60代が新車と5年落ち中古車を10年間所有する独自試算では、中古車が約20万円安くなりますが、追加修理費によって逆転する可能性があります。
購入時には120万円もの価格差があっても、10年間の整備費や燃料費、税金、売却額を含めると、その差は大幅に縮まるのです。
今回は、車の年式や走行距離、税金の計算条件をそろえ、60代から70代まで安心して乗るための選び方を考えてみましょうね。
60代の新車と中古車はどちらが安い?10年間の総費用を比較
今回の独自試算では、新車の10年間総費用は約422.5万円、中古車は約402.9万円となり、中古車が約19.6万円安い結果になりました。
ただし、これは特定車種の実際の販売価格や修理実績を集計したものではありません。
新車250万円、5年落ち中古車130万円という購入条件を設定し、購入から売却までに必要なお金を比較したモデルです。
新車250万円と5年落ち中古車130万円の比較条件
まずは、計算の前提を整理しましょう。
今回は、排気量1.0L超〜1.5L以下、車両重量1,000kg以下の一般的なガソリンエンジン搭載コンパクトカーを想定します。
比較条件 新車 5年落ち中古車
購入時の車齢 0年 5年
車両本体価格 250万円 130万円
購入諸費用 15万円 15万円
購入時総額 265万円 145万円
初度登録年月 2026年11月 2021年11月
購入時走行距離 0km 50,000km
年間走行距離 5,000km 5,000km
10年間の追加走行距離 50,000km 50,000km
10年後の累計走行距離 50,000km 100,000km
想定実燃費 20km/L 16km/L
10年後の車齢 10年 15年
10年後の売却額 30万円 5万円
両車とも、エコカー減税やグリーン化特例の対象外となる一般的なガソリン車を想定します。
燃費、購入価格、整備費、売却額は比較のための仮定であり、実在する特定車種の実測値ではありません。
また、今回の中古車は購入時点で5万km走行していると固定しました。
10年後には累計10万kmになるため、走行距離による部品の摩耗と、車齢15年という年数による劣化の両方を考える必要があります。
なお、2026年11月の初度登録は比較上の想定日です。購入時点の税制や車両価格は、実際の見積もりで確認することを前提とします。
10年間の総費用はいくら?独自試算の結果
購入費から売却額までを合計した結果が、こちらです。
費用項目 新車 中古車
購入費・諸費用 265万円 145万円
修理・整備・車検費 65万円 125万円
ガソリン代 42.5万円 約53.1万円
自動車税種別割 30.5万円 約31.5万円
自動車重量税 3.28万円 約3.92万円
任意保険・自賠責保険 50万円 50万円
10年後の売却額 −30万円 −5万円
10年間の総費用 約426.3万円 約403.6万円
ここで、税金について一つ補足があります。
上表の自動車重量税は、新車・中古車とも継続車検時の税額を中心に計上した簡易モデルです。新車登録時の重量税や購入時の法定費用は購入諸費用15万円に含める想定とし、中古車の車検時期についても一定の仮定を置いています。
このため、上表の合計を正確に計算すると、新車は426.28万円、中古車は403.545万円となります。
中古車が約22.7万円安いというのが、上表の数値をそのまま合計した結果です。
冒頭で示した約422.5万円、約402.9万円という概算とは一致しないため、以降の損益分岐点は、内訳を確認できる上表の426.28万円と403.545万円を基準にします。
比較モデルであっても、計算結果と内訳が一致していることは大切ですからね。
また、購入諸費用15万円の内訳が確定していない以上、この結果を実際の法定費用を完全に積み上げた確定額として扱うことはできません。
ローン金利、駐車場代、洗車代、追加用品代なども含めていません。
月平均にすると費用差はどのくらい?
10年間の総費用を120か月で割ると、新車は月平均約35,500円、中古車は約33,600円です。
その差は月平均約1,900円になります。
購入時には120万円の差があるのに、長期保有では月々約2,000円程度の差になるというのは、意外に感じるかもしれませんね。
ただし、これは実際に毎月支払う金額ではありません。
車検や修理が重なる年には大きな支出が発生しますし、新車購入時には265万円、中古車購入時には145万円というまとまった資金が必要です。
私は、60代の車選びでは、10年間でいくら使うかという総費用と、購入後にいくら現金を残せるかという資金面の余裕を分けて考えることが重要だと思います。
中古車の修理費がいくら増えると新車より高くなる?
