フォレスターは、大きく開くドアと広い開口部、ゆとりある足元空間によって、乗り降りのしやすさに配慮されたSUVです。
ただし、全幅1,830mmのため、実際の使いやすさは身体との相性だけでなく「自宅でドアをどこまで開けられるか」まで含めて判断する必要があります。
フォレスターは乗り降りしやすい?結論は「広い入口」が大きな強み
「SUVは車高が高いから、年齢を重ねると乗り込みにくいのでは?」
50代、60代で次の車を探していると、こんなところが気になってきますよね。
結論から言えば、現行フォレスターはSUBARUが公式に「乗り降りのしやすさ」を特徴として紹介しているモデルです。
SUBARU公式サイトでは、開度と間口を広く取ったドア、ゆとりある足元スペース、大きなリヤドア開口部によって、乗員がスムーズに乗り降りできるよう配慮したと説明されています。
子どもが乗り降りしやすく、チャイルドシートのような大きな物も扱いやすい設計ですが、この特徴は50代・60代、さらに高齢の親を乗せる家庭にも関係してきます。
年齢を重ねると、車の乗降では次のような何気ない動作が気になり始めます。
- ドアを十分に開けられるか
- 頭を大きく下げずに車内へ入れるか
- 片脚を極端に高く持ち上げなくてよいか
- 腰を強くひねらず座れるか
- 降りるとき両脚を車外へ出しやすいか
- シートから自然に立ち上がれるか
若いころなら意識もしなかった動作ですよね。
ところが車は、一度買えば数年間、場合によっては10年以上使います。
55歳で買った車なら10年後には65歳、60歳で買えば70歳です。
ですから、私は50代以降の車選びでは「今日乗れるか」だけではなく、数年後にもこの動作を続けやすそうかを見ることが大切だと考えています。
現行フォレスターのボディサイズは、全長4,655mm、全幅1,830mm、全高1,730mm。最低地上高は220mmです。
ここで注意したいのが「最低地上高220mm」という数字。
「22cmも高いなら、かなり脚を上げるのでは?」と思うかもしれません。
ただし最低地上高とは、基本的には路面から車体のもっとも低い部分までの距離を示した数値です。
人が乗り込むときの座面高さを示す数字ではありません。
そのため、最低地上高だけを見て「乗り込みが高い」「乗りにくい」と判断することはできないんですね。
むしろ実際の乗降では、座面の高さ、ドア開口部、屋根までの余裕、足を置く位置、ハンドルと身体の間隔など、複数の条件が重なります。
フォレスターを見るときはスペック表だけで答えを出さず、実車で確認してみてください。
ディーラーで長くお客様の相談を受けてきた経験から感じるのは、車選びではどうしても馬力や燃費、価格といった「分かりやすい数字」が主役になりやすいということです。
でも購入後に毎日のように行うのは、アクセル全開ではありません。
ドアを開け、腰を下ろし、降りて、買い物袋を積む。
そんな地味な動作の繰り返しなんですよね。
だから私は、乗り降りの楽さは年齢を重ねるほど重要になる日常性能だと考えています。
運転席シート自動後退機能は何が便利?装備条件も確認しよう
フォレスターの乗降性で注目したい機能の一つが、運転席シート自動後退機能です。
SUBARU公式サイトでは、運転席ドアを開けると、乗り込みやすいよう運転席シートが自動的に後方へ移動する機能として案内されています。
SUBARU公式FAQでは、ドアを解錠して運転席ドアを開けた際、シートが前寄りの位置にある場合にシートを後退させる仕組みだと、より詳しく説明されています。
これがなぜ便利なのか。
シート位置が前寄りだと、乗車するときにステアリングと座席の間へ脚や腰を滑り込ませる必要があります。
人によっては、この瞬間に膝を曲げたり腰をひねったりする動きが大きくなるんですね。
シートがあらかじめ後ろへ移動すれば、身体を入れるスペースを広げやすくなります。
特に小柄な人は、運転時にシートを前へ出していることが多いため、この違いを感じやすいでしょう。
ただし、ここは誤解しないようにしたいポイントです。
運転席シート自動後退機能は「フォレスターなら必ず同じ条件で使える」と考えないほうが安全です。
SUBARU公式FAQでは、車種・グレード・メーカーオプションによって装備の有無が異なると案内されています。
また、ドライバーモニタリングシステムのユーザー情報連動機能がONの場合に作動し、運転席シート自動後退機能そのものも初期設定ではOFFとされています。
つまり、納車された車で何もしなくても必ず動くとは限りません。
購入時には、
「検討しているグレードで運転席シート自動後退機能は使えますか?」
と具体的に販売店へ確認すると安心です。
さらに、現行フォレスターにはグレードによって運転席10ウェイパワーシートや助手席8ウェイパワーシート、アクセスキー対応の運転席シートポジションメモリー機能などが設定されています。
シートポジションメモリーでは、あらかじめ登録した運転席位置とドアミラー角度を再現できます。
これは夫婦で一台を共用するときにも便利ですよね。
たとえば夫が運転したあとに妻が乗るたび、
「シートが遠い」
「ミラーが上を向いている」
と毎回合わせ直すのは、小さなことですが積み重なると面倒です。
登録した位置へ戻せるなら、単なる豪華装備ではありません。
毎回、自分に合った運転姿勢を一から作り直す手間を減らせる機能と考えられます。
50代・60代の車選びでは、こうした「一回なら気にならない小さな面倒」を減らせるかどうかも、私は大事にしてよいと思います。
フォレスターの後席は高齢の親にも使いやすい?
