、車体も小さいため、維持費や取り回しを重視する方にとって分かりやすいメリットがあります。
一方で、高速道路を頻繁に使う方や、大人数と荷物を載せて長距離旅行をする方は、自分の使い方に十分かを試乗で確認したいところです。
最後の車というと、「せっかくだから立派な車に」と考えたくなることがありますよね。
でも私は、60代以降ではむしろ、
駐車場を見るだけで面倒に感じない車
に大きな価値があると思っています。
車は置いて眺めるだけではなく、出かけるための道具でもあります。
「今日は車で行こう」と自然にキーを取れる。その気軽さは、とても大切ですよ。
ホンダ「フィット」|軽自動車より余裕が欲しい人へ
フィットは、軽自動車ほど小さくしたくないものの、大きな車からは卒業したいという方に合いやすい一台です。
Hondaは現行フィットについて、見通しのよい視界やHonda SENSINGによる安全運転支援などを特徴として案内しています。Honda+1
街中中心でも使いやすく、必要なら遠出もする。
この「どちらかに振り切りすぎない」立ち位置がフィットの魅力でしょう。
維持費についても、大径タイヤを履くSUVなどに比べれば負担を抑えやすいケースがあります。
ただし中古車の場合は、「Honda SENSING」という名称だけで決めないでください。
安全支援機能は年式や仕様によって異なるため、購入候補の車両にどの機能が搭載されているのかを一台ずつ確認することが大切です。
トヨタ「カローラツーリング」|夫婦旅行や高速道路を続けたい人へ
高速道路を利用した旅行や、趣味の荷物を積む生活がこれからも続くなら、カローラツーリングのようなワゴンも有力です。
60代になったからといって、無理に小さな車へ乗り換える必要はありません。
私が大切だと思うのは、
「最後だから小さくする」のではなく、「普段使わない大きさを持たない」
という考え方です。
夫婦で毎月のように遠出をするなら、荷室や長距離での安定感はぜいたくではなく、生活に必要な機能ですよね。
安全装備については、現在のカローラツーリングでプリクラッシュセーフティをはじめとした予防安全機能が案内されています。中古車では2022年10月以降かどうかも、安全装備を確認する一つの目安になります。トヨタ自動車WEBサイト+1
一方で、日常利用が近所のスーパーだけなら、ワゴンの長さや荷室を持て余す可能性があります。
年間数回の特別な日ではなく、年間300日の使い方を優先する。
最後の車では、この判断が大切です。
マツダ「CX-30」|SUVを最後まで楽しみたい人へ
「最後の車でもSUVらしい格好よさは諦めたくない」
そんな方に候補となるのがCX-30です。
2026年7月版のマツダ公式諸元では、CX-30の全長は4,395mm、全幅1,795mm、全高1,540mmです。マツダも、狭い道での扱いやすさと室内空間の両立を特徴として説明しています。Mazda日本+1
ただし、ここで見逃したくないのが全幅1,795mmです。
全長だけを見ると扱いやすそうでも、軽自動車や一般的なコンパクトカーから乗り換えると、横幅は大きく感じる可能性があります。
自宅の駐車場が狭い。
近所に細い道がある。
スーパーの古い立体駐車場によく行く。
こういう方は、カタログを眺めるだけでは分かりません。
ディーラーでお客様をご案内していたころも、SUVは走り出した直後より、駐車場に戻ってきたときに大きさを実感される方が少なくありませんでした。
ですからCX-30を試乗するなら、直線道路を気持ちよく走って終わりにせず、最後に一度バック駐車をしてみてください。
その数十秒の感覚が、長く乗る車では大切なんです。
タイヤサイズなどによって交換費用も変わるため、維持費を気にする場合は購入前にタイヤ価格まで確認しておくと安心です。
トヨタ「シエンタ」|家族や孫を乗せる機会が多い人へ
家族や孫を乗せることが多いなら、シエンタは強みが分かりやすい候補です。
現在のシエンタは、乗降性に配慮した室内設計、スライドドア、車両感覚のつかみやすさなどを特徴としています。トヨタ自動車WEBサイト+1
家族を乗せる機会が多い人にとって、スライドドアは数字以上に便利です。
狭い駐車場で隣の車を気にしながらドアを開ける場面が減りますし、乗る側にも安心感があります。
ただ、一つ考えてほしいことがあります。
「いつか大人数で乗るかもしれない」
だけで大きな車を選んでいないでしょうか。
ディーラーでお客様とお話ししていると、「年に1回、子どもたちが帰省したら全員乗るから」という理由で、普段は使わない座席数を優先される方もいました。
もちろん、それを大切にするのも間違いではありません。
ただ、年に1回7人で乗るために、残りの日々の使い勝手を犠牲にする必要があるのかは、一度考えてみてもよいでしょう。
最後の車は「最大人数」より「いつもの人数」で選ぶ。
これは、私が60代の車選びで特におすすめしたい考え方です。
維持費と手放しやすさはどう比べればいい?