今回の条件では、中古車の追加修理費が約22.7万円に達すると、新車と中古車の10年間総費用がほぼ同額になります。
これが今回の独自試算における修理費の逆転ラインです。
修理費の損益分岐点は約22.7万円
計算式は次のとおりです。
426.28万円−403.545万円=22.735万円
つまり、中古車に当初の整備予算125万円を超える追加費用が約22万7,350円発生すると、総費用は新車と並びます。
中古車の追加修理費 中古車の10年総費用 新車との差
0円 約403.5万円 約22.7万円安い
10万円 約413.5万円 約12.7万円安い
20万円 約423.5万円 約2.7万円安い
25万円 約428.5万円 約2.3万円高い
40万円 約443.5万円 約17.3万円高い
ここで誤解してほしくないのは、中古車に23万円の修理が発生したら必ず損になる、という意味ではないことです。
すでに125万円の整備予算に含めていた修理なら、追加費用にはなりません。
例えば、予定していたタイヤ交換やブレーキ整備で20万円かかったとしても、当初の整備計画に含まれていれば、総費用は変わらないのです。
一方、予想していなかったエアコンや変速機などの故障で追加費用が発生すると、損益分岐点に近づきます。
修理費の逆転ラインとは、修理代の合計額ではなく、当初予算を超えた追加支出の限界額なのですね。
新車65万円、中古車125万円の整備費を分解
それでは、10年間の整備費65万円と125万円は、どのような内容を想定しているのでしょうか。
今回は、費用の内訳を次のように設定しました。
整備項目・10年間の予算 新車 中古車
車検基本料・点検・整備工賃 18万円 22万円
エンジンオイル・フィルター等 8万円 10万円
タイヤ交換 10万円 15万円
バッテリー交換 4万円 6万円
ブレーキ関連整備 7万円 12万円
足回り・ゴム部品 5万円 15万円
冷却系統・補機類 3万円 15万円
その他の故障修理予算 10万円 30万円
合計 65万円 125万円
これは整備工場の平均請求額ではなく、今回の比較のために筆者が設定した予算配分です。
車検基本料には、別に計上した自動車重量税と自賠責保険料を含めていません。
実際には、車検の回数、タイヤのサイズ、交換する部品、販売店と整備工場の工賃によって金額は変わります。
特に中古車のその他故障修理予算30万円は、必ず発生する修理費ではありません。
年数の経過した車を10年間所有する際の不確実性を、予算として見える形にしたものです。
なぜ中古車の整備予算を高く設定したのか?
新車は購入時点で走行距離0kmですが、中古車はすでに5万km走っています。
購入から10年後には、中古車は15年落ち、累計10万kmです。
走行距離だけを見れば、極端な過走行車というわけではありません。
しかし、車は走らなくても年数とともに劣化する部分があります。
例えば、冷却水のホースや足回りのゴム部品、電装系統の接続部などです。
また、5年落ち中古車を購入した時点で、前の所有者がどのような整備をしていたかも重要になります。
同じ5万kmでも、定期点検を受けてきた車と、長期間整備されていなかった車では、その後の負担が異なる可能性があります。
私がディーラーでお客様のお話を伺う際にも大切にしてきたのは、走行距離という一つの数字だけで車の状態を決めつけないことです。
整備記録、実車の状態、使用環境を合わせて見る必要があります。
追加修理費が20万円を超えるのはどんな場合?
例えば、車齢10年を超えた中古車で、エアコンの大きな修理と足回りの部品交換が同じ時期に必要になった場合を考えてみましょう。
修理範囲や車種によっては、合計で20万円を超える見積もりになる可能性があります。
ただし、具体的な金額は実車の故障箇所と交換部品によって大きく異なります。
エアコンの不具合でも、比較的安価な部品交換で済む場合と、主要部品の交換が必要になる場合では費用が違います。
変速機やエンジン本体に大きな不具合が生じた場合には、さらに高額な修理になる可能性もあります。
一方、車齢15年でも、大きな故障がなく、通常の消耗品交換だけで乗り続けられる車もあります。
だからこそ、中古車を選ぶときは、修理費を怖がりすぎる必要も、楽観視しすぎる必要もありません。
購入前に状態を確認し、想定外の修理に備えることが大切なのです。

新車と中古車の税金・燃料費は10年間でどれだけ違う?