50代になると、自分自身のことだけでなく、
「これから70代、80代の親を病院へ乗せる機会が増えるかもしれない」
と考える方もいますよね。
その場合、運転席以上に確認したいのが後席の乗降性です。
SUBARUは現行フォレスターについて、大きなリヤドア開口部、広い間口、ゆとりある後席足元スペースによって乗り降りしやすい設計として紹介しています。
ここで大切なのは、「ドアが大きいから楽」と一つの条件だけで考えないことです。
高齢の人が後席から降りる場面を思い浮かべてみましょう。
足元が狭い車では、膝を曲げ、つま先を手前へ引き、身体を横向きにしながら脚を外へ出さなければならない場合があります。
それだけなら若い人には何でもない動作です。
しかし膝や股関節を動かしにくくなってくると、身体をひねりながら脚を抜く動作そのものが負担になることがあります。
そのため後席を見るときは、
ドアの開口部+足元スペース+座面の高さ
をセットで確認すると分かりやすいんですね。
ただし、フォレスターにはもう一つ確認してほしいポイントがあります。
それが全幅1,830mmという車体幅です。
車そのものに大きく開くドアが用意されていても、駐車環境が狭ければ、その長所を十分に生かせません。
たとえば展示車を見るとき。
左右に何もない広い場所でドアを大きく開けば、
「おお、これは乗りやすい」
と感じるでしょう。
ところが自宅へ帰ると、右側には壁、左側には家族の車。
ドアを半分も開けられない。
これでは条件がまったく違いますよね。
「大きく開くドア」と「狭い場所でも乗りやすい」は同じ意味ではありません。
ここはフォレスターを検討するうえで、とても重要なポイントです。

私はそこで、試乗時に「自宅駐車場再現テスト」をしてほしいと思っています。
難しいことではありません。
自宅で普段どの程度ドアを開けられるかを確認し、試乗車でもそれに近い開き方にして乗り降りするだけです。
たとえば運転席ドアを全開ではなく半開程度にして、
「この状態でも腰を強くひねらず出られるか」
を確かめます。
高齢の親を後席へ乗せる予定があるなら、できれば本人にも実際に乗ってもらってください。
見るのは「乗れたかどうか」だけではありません。
頭を大きく下げていないか。
脚を勢いよく持ち上げていないか。
座る瞬間に腰をドスンと落としていないか。
降りるとき片脚へ大きく体重をかけていないか。
こうした動作の中に、その人と車との相性が表れます。
カタログには「あなたのお父さんが乗りやすいか」までは書いてくれません。
最後は、本人の身体で確認するのが一番確実なんですね。
50代・60代なら荷物の積み降ろしまで確認したい
乗り降りのしやすさを考えるとき、人間だけを見て終わってしまうのは少しもったいありません。
車を使えば当然、荷物も積み降ろします。
スーパーの買い物袋。
旅行バッグ。
キャンプ用品。
ゴルフバッグ。
趣味の道具。
年齢を重ねるほど、「何kg積めるか」よりどういう姿勢で積むことになるかも重要になってきます。
現行フォレスターの公式寸法では、荷室開口部最大幅は1,250mm、荷室フロア長は928mm、ホイールハウス部分の荷室フロア幅は1,100mmです。
荷室高は887mmで、大型サンルーフ装着車では条件が異なると案内されています。
開口部が広いことのメリットは、単に大きな荷物を載せられることだけではありません。
荷物を斜めにしたり、身体を大きくひねったりしながら押し込む動作を減らしやすいことにもあります。
さらに現行フォレスターには、グレードによってキックセンサー式ハンズフリーパワーリヤゲートが設定されています。
アクセスキーを携帯し、リヤバンパー下で足を動かすことでリヤゲートを開閉できる仕組みです。
買い物袋を両手に持っている場面を想像すると、便利さが分かりやすいですよね。
通常なら、
荷物をいったん地面へ置く。
リヤゲートを開ける。
もう一度荷物を持ち上げる。
という動作が必要です。
ハンズフリーで開けられれば、この一手間を減らせます。
「それくらい大したことじゃないよ」
と思われるかもしれません。
確かに一度だけならそうでしょう。
でも55歳で車を買って10年間使えば65歳です。
60歳なら70歳。
車選びでは、購入した日の自分だけでなく、数年後の自分もその車を使うと考えてみてください。
だから私は荷室を見るとき、
「広いですね」