60代の最後の車では、購入価格だけを見るのではなく、これから何年も払い続ける費用まで含めて考えることが大切です。
ただし、難しい計算をする必要はありません。
私はまず、次の費用を一度紙に書き出してみることをおすすめします。
燃料代、自動車税や軽自動車税、任意保険、車検、定期整備、タイヤ、バッテリー、駐車場代です。
特に見落としやすいのがタイヤです。
同じ車両価格でも、タイヤが大きくなれば交換時の負担が増えることがあります。
SUVからコンパクトカーへ乗り換えると、燃費だけではなく、こうした消耗品の金額まで変わることがあるんですね。
ですから維持費は、
「月のガソリン代はいくらか」だけではなく「数年に一度の大きな出費まで払いやすいか」
で見ると分かりやすいでしょう。
一括かローンかより「買ったあとに余裕が残るか」
購入資金についても同じです。
「現金で払えるから問題ない」
とは限りません。
一括購入なら金利負担はありませんが、預貯金が大きく減ります。
ローンなら手元のお金を残せますが、利息や手数料を含めた総支払額は増えます。
60代では、私は定年後まで支払いが残るかを必ず確認したいと思っています。
現役時代には気にならなかった月々の返済額でも、収入が変わると感じ方が違う可能性がありますからね。
大切なのは一括かローンかの勝負ではありません。
車を買ったあとも、旅行や食事や日々の暮らしを安心して楽しめるか。
そこまで含めて「買える車」だと私は考えています。
「手放しやすさ」は査定額だけではない
最後の車を買うとき、「最後なんだから売ることまで考えなくても」と感じるかもしれません。
ですが、暮らしは変わります。
夜の運転をやめるかもしれません。
高速道路を使わなくなるかもしれません。
家族から免許返納について相談される日が来る可能性もあります。
そのとき、比較的売却しやすく、査定を受けやすい一般的な車種であることは、一つの安心材料です。
ただし、私はリセールバリューだけを最優先にすることはおすすめしません。
最後の車を10年間使うとして、毎日あまり好きではない車に乗り続け、最後に少し高く売れたとしても、それだけで「得だった」とは言い切れないですよね。
売りやすさは出口の安心。好きでいられることは、乗っている年月そのものの価値。
この二つのバランスで考えてみましょう。
60代の最後の車は試乗で何を確認する?
候補を2~3台に絞ったら、最後は試乗です。
私なら、安全装備→視界→駐車→乗降性→操作性→走り→好みの順で確認します。
若いころの試乗なら、アクセルを踏んだ瞬間の力強さやハンドリングが印象に残ったかもしれません。
もちろん走りを楽しむことも大切です。
ただ、最後の車ではその前に確認したいことがあります。
まず運転席へ普通に乗ります。
腰や膝に無理がないか。
シートへ体をねじ込むような動作になっていないか。
ブレーキを奥まで踏んだとき、背中がシートから離れないか。
ここを見ます。
次に、左右の窓、ドアミラー、斜め後ろを確認します。
「見えるか」ではなく、
少し首を動かすだけで必要な場所が自然に見えるか
を意識してください。
そして、できれば一度バック駐車をします。
バックモニターや360度カメラが付いている場合でも、画面だけを見るのではありません。
画面で見える距離と、自分が実際に感じる距離感が合っているかを確認してみましょう。
ナビとエアコンも立派な試乗項目
ここは意外と見落とされます。
停車中にナビやエアコンを触ってみてください。
温度を変える。
風量を変える。
前ガラスの曇り取りを使う。
音量を変える。
安全装備の設定画面を開く。
これらを販売員の説明なしでも、ある程度迷わず操作できるでしょうか。
最近の車は、物理スイッチだけではなく、ディスプレイ内で操作する機能も増えています。
機能が豊富なのは魅力ですが、自分との相性もあります。
ディーラーの現場でも、カタログを見ている段階では装備の多さを喜んでいた方が、実際に使ってみると、
「これはちょっと難しいな」
とおっしゃることがありました。
その経験から私は、
安全装備が多い車より、安全装備を自分が理解して使える車を選ぶ
ことも、60代以降では重要だと考えています。
60代の最後の車は新車と中古車のどちらがいい?
