現行フリードは、大開口スライドドア、ワンステップ低床フラットフロア、大型アシストグリップを備え、高齢者の乗り降りを考えやすい一台です。ただし、本人の足腰や身長によって適性は変わるため、最終判断は実車で行うのが確実です。
Honda「クルマ家族会議」でも、高齢の母親の通院や旅行に使う車としてフリードが検討され、低床やスライドドアを評価する一方、「本人を連れて試すべき」という意見が寄せられていました。今回は、その過去の体験談と2024年6月28日に発売された3代目・現行フリードの公式仕様を分けて確認していきます。Honda+1
現行フリードは高齢者が乗り降りしやすい?結論は「試す価値が高い」
結論からいうと、現行フリードは高齢の家族を乗せる用途で、実車確認の候補に入れやすい車です。
Honda自身が現行型について、「大開口スライドドア&ワンステップ低床フラットフロア」を採用し、ステップを低くしてフロアとの段差を少なくするなど、乗り降りのしやすさに配慮したと説明しています。さらに2列目のセンターピラーには、乗降を助ける大型アシストグリップが設けられています。Honda+1
2024年6月28日に発売された現行型は3代目フリードです。したがって、ネット上にある初代・2代目フリードの口コミを、そのまま現行型の性能として受け取らないことが大切ですね。Honda+1
ここは今回の記事で特に整理しておきたいところです。
Honda「クルマ家族会議」の「高齢の母に優しいクルマ」は、現在もHonda公式サイトで閲覧できますが、内容は現行3代目が登場するより前に寄せられた体験談です。掲載ページには公開日の明記を確認できないため、過去オーナーの経験として読むべき資料であり、「現行フリードで同じ結果になる」とは断定できません。Honda+1
一方、そこで語られた「最初の一歩が上がるか」「つかまる場所があるか」「狭い駐車場で介助しやすいか」という視点は、今の車選びにも十分役立ちます。
つまり、
過去の体験談で見るべきポイントを知り、現行車の公式仕様と実車で答え合わせする。
この順番で考えると、かなり判断しやすくなります。
Honda「高齢の母に優しいクルマ」では何が語られていた?
Honda「クルマ家族会議」のテーマは、その名の通り「高齢の母に優しいクルマ」です。
相談者は、高齢の母親を通院へ連れて行ったり、ときどき一緒に旅行したりするための車を探していました。足腰が弱ってきていることから、乗り降りしやすい車が欲しいという相談で、検討車種としてフリードが挙げられています。
ページ上では投稿数14件と表示され、フリードだけでなくN-BOX、ステップワゴン、福祉車両なども含めてさまざまな意見が寄せられていました。Honda+1
なかでも印象的なのが、足腰の弱い叔母を乗せた経験を持つ投稿者の話です。
自分では乗り降りしやすいと思っていた車でも、実際の高齢者には「最初の一歩」が上がりにくかったという経験から、スライドドアと低いフロアを持つフリードを評価しています。Honda
これはシニア向けの車選びで、とても重要なヒントだと私は感じます。
若いころなら気にならない数センチの違いでも、足を持ち上げる力が弱くなれば、その小さな段差が玄関の高い上がり框のように感じられることがあります。
一方、別のフリードオーナーからは、祖母の通院で助手席を利用して乗降に問題がなかったことや、別の祖母を買い物へ連れて行った際に、スライドドア付近のアシストグリップを使って乗り降りできたという経験も紹介されています。Honda
さらに、「乗り降りしやすさを100点満点で個人的に70点」と評価し、足腰の弱い人には床が高く感じる可能性があるため、N-BOXも含め販売店で実際に試したほうがよいとする意見もありました。Honda
ここが大事なんですよね。
Honda公式コミュニティだからといって、「フリードは高齢者に最適」という意見だけが並んでいるわけではありません。
「フリードは良かった」という経験と、「本人によってはもっと乗りやすい車がある」という意見の両方がある。
むしろ、このばらつきこそ乗降性の本質を表しているように思います。
現行フリードの低床・スライドドア・グリップはどうなっている?