で終わらせないようおすすめしています。
リヤゲートを開け、自分で荷室の奥へ手を伸ばしてみる。
重い旅行バッグを持ち上げるつもりで身体を動かしてみる。
後席を倒す操作も試してみる。
それだけで、写真や容量の数字からは分からない使い勝手が見えてきます。
そして装備については必ず、「フォレスターに設定があるか」ではなく「自分が買うグレードに付くか」で確認してください。
同じフォレスターという名前でも、装備内容はグレードによって異なります。
この確認を商談の最初にしておくだけでも、購入後の勘違いをかなり防ぎやすくなりますよ。
フォレスターを試乗するなら「3回乗降テスト」をしてみよう
フォレスターが乗り降りしやすさに配慮して設計されていることは、SUBARUの公式情報から確認できます。
でも、最終的にあなたにとって乗りやすいかどうかを決めるのは、カタログではありません。
あなた自身の身体です。
そこで私が50代・60代の方におすすめしたいのが、同じ条件で複数回乗り降りする「3回乗降テスト」です。
一度だけ乗って終わりにしません。
まず運転席へ乗り込み、シート、ステアリング、ミラーを実際の運転位置へ合わせます。
そこから一度降り、もう一度乗ります。
さらにドアの開き幅を狭くして、もう一度繰り返します。
確認したいのは次のポイントです。
- 頭を大きくかがめず乗れるか
- 膝を必要以上に持ち上げていないか
- ハンドルへ脚が当たりそうにならないか
- 腰を強くひねらず座れるか
- 降車時に両脚を自然に外へ出せるか
- 立ち上がる瞬間に無理がないか
- ドアを半開にしても同じ動作ができるか
- 助手席、後席でも無理がないか
- 夫婦で使うなら二人とも問題ないか
なぜ一度ではなく3回なのか。
新しい車へ初めて乗ったときは、気持ちが上がっています。
内装はきれいですし、新車の香りもします。
例えるなら旅行先のホテルへ着いた直後みたいなもので、ちょっとしたことまで素敵に感じるんですよね。
その状態では、
「乗りやすい!」
と感じても不思議ではありません。
ところが同じ動作を何度か繰り返してみると、
「降りるときだけ右膝をひねるな」
「ドアが半開だと急に出にくいな」
「妻には座席が少し高いみたいだな」
という小さな違和感が見えてくることがあります。
私はむしろ、その小さな違和感を見つけることこそ試乗の大きな目的だと思っています。
運転席シート自動後退機能を重視しているなら、販売店で実際に作動方法も確認してみましょう。
「何cm動くか」という数字だけではなく、シートが動いた結果、
膝の周りに余裕ができるか。
脚を振り出しやすくなるか。
腰をひねる量が減るか。
そこを見るほうが実用的です。
そして自宅駐車場も忘れてはいけません。
フォレスターは全幅1,830mmです。
重要なのは、駐車枠へ車が収まるかだけではありません。
車を停めたあと、人間が無理なく降りられるか。
ここまで確認して初めて「自宅で使いやすい車」と言えるんですね。
フォレスターは50代・60代に向く?私が重視するのは「小さな負担の少なさ」
ここからは、SUBARUの公式情報と、これまで見てきた条件を踏まえた私自身の考察です。
私はフォレスターを、単純に「シニア向けSUV」と分類するのは少し違うと感じています。
むしろ魅力は、年齢にかかわらず面倒になりやすい日常動作を少しずつ軽くする工夫が重なっていることではないでしょうか。
大きなドア開口部。
ゆとりある足元。
運転席の調整機能。
仕様によって使えるシートポジションメモリー。
運転席シート自動後退機能。
ハンズフリーパワーリヤゲート。
一つずつ見ると、
「なくても運転できるよ」
というものばかりです。
その通りなんです。
でも車という道具は、毎日のように使います。
仮に一日に4回乗り降りするだけでも、1年間では1,000回を大きく超えます。
そこへ買い物、旅行、通院、家族の送迎、荷物の積み降ろしが加わります。
だからこそ、一回の負担が少し軽くなることには、長く乗るほど意味が出てくると私は考えています。
一方で、フォレスターなら誰にでも乗りやすいと断定するつもりはありません。
最大の確認ポイントは、やはり全幅1,830mmでしょう。
昔ながらの住宅地にある狭い駐車場。
横に柱がある機械式・立体駐車場。
家族の車と並べる自宅駐車場。
こうした環境では、フォレスター本来の大きなドア開口部を十分使えない可能性があります。