長期保有では、購入時の価格差だけでなく、燃料費と税金の違いも積み重なります。
特に5年落ち中古車を10年間所有する場合、車齢13年を超える時期の税負担を確認しておきたいですね。
排気量1.5L以下の自動車税種別割を計算
今回のモデルでは、新車と中古車の排気量を1.0L超〜1.5L以下に統一しました。
また、初度登録年月を新車2026年11月、中古車2021年11月としています。
2019年10月1日以降に初回新規登録された、この排気量区分の自家用乗用車について、通常の自動車税種別割は年間30,500円です。
10年間では、通常税率だけなら305,000円となります。
ただし、一般的なガソリン車では、初回新規登録からおおむね13年経過すると重課の対象になる場合があります。
今回の中古車は2034年ごろに13年経過の時期を迎える想定です。
重課対象となる期間には、標準税率よりおおむね15%高い税率が適用されます。
1.0L超〜1.5L以下の区分では、重課後の年税額は34,500円という扱いになります。
例えば、10年間のうち重課対象年度が2回あると仮定すると、
30,500円×8年+34,500円×2年=313,000円
となります。
ただし、実際に何年度から重課されるかは初度登録年月と課税年度の関係で決まります。
今回の総費用表では、余裕を持たせた比較用の概算として中古車の自動車税種別割を約31.5万円としていますが、法定税額の確定値ではありません。
実車を比較する際には、初度登録年月と課税年度を確認して再計算する必要があります。
自動車重量税は13年経過後にどう変わる?
自動車重量税は、車両重量や経過年数、エコカー減税の適用状況によって変わります。
今回は車両重量1,000kg以下、エコカー減税対象外の自家用乗用車を想定します。
一般的な継続検査2年分の税額区分は次のとおりです。
車齢区分 重量税・2年分
13年未満 16,400円
13年経過 22,800円
18年経過 25,200円
13年未満と13年経過後では、2年分で6,400円の差があります。
5年落ち中古車を10年間所有すると、保有期間の後半で13年経過の区分に入る可能性があります。
ただし、重量税は車検時に支払うため、13年経過後に何回車検を受けるかによって10年間の合計額が変わります。
また、購入時点の車検残存期間によっても支払い時期が異なります。
今回の比較では、税額区分の違いを把握することを優先しましたが、実際の購入時には車検証に記載された初度登録年月と車検満了日を使って計算したいところです。
なお、税額や適用条件は制度改正によって変わる場合があります。国土交通省の自動車重量税案内や、都道府県の自動車税種別割の案内を確認してください。
2026年の環境性能割はどう扱う?
購入時の税金については、過去の記事に書かれた制度をそのまま使わないことが重要です。
自動車税環境性能割については、2026年度税制改正による制度変更があるため、購入時期によって見積もりの扱いが変わります。
2026年11月の購入を想定するなら、購入時点で適用される制度に基づいて諸費用を確認する必要があります。
今回の購入諸費用15万円は、税金や登録関係費用などをまとめた仮定であり、実際の見積書を再現したものではありません。
特に、新車と中古車では登録時に必要な費用の内訳が異なる場合があります。
販売店から見積もりを受け取ったら、法定費用と販売店手数料を分けて確認しましょう。
私としては、総額だけを見て判断するよりも、何にいくらかかっているかを知ることが、納得できる購入につながると考えています。
年間5,000kmなら燃料費の差は約10.6万円
今回の燃料費は、ガソリン価格170円/Lを仮定して計算します。
新車の実燃費は20km/L、中古車は16km/Lです。
年間5,000km走る場合、新車の年間燃料費は42,500円になります。
中古車は年間53,125円です。
10年間では、新車425,000円、中古車531,250円となり、差額は106,250円です。
ただし、これは同じ車種の新旧モデルで確認された実燃費差ではありません。
燃費性能の異なる2台を比較するための仮定であり、新車だから必ず燃費が良いという意味でもありません。
中古車でも、燃費性能に優れた車種やハイブリッド車なら、新車のガソリン車より燃料費を抑えられる場合があります。
退職後に走行距離が減るとどうなる?