では、ここからは過去の体験談ではなく、現在販売されている3代目フリードを見ていきましょう。
Honda公式情報で確認できる乗降関連のポイントを整理すると、次のようになります。
確認項目 現行フリードで確認できる内容 シニア目線で見る意味
後席ドア 大開口スライドドア 狭い駐車場でも横に張り出しにくい
足元 ワンステップ低床フラットフロア 足を何段も上げる動作を減らしやすい
つかまり 大型アシストグリップ 乗降時に手で体を支えやすい
センターピラー 手をかけやすい形状 乗降動作の補助になる
取り回し 最小回転半径5.2m 病院やスーパーの駐車場でも扱いやすさを判断しやすい
Hondaは現行フリードについて、大開口スライドドアとワンステップ低床フラットフロアを採用し、「ステップを低くしフロアとの段差を少なくする」ことで乗降しやすさへ配慮したと説明しています。Honda
また、3代目の開発資料では、先代から大型アシストグリップを継承したうえで、センターピラー下部にも指をかけやすい形状を取り入れたことが説明されています。もともとは子どもの乗降性まで考えて設計された部分ですが、「乗る瞬間につかまれる場所がある」という点は高齢者にも確認しておきたいポイントでしょう。Honda
ここで一つ、数値について注意があります。
歴代フリードの資料には「床面地上高390mm」という数値が見つかるため、ネットではフリードの乗降高として390mmが紹介されることがあります。しかし、これは初代など過去モデルの資料に記載された数値であり、現行3代目の通常モデルのスライドドア乗降口について、その数値をそのまま使うのは適切ではありません。初代ではFF車の2列目床面地上高390mmと明記されていました。Honda
現行フリードの公式商品ページでは「ステップを低くした」と説明されていますが、通常モデルのスライドドア部分について同じ390mmという数値を公式ページ上で確認できません。Honda
なお、現行のFREED CROSSTAR車いす仕様車では、Honda測定値としてステップ高390mm、後方の車いす乗車口は最大開口幅1,080mm、開口高1,300mmとされています。ただし、これは福祉車両の後部乗車設備の寸法ですから、一般仕様車の2列目スライドドアの数値として流用してはいけません。Honda
数字があると安心してしまいますが、数字の「どこの高さなのか」を間違えると、物差しそのものが別物になってしまいます。
シニア向けの車ほど、こうした区別は丁寧にしておきたいですね。
フリードのスライドドアは高齢者の乗降で何が便利?
スライドドアのメリットは、「ドアパンチを起こしにくい」だけではありません。
高齢の家族を乗せる場合には、乗る本人と介助する家族の立ち位置を確保しやすいことが大きな意味を持ちます。
一般的なヒンジ式の後席ドアは、開けるとドアそのものが横へ張り出します。
隣に車が止まっていれば、ドアと隣の車の間へ人が入り込むような姿勢になることもありますよね。
高齢者が一人で乗るだけなら問題がなくても、家族が腰や腕を支えるとなると話が変わってきます。
スライドドアなら車体に沿って後方へ開くため、ドアが介助者の前に立ちはだかりにくくなります。
Honda「クルマ家族会議」でも、スライドドアなら足腰の弱い人を支える際に、乗降のアシストをしやすいのではないかというオーナーの意見が寄せられていました。Honda
私はディーラーの店頭で車選びの相談を受けてきた中でも、「本人は乗れるけれど、家族が支えようとすると狭い」という場面を考える必要があると感じてきました。
たとえば助手席ならドアを開け、その外側から体を支えることになります。
2列目スライドドアなら、開口部の横に立ちながら、腕や背中へ手を添えやすい。
これはカタログ写真だけでは見落としやすい違いです。
そして現行フリードには、スライドドア部分の大型アシストグリップがあります。
高齢者の乗降は、
「足をステップへ置く」
「手で体を支える」
「体重を車内へ移す」
「腰をシートへ下ろす」
という一連の動作で考えたほうが分かりやすいんですね。
床だけ低くても、つかまる場所が遠ければ不安になる人がいます。
逆にグリップが立派でも、一歩目が高すぎれば使いにくい。
手と足をセットで確認する。
これがフリードの乗降性を見るときの基本です。

高齢者には「低い車」と「背の高い車」のどちらが楽?
高齢者向けだからといって、車は低ければ低いほど乗りやすいわけではありません。
反対に、背が高ければ高いほど楽というわけでもありません。
Honda「クルマ家族会議」でも意見が分かれていました。
ある投稿者は、晩年に足腰が弱った祖母が低い車へ乗り降りするのを大変そうにしていた経験から、ある程度高さのある車をすすめています。別の投稿では、2006年式ステップワゴンを使っていた母親が低床による乗りやすさを感じていたという経験が紹介されています。Honda
一見すると正反対の意見ですよね。
でも、私は矛盾していないと思います。
高齢者にとって負担になる動作は、大きく分けて二つあります。
一つは脚を高く持ち上げること。
もう一つは、低い位置まで腰を落とし、そこから立ち上がることです。
たとえばスポーツカーは床が低くても、シートへ深く腰を沈める必要があります。
降りるときには、低い椅子から「よいしょ」と立ち上がるような動作になりますよね。
反対に背の高いSUVでは、腰を深く落とさなくて済む代わりに、乗る瞬間に脚を高く上げなければならない場合があります。
だからシニア向けの車選びでは、
「何mm低いか」だけでなく、地面からシートまで身体をどう移動できるか
を見ることが重要です。
フリードのワンステップ低床フラットフロアとスライドドアは、この一連の動作を比較しやすい設計です。
ただし、「だから誰でも楽」とまでは言えません。
膝が曲がりにくい人と、股関節を上げにくい人では、楽な高さが違うからです。
車選びは靴選びに少し似ています。
評判のいい靴でも、足の形が違えば合わないことがありますよね。
「フリードが高齢者向けと評価されている」ことと、「あなたの家族にフリードが合う」ことは分けて考える。
ここは忘れないでください。
通院や旅行でフリードを使うなら何を確認する?