結論からいうと、予算だけでなく、安全装備の世代まで含めて比較するなら、どちらも選択肢になります。
新車の利点は、新しい安全装備や保証を選びやすく、購入する車の仕様が分かりやすいことです。
一方、中古車には新車より予算を抑えたり、同じ予算で上位グレードを検討できたりする可能性があります。
ただし60代から長く乗る中古車では、「走行距離が少ない」という理由だけで決めないことをおすすめします。
2019年式で1万kmの車と、2023年式で3万kmの車。
どちらを選ぶべきかは、走行距離だけでは決まりません。
年式が新しい車には、安全システムの改良や装備追加が行われている場合があります。
逆に、古い車でも必要な装備がそろい、状態が良ければ十分候補になることもあります。
中古車店では、
「この車の安全装備一覧を見せてください」
と聞いてみましょう。
できればメーカーの取扱説明書や装備表とも照らし合わせてください。
「自動ブレーキ付き」という販売表示だけではなく、
何を検知するのか、どんな場面で働くのか
まで確認できると安心です。
ホンダもHonda SENSINGについて、各機能には認識能力や制御能力の限界があるとして、システムを過信しないよう案内しています。Honda
これはどのメーカーの運転支援機能についても忘れたくない考え方です。
安全装備は運転を代わってくれる魔法ではありません。
人の運転を助けてくれる、もう一人の補助役くらいに考えるのがちょうどよいでしょう。
考察|「最後の車」は小さい車ではなく、生活が小さくならない車を選びたい
ここからは私自身の考えです。
「60代の最後の車」という言葉を聞くと、どうしても、
「小さい車にしたほうがいい」
「もう高い車はいらない」
「安全第一で楽しさは二の次」
という方向へ話が進みがちです。
でも私は、それだけでは少し寂しいと思っています。
車を小さくすることが目的なのではありません。
車が負担になって外出まで減ってしまうことを避ける。
こちらが本当の目的ではないでしょうか。
大きなSUVを狭い駐車場へ入れるのが毎回おっくうなら、少し小さな車に替えることで外出が増えるかもしれません。
反対に、夫婦で旅行するのが生きがいなのに、荷物を積めないほど小さな車へ替えたことで旅行が面倒になったら、それも本末転倒ですよね。
つまり最後の車は、
「車を縮める」のではなく、「今後の暮らしに合わせて無駄を減らす」
と考えると選びやすくなります。
もう一つ、ディーラー経験から強く感じることがあります。
人は車を買うとき、どうしても「できること」を基準にしてしまいます。
7人乗れる。
大量の荷物を積める。
悪路を走れる。
高速道路で快適。
たしかに魅力的です。
でも60代からの車選びでは、「できることの最大値」ではなく、
普段もっともよくすること
を基準にしてもよい時期だと思うんです。
週5日は1人で近所へ買い物。
月に2回は夫婦で少し遠出。
年に1回だけ家族が集まる。
この生活なら、年1回のために残りの日々を我慢しなくてもよいかもしれません。
私は「最後の車」という言葉を、人生の終わりを感じさせる言葉にはしたくありません。
むしろ、
もう他人の目より、自分の生活に本当に合う一台を選べる時期
と考えています。
若いころは、車格やブランド、馬力が気になったかもしれません。
仕事上の立場で車を選んだ方もいるでしょう。
子育て中は、家族全員が乗れることが絶対条件だったかもしれません。
でも60代になると、その役目から少し自由になれます。
安全で、乗りやすい。
駐車が苦にならない。
維持費にも無理がない。
それでいて、駐車場に止まっている姿を見ると少し嬉しい。
そんな車こそ、これからの生活には合っているのではないでしょうか。
まとめ|60代の最後の車は「70代でも使いたいか」で選ぼう
60代で最後の車を選ぶなら、安全装備・取り回し・乗降性・維持費・手放しやすさの5条件から考えてみてください。
安全装備では「衝突被害軽減ブレーキ付き」という表示だけで決めず、年式や改良時期、実際に搭載されている機能まで確認することが大切です。
近距離中心ならスペーシア、軽自動車より少し余裕が欲しいならフィット、旅行や高速道路を重視するならカローラツーリング、SUVらしさを楽しみたいならCX-30、家族や孫を乗せるならシエンタというように、それぞれ得意分野があります。
ただし、車名から決める必要はありません。
「普段は何人で乗るか」「どこを走るか」「5~10年後でも扱いやすいか」を先に決め、その条件を満たす車から好きな一台を選ぶ。
私は、この順番をおすすめします。
最後の車とは、いちばん小さな車でも、いちばん安全装備が多い車でもありません。
70代になったとき、
「駐車が面倒だから今日はやめよう」
ではなく、
「ちょっと出かけてみようかな」
と思える車。
そんな一台なら、「最後の車」というより、これからの暮らしにいちばん馴染む愛車になってくれるのではないでしょうか。
よくある質問
60代の最後の車は軽自動車が一番おすすめですか?
一概には言えません。
買い物や通院など近距離中心なら軽自動車は取り回しや維持費の面で検討しやすい一方、高速道路や長距離旅行が多い方にはコンパクトカー、ワゴン、SUVなどが合う場合があります。
年齢ではなく、普段もっとも多い使い方から車格を決めることが大切です。
60代なら新車と中古車のどちらが安心ですか?
どちらにもメリットがあります。
新車は新しい安全装備を選びやすく、中古車では予算内で上位グレードなどを検討できる場合があります。
ただし中古車では、同じ車名でも年式や改良時期によって安全装備が違うことがあります。
「車名・価格・走行距離」だけでなく、その車両に搭載されている安全システムの内容まで確認して選びましょう。
60代の最後の車は何年乗る前提で選べばいいですか?
決まった年数はありませんが、購入時には5~10年後まで想像しておくと選びやすくなります。
たとえば65歳から10年間乗れば75歳です。
今は問題なく扱える車でも、75歳になった自分が駐車や乗り降りを負担に感じないか。試乗するときに、その視点を一つ加えてみてください。
杉原健一
モーターライフ・アドバイザー



コメント