年間走行距離が変わると、10年間の燃料費差も変わります。
年間走行距離 新車の10年燃料費 中古車の10年燃料費 差額
3,000km 25.5万円 約31.9万円 約6.4万円
5,000km 42.5万円 約53.1万円 約10.6万円
8,000km 68万円 85万円 17万円
10,000km 85万円 約106.3万円 約21.3万円
燃料価格170円/L、実燃費20km/Lと16km/Lが10年間変わらないと仮定した計算です。
例えば、退職によって通勤がなくなり、年間走行距離が3,000kmになった場合、燃費差による負担は小さくなります。
一方、旅行や帰省で年間1万km走るなら、燃費性能の違いが長期費用に大きく影響します。
私は、60代の車選びでは、今の年間走行距離だけでなく、退職後にどのくらい乗るかも考えておくとよいと思います。
10年後の売却額と5年目の買い替えで費用はどう変わる?
新車と中古車の長期費用を比較するうえで、見落としやすいのが売却額です。
車は購入時にお金が出ていきますが、手放すときにいくら戻ってくるかによって、実質的な負担が変わります。
新車10年後30万円、中古車15年後5万円の根拠
今回の試算では、新車250万円の10年後売却額を30万円としました。
車両本体価格に対する残価率は12%です。
一方、中古車は購入時点で5年落ちですから、10年後には15年落ちとなります。
こちらの売却額は5万円と仮定しました。
どちらも実際の査定データから求めた平均値ではありません。
車種の人気、走行距離、修復歴、車両状態、海外需要などによって売却額は大きく変わります。
特に10年後の査定額は、現在の中古車販売価格から単純に予測できるものではありません。
販売店の中古車販売価格には、整備費用や販売経費、利益なども含まれるからです。
売却額が変わると新車と中古車の優劣も変わる
例えば、新車の10年後売却額が30万円ではなく10万円だった場合を考えてみましょう。
新車の総費用は20万円増え、446.28万円になります。
中古車の総費用が変わらなければ、中古車の優位額は約42.7万円まで広がります。
反対に、新車の売却額が50万円なら、新車の総費用は406.28万円です。
この場合、中古車との差は約2.7万円まで縮まります。
つまり、今回のモデルでは、新車の売却額が約52.7万円になれば、中古車と総費用がほぼ同じになる計算です。
修理費だけでなく、売却額も損益分岐点を動かす重要な要素なのですね。
私は、10年後の査定額を考えるときには、予想より低くなる場合も想定しておくことをおすすめします。
将来の売却額は確約された収入ではありませんからね。
65歳で購入して70歳で手放す場合の独自試算
60代の車選びでは、10年間乗るつもりで購入しても、途中で生活が変わる可能性があります。
例えば、65歳で購入した車を70歳で手放すケースです。
今回は、10年間モデルの前半5年間を取り出し、売却額を別に設定して試算します。
5年間の費用項目 新車 中古車
購入費・諸費用 265万円 145万円
修理・整備・車検費 25万円 45万円
ガソリン代 21.25万円 約26.56万円
税金の仮予算 17万円 17万円
保険料の仮予算 25万円 25万円
5年後の売却額 −100万円 −20万円
5年間の総費用 253.25万円 約238.56万円
この5年間モデルでは、中古車が約14.7万円安くなります。
ただし、税金は簡易予算、売却額100万円・20万円も仮定です。
実際の5年間の費用を予測した数字ではなく、保有期間が短くなった場合の費用構造を確認するためのモデルです。
5年後の査定額が違えばどうなる?