Honda「クルマ家族会議」の相談者が求めていたのは、高齢の母親を通院へ連れて行くだけの車ではありませんでした。
ときどき一緒に旅行することまで想定しています。Honda
ここにフリードを検討する意味があります。
乗降だけを最優先するなら、N-BOXなど別の選択肢もあります。実際、「高齢の母に優しいクルマ」の回答でもN-BOXを候補に挙げる声が複数ありました。Honda+1
しかし、通院、買い物、家族との遠出まで一台でこなしたい場合には、乗降性以外の要素も必要です。
現行フリードの最小回転半径は5.2mです。大きなミニバンほどの車体を必要とせず、日常の駐車と多人数・多用途の使い勝手を両立しようとしたサイズ感が特徴といえるでしょう。Honda
ただ、私がシニアの家族用としてもっと重視したいのは、カタログ上の「乗れる人数」より一日に何度乗り降りするかです。
通院の日を想像してみましょう。
自宅で乗る。
病院で降りる。
診察後に乗る。
薬局で降りる。
また乗る。
帰宅して降りる。
これだけで何度も身体を持ち上げ、ひねり、支えることになります。
一回だけ展示車に乗って「乗れたから大丈夫」と判断すると、ここを見落とします。
本当に確認したいのは「乗れるか」ではなく、「何度繰り返しても負担が大きくないか」です。
私はこの視点が、シニア向けのフリード選びではかなり重要だと考えています。
さらに将来の身体状態も考えておきたいところです。
Honda「クルマ家族会議」でも、将来的な変化を見据えて福祉車両や回転シートなどを検討してはどうかという意見がありました。Honda
現行フリードにもCROSSTARをベースにした車いす仕様車が設定されています。
車いす仕様車では、後部にスロープを備え、最大開口幅1,080mm、開口高1,300mm、スロープ幅640mmなどの寸法がHonda測定値として公表されています。通常のフリードとは用途が異なりますが、将来介助の必要性が高くなりそうな家庭では「今の乗りやすさ」だけでなく、「数年後まで同じ車で対応できるか」を相談する材料になります。Honda
フリードをシニア用に試乗するとき何を確認する?
シニアのためにフリードを選ぶなら、走行試乗の前に乗降だけを5分ほど確認することをおすすめします。
アクセルの反応や乗り心地を見る前に、「そもそも苦労せず座れるか」を確認するわけですね。
見るポイントと、気になるサインを整理すると次のようになります。
- 最初の一歩:脚を勢いをつけずにフロアへ上げられるか。何度もつま先が引っ掛かるなら注意。
- 手の位置:アシストグリップへ自然に手が届くか。体を大きく伸ばさないと届かないなら負担になる。
- 頭の動き:頭を極端に下げずに入れるか。首や腰を大きく曲げるなら確認が必要。
- 腰の移動:身体を強くひねらずシートへ座れるか。「お尻を横へ移す」感覚で座れると負担を抑えやすい。
- 降りる動作:両足を地面へ下ろしたとき、怖さなく身体を立てられるか。乗車より降車のほうが苦手な人もいる。
- 介助者の位置:家族が横に立って肩や腕を支えられるか。スライドドアの強みを実際に確認する。
- 反復したときの疲れ:一度ではなく3〜4回繰り返し、息が上がったり動作が遅くなったりしないかを見る。
本人へ「大丈夫?」とだけ聞くのは、あまりおすすめしません。
家族に迷惑をかけたくない気持ちから、「大丈夫だよ」と答える方もいますよね。
代わりに、
「足を上げるのは高くなかった?」
「降りるときは怖くなかった?」
「どこにつかまるのが一番楽だった?」
と、動作ごとに聞いてみてください。
答えが具体的になります。
助手席と2列目の両方を試すことも大切です。
過去の「クルマ家族会議」には祖母を助手席へ乗せて通院していた例がある一方、スライドドア側のアシストグリップを使った乗降例もあります。Honda
「いつも助手席」と最初から決める必要はありません。
試してみたら、2列目のほうが楽だった。
あるいは助手席のほうが腰を移しやすかった。
そんなことも十分考えられます。
シニア向けの試乗は、車の性能試験というより家の玄関に手すりを付ける前の確認に近いんですね。
本人の身体に合わせて、「どの動作なら無理なく続けられるか」を探してみましょう。
シニア目線で現行フリードの乗降性をどう評価する?