また、身体の大きさによって感じ方も変わります。
小柄な人にとっては乗り込み位置が高く感じる場合もありますし、反対に低いセダンへ身体を沈み込ませるほうがつらく、SUV程度の高さのほうが立ち座りしやすい人もいるでしょう。
つまり、
フォレスターは乗降性に配慮されたSUVではあるものの、「誰でも楽」とは言い切れない。
これが私の評価です。
そして、もう一つ大切にしたい視点があります。
50代・60代からの車選びでは「老後を心配して仕方なく楽な車を選ぶ」と考える必要はありません。
むしろ逆です。
好きな車で旅行へ行きたい。
夫婦で遠出したい。
趣味の道具を積みたい。
親を乗せて出かけたい。
その時間を長く楽しむために、乗り降りの負担を確かめておく。
そう考えると、乗降性チェックはずいぶん前向きな車選びになりますよね。
私は、車の本当の使いやすさはカタログの一番大きな数字ではなく、こういう日常の中へ表れると思っています。
朝、ドアを開けてスッと座れる。
帰宅して疲れていても無理なく降りられる。
両手に荷物を持っていてもリヤゲートを扱いやすい。
親が後席からゆっくり降りられる。
そういう瞬間に、
「この車を選んでよかったな」
と感じるのではないでしょうか。
フォレスターは、その意味で「展示場で一度乗って判断するより、日常を再現して試したいSUV」だと私は考えています。
まとめ:フォレスターの乗り降りは「ドア・シート・駐車環境」で判断しよう
現行フォレスターは、大きなリヤドア開口部、広い間口、ゆとりある足元スペースなど、SUBARUが乗り降りのしやすさを意識して設計しているSUVです。
全長4,655mm、全幅1,830mm、全高1,730mm、最低地上高220mmで、荷室も開口部最大幅1,250mm、フロア長928mmなど実用性を意識した寸法になっています。
さらに仕様によって、運転席シート自動後退機能、運転席10ウェイパワーシート、シートポジションメモリー、キックセンサー式ハンズフリーパワーリヤゲートなど、日常の動作を助ける装備が設定されています。
ただし、運転席シート自動後退機能には装備条件や設定条件があり、公式FAQでも車種・グレード・メーカーオプションによって異なると案内されています。
購入時は「フォレスターに付いているか」ではなく、自分が選ぶグレードに付いているかを確認しましょう。
そして何より大切なのが試乗です。
ドアを全開にして一度乗るだけではなく、自分の運転位置にシートを合わせて複数回乗り降りする。
ドアを半開にしてもう一度試す。
夫婦で使うなら二人とも確認する。
高齢の親を乗せるなら、可能であれば本人にも後席へ座ってもらう。
自宅駐車場では、車が入るかだけでなく人が出入りできる余白まで確かめる。
「今、乗れるか」ではなく「この動作を数年後も無理なく繰り返せそうか」。
この視点まで持って試乗すると、フォレスターがあなたにとって本当に乗り降りしやすい一台なのか、かなり判断しやすくなると思いますよ。
よくある質問
フォレスターは50代・60代でも乗り降りしやすいですか?
現行フォレスターは、大きなドア開口部や広い間口、ゆとりある足元スペースなど、乗降性に配慮されています。
ただし、身長や脚・腰の動かしやすさによって感じ方は変わります。試乗ではシートを実際の運転位置へ合わせ、複数回乗り降りして確認してみてください。
フォレスターの運転席シート自動後退機能は全車に付いていますか?
車種・グレード・メーカーオプションによって装備の有無が異なるとSUBARU公式FAQで案内されています。
また、ドライバーモニタリングシステムのユーザー情報連動機能がONの場合に作動し、運転席シート自動後退機能の初期設定はOFFです。検討している仕様で使えるか、購入前に販売店で確認しておくと安心です。
高齢の親を後席に乗せる場合は何を確認すればいいですか?
頭を大きく下げずに乗れるか、脚を無理に持ち上げていないか、腰を強くひねらず座れるか、降車時に自然に両脚を外へ出して立ち上がれるかを確認してみてください。
フォレスターは全幅1,830mmあるため、ドアを全開にした状態だけでなく、自宅駐車場を想定した狭い開き幅でも試すことが大切です。
筆者:杉原健一(モーターライフ・アドバイザー)



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