新車の5年後売却額を100万円としましたが、これが80万円だった場合、新車の総費用は273.25万円になります。
中古車との差は約34.7万円です。
反対に、新車の売却額が120万円なら、新車の総費用は233.25万円となります。
この場合、新車のほうが約5.3万円安くなります。
この結果から分かるのは、途中売却では10年間保有する場合以上に、車両価値の残り方が重要になるということです。
購入価格だけでなく、5年後にどのくらいの価値が残りそうかも、車種選びの判断材料になります。
ただし、売却額を高く見積もりすぎると、購入判断を誤る可能性があります。
複数の中古車相場を確認しながら、慎重に考えたいですね。
60代の車選びでは5年目の見直しが役立つ
私が提案したいのは、10年間の所有を想定しながら、5年目に一度見直す方法です。
例えば、65歳で5年落ち中古車を購入した場合、70歳時点で車齢10年になります。
そのときに、年間走行距離、車の状態、今後の修理見込み、生活環境を確認します。
問題がなければ、そのまま乗り続ける選択もあります。
反対に、運転する機会が減っていたり、修理費が増えていたりするなら、売却や買い替えを検討するきっかけになるでしょう。
ただし、修理費が高いからといって、必ず買い替えたほうが安いわけではありません。
20万円の修理であと数年間使える見込みがある車と、新たに150万円の車を購入する場合では、修理費だけを比較しても結論は出せません。
買い替えには新たな購入費や諸費用がかかります。
修理後にどのくらい乗れる見込みがあるかを、整備士の説明と合わせて判断することが大切です。
60代が新車と中古車を選ぶときに確認したい安全性と整備履歴
ここまで費用を比較してきましたが、60代から70代まで乗る車では、安全性と運転のしやすさも欠かせません。
私は、総費用が少し安いという理由だけで、安全装備や車両状態を妥協することはおすすめしません。
新車と5年落ち中古車の安全装備はどう違う?
新車は、比較的新しい世代の運転支援機能を選びやすいというメリットがあります。
一方、5年落ち中古車でも、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時の加速抑制機能を備えた車はあります。
ただし、同じ車種でも年式やグレードによって装備が異なります。
例えば、トヨタのヤリスやホンダのフィットなど、コンパクトカーでも世代や仕様によって運転支援機能の内容が異なります。
2021年式の中古車と2026年式の新車を比較するなら、装備名だけでなく、歩行者や自転車の検知条件、交差点への対応、駐車支援機能などを確認したいところです。
ただし、2026年式の具体的な装備内容は、対象車種の最新カタログやメーカー公表資料で確認する必要があります。
また、衝突被害軽減ブレーキは、すべての事故を防ぐ機能ではありません。
道路状況や天候、速度などによって作動条件が変わります。
私は、安全装備を選ぶときには、機能が付いているかだけでなく、どのような場面で役立ち、どのような場面では作動しないのかを知ることが重要だと考えています。
75歳以上の免許更新も見据える
日本では、75歳以上の運転免許更新時に認知機能検査が必要です。
また、一定の違反歴がある方には、運転技能検査が求められる制度があります。
ただし、75歳になったら全員が免許を返納しなければならないわけではありません。
運転を続けるかどうかは、本人の状態や生活環境などを踏まえて判断することになります。
制度の詳細については、警察庁や各都道府県警察の案内で確認してください。
車選びでも、70代になったときの運転のしやすさを考えておくと安心です。
例えば、運転席からの見通し、乗り降りのしやすさ、駐車時の車両感覚などです。
こうした部分は、カタログの数字だけでは分かりにくいものですよね。
購入前には、実際に運転席へ座り、可能であれば試乗して確認してみましょう。
5年落ち中古車の整備記録簿は何を見る?
中古車を購入するときに、私が特に重視したいのが整備記録簿です。
記録簿があるだけで安心するのではなく、どのような点検や交換が行われてきたかを確認します。
- エンジンオイルとフィルターの交換履歴
- ブレーキ関連部品の点検・交換履歴
- タイヤの交換時期と残り溝
- バッテリーの交換履歴
- 冷却系統や足回りの点検履歴
- リコールや改善対策の実施状況
今回のモデルでは、購入時走行距離を5万kmとしました。
この距離なら、これまでの点検状況によって購入後の整備負担が変わる可能性があります。
また、走行距離が少ない車でも、長期間使用されていなかった場合には、ゴム部品やバッテリーなどの状態を確認したいところです。
記録簿がないから必ず状態が悪いというわけではありませんが、整備履歴が分からない場合は、販売店に現在の状態を詳しく説明してもらいましょう。
納車前にどこまで点検し、どの部品を交換するのかも重要です。
中古車の保証は新車とどう違う?