ここからは、公式情報と過去の利用者体験を踏まえた私見です。
私は現行フリードを、高齢の家族の送迎車として有力な比較候補の一つだと考えます。
理由は「床が低いから」だけではありません。
現行型では、大開口スライドドア、ワンステップ低床フラットフロア、大型アシストグリップという、乗降時に関係する要素が一つの車にまとめられています。Honda+1
つまり、
足を置く。
手で支える。
体を車内へ移す。
座る。
家族が横から支える。
この一連の動作を考えやすいわけです。
一方で、「フリードは高齢者なら誰でも楽」と評価するのは違うと思います。
Honda公式コミュニティでも、フリードを高く評価する人がいる一方、N-BOXのほうが乗り降りしやすいと感じた人や、本人を連れて複数車種を試すよう勧めた人がいました。Honda+1
私はむしろ、この評価の分かれ方を信頼したいですね。
乗降性には、100人全員に当てはまる正解がありません。
身長、脚力、膝や股関節の動かしやすさ、握力、杖の有無によって「楽な車」は変わります。
ですからフリードを見るときには、「シニア向けだから買う」のではなく、「シニア向けとして試す価値があるから乗ってみる」くらいの距離感がちょうどいいと思います。
そして、試乗で私が最も見てほしいのは本人の表情です。
乗るたびに「よいしょ」と身構えるのか。
それとも、何気なく手を伸ばし、そのまま自然に座れるのか。
カタログには載らない違いですが、何年も使う車ならこちらのほうが重要かもしれません。
車の乗降性は単なるスペックではありません。
「病院へ行くことが以前ほど大仕事ではない」「また家族で出かけようと思える」――そんな日常にも関わる性能だと私は考えています。
まとめ:現行フリードは数字だけでなく「本人の動作」で判断しよう
現行3代目フリードは2024年6月28日に発売され、Honda公式情報でも大開口スライドドア、ワンステップ低床フラットフロア、大型アシストグリップなど、乗降のしやすさへ配慮した設計が確認できます。Honda+1
一方、Honda「クルマ家族会議」の「高齢の母に優しいクルマ」は過去モデル時代の体験談です。祖母の通院や買い物で問題なく乗り降りできたという声もあれば、N-BOXのほうが乗降しやすいという評価や、本人を連れて試乗すべきという意見もありました。Honda+1
だからこそ、過去の口コミと現行型の仕様は分けて考えましょう。
そして展示車では、床だけを眺めるのではなく、最初の一歩、グリップへの手の届き方、腰のひねり、降車時の怖さ、介助者の立ち位置まで確認してください。
一度乗れることより、3回、4回と繰り返しても楽であること。
そこまで確認できれば、「フリードは本当にわが家の高齢者が乗り降りしやすいのか」という疑問に、カタログより確かな答えが見えてくるはずですよ。
よくある質問
現行フリードは高齢者でも乗り降りしやすいですか?
現行フリードには、大開口スライドドア、ワンステップ低床フラットフロア、大型アシストグリップがあり、Hondaも乗降しやすさへ配慮した設計と説明しています。Honda+1
ただし、足腰や身長によって感じ方は変わります。実際に乗る本人が助手席と2列目の両方で試すことをおすすめします。
現行フリードのステップ高は390mmですか?
通常モデルの2列目スライドドアについて、現行Honda公式商品ページでは390mmという数値を確認できません。過去の初代フリードではFF車の2列目床面地上高390mmが公表されていましたが、これを現行型の数値として扱うのは適切ではありません。Honda+1
現行CROSSTAR車いす仕様車にはステップ高390mmというHonda測定値がありますが、これは福祉車両の設備寸法なので、一般仕様車のスライドドア乗降口とは分けて考えましょう。Honda
フリードを高齢者用に試乗するとき何を見るべきですか?
特に確認したいのは、最初の一歩、アシストグリップへの手の届き方、腰のひねり、頭上の余裕、降車時の足の着き方、介助する家族の立ち位置です。
一度だけ乗るのではなく数回繰り返し、「頑張れば乗れるか」ではなく「毎日の通院でも負担なく繰り返せそうか」という基準で判断してみてくださいね。
杉原健一
モーターライフ・アドバイザー



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