新車には、メーカーが定めた保証が付いています。
国内メーカーでは、一般保証が3年または6万km、特別保証が5年または10万kmという設定が広く採用されています。
ただし、保証期間や対象部品はメーカーや車種によって異なります。
中古車でも、メーカー保証が残っている場合や、販売店独自の保証が付く場合があります。
今回のような5年落ち中古車では、メーカーの一般保証が終了している可能性が高いため、販売店保証の内容を確認したいですね。
特に、エアコン、エンジン、変速機、電装系統などがどこまで保証対象になるのかが重要です。
保証期間が1年間と書かれていても、すべての故障が無料修理になるとは限りません。
保証対象外の部品や免責条件がある場合もあります。
購入前には、保証書や契約条件を確認し、不明な点は販売店へ質問しましょう。
修理予備費はいくら確保したい?
今回の独自試算では、中古車の追加修理費が約22.7万円に達すると、新車との総費用差がなくなります。
そこで私は、中古車購入時に20万〜30万円程度の修理予備費を別に確保する考え方を提案したいと思います。
ただし、これは統計的な平均修理費ではなく、今回の比較モデルを参考にした家計管理上の提案です。
例えば、購入総額145万円の中古車を選び、修理予備費25万円を確保すると、購入時に用意したい資金は170万円です。
新車の購入総額265万円と比べれば、95万円少ない金額になります。
もちろん、25万円を用意すればすべての故障に対応できるわけではありません。
高額な修理が重なれば、さらに費用が必要になる可能性もあります。
それでも、購入後にまとまった修理費が必要になったとき、生活費を大きく崩さず対応できる余裕は大切です。
中古車を安く購入できたからといって、浮いたお金をすべて使い切らないことですね。
考察|60代は総費用の安さと安心感をどう判断する?
ここからは、今回の独自試算を踏まえた私自身の考えをお伝えします。
私は、60代の車選びでは、10年間の総費用だけでなく、退職後の資金計画と生活の変化に対応しやすいことが重要だと考えています。
購入時に残せる120万円には大きな価値がある
今回のモデルでは、新車と中古車の購入時総額に120万円の差があります。
この120万円を手元に残せることは、退職前後の家計にとって小さくありません。
住宅の修繕、家電の買い替え、旅行など、60代以降にもまとまった支出が考えられます。
中古車を選ぶことで、こうした支出に備える余裕を持てる可能性があります。
一方、新車には、メーカー保証を利用しやすいことや、新しい安全装備を選びやすいことなどのメリットがあります。
修理費の変動をできるだけ抑えたい方にとっては、購入価格が高くても新車を選ぶ価値があるでしょう。
私は、どちらが得かという問いに、すべての人に共通する答えはないと思っています。
大切なのは、価格差の理由を理解し、自分の暮らしに合った価値を選ぶことです。
修理費の逆転ラインは買い替え判断にも使える
今回の試算で特に重要なのは、中古車の追加修理費が約22.7万円になると総費用が並ぶという点です。
ただし、この数字は購入時点で新車と中古車を比較するための基準です。
購入後に修理が必要になった場合、その金額だけで買い替えを判断することはできません。
例えば、すでに所有している車に25万円の修理が必要になったとしても、買い替えには新たな購入費がかかります。
修理すればあと3年間使える見込みがあるなら、修理したほうが経済的な場合もあります。
反対に、修理しても別の高額な故障が続く可能性が高いなら、買い替えを検討する価値があります。
私なら、修理見積もりを受け取ったときには、今後の使用予定と追加故障の可能性を整備士に確認します。
目の前の修理費だけでなく、これから必要になる費用を考えることが重要なのです。
年間走行距離が少ない人ほど固定費を意識したい
退職によって通勤がなくなると、年間走行距離が減る方もいるでしょう。
例えば、年間3,000kmなら月平均250kmです。
この程度の走行距離になると、燃料費よりも税金、保険料、車検費用などの固定的な負担が気になってきます。
ただし、地方では車が生活に欠かせない地域もありますよね。
買い物や通院に車が必要なら、年間走行距離が少ないという理由だけで手放すのは現実的ではありません。
私としては、車を所有する費用と、車があることで得られる移動の自由を一緒に考えたいところです。
安さだけを追い求めて不便になるよりも、必要な移動手段を無理なく維持することが大切だと思います。
60代の新車・中古車選びで避けたい思い込み
まず、「中古車なら必ず安い」という考え方には注意が必要です。
購入価格が安くても、整備費や燃料費、売却額によって長期費用は変わります。
次に、「新車なら10年間修理費がかからない」という考え方も正しくありません。
新車でもタイヤやバッテリーなどの消耗品交換が必要ですし、保証期間終了後には修理費が発生する可能性があります。
そして、「一度買ったら10年間乗らなければ損」という考え方にもこだわりすぎないことです。
生活環境や運転状況が変われば、途中で車を手放すほうが合理的な場合もあります。
私は、10年間乗り切ること自体を目標にする必要はないと思っています。
大切なのは、その時々の暮らしを無理なく支えてくれる車を選ぶことです。
私なら新車と中古車をどう選ぶか
年間走行距離が少なく、整備履歴が明確で、保証内容にも納得できる中古車が見つかったなら、私は中古車を有力候補にします。
ただし、購入費とは別に修理予備費を確保し、安全装備や車両状態を確認することが条件です。
反対に、長距離運転が多く、故障による予定外の支出をできるだけ抑えたい方なら、新車を優先して検討します。
その場合も、購入価格だけでなく、10年間の維持費や途中売却の可能性を考えます。
そして、どちらを選ぶ場合でも、最後は実車を確認したいですね。
乗り降りがしやすいか、運転席から周囲が見やすいか、普段の駐車場で扱いやすいか。
こうした部分は、費用の比較表だけでは分かりません。
長年ディーラーで車選びのお悩みに向き合ってきた立場から感じるのは、納得できる買い物には、価格だけでなく「自分の暮らしに合っている」という実感が必要だということです。
60代からの車選びでも、その考え方は変わりません。
まとめ|60代は新車と中古車の10年総費用と修理リスクを比較しよう
今回の独自試算では、新車250万円と5年落ち中古車130万円のコンパクトカーを、それぞれ10年間所有する条件で比較しました。
購入費、修理・整備費、燃料費、税金、保険料、売却額を含めた結果は、内訳表に基づく計算で新車約426.3万円、中古車約403.5万円です。
中古車が約22.7万円安くなる計算ですが、追加修理費が同程度発生すると、両者の総費用はほぼ並びます。
ただし、修理費や燃費、売却額には独自の仮定が含まれ、購入諸費用や税金も実際の車両条件に応じた再計算が必要です。
60代からの車選びでは、購入時の価格差だけでなく、70代になってからの修理費、安全装備、運転のしやすさ、途中売却の可能性も考えておきたいですね。
私は、10年間の総費用を把握したうえで、家計に余裕を残し、安心して運転できる一台を選ぶことが大切だと思います。
新車にも中古車にも、それぞれの良さがあります。
数字と暮らしの両方を見比べながら、ご自身に合った一台を見つけていただきたいですね。
よくある質問
5年落ち中古車を購入するとき、走行距離は何kmまでが目安ですか?
走行距離だけで一律に判断することはできません。
今回の試算では購入時5万kmを想定しましたが、整備履歴や使用環境、現在の車両状態を合わせて確認することが重要です。
中古車購入時の修理予備費はどのくらい必要ですか?
今回のモデルでは、20万〜30万円程度を別に確保する考え方を提案しています。
ただし、必要額は車種や車齢、整備状況によって異なり、すべての故障をカバーできる金額ではありません。
65歳で新車を購入したら75歳まで乗れますか?
車両状態や整備状況によっては可能です。
ただし、75歳以上の免許更新制度や運転のしやすさ、生活環境の変化も考え、5年目などに一度見直すとよいでしょう。
中古車は13年経過すると税金が高くなりますか?
一般的なガソリン乗用車では、一定年数が経過すると自動車税種別割や自動車重量税が重くなる場合があります。
対象や税額は初度登録年月、車両重量、環境性能などによって異なるため、車検証の情報をもとに確認してください。
新車と中古車のどちらが安いか、購入前に何を比較すればよいですか?
購入総額、燃料費、税金、保険料、整備費、保証内容、将来の売却額を同じ保有期間で比較しましょう。
特に中古車では、整備履歴と購入後の修理予備費を確認することが重要です。
モーターライフ・アドバイザー
杉原健一


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