55歳から70歳までの車の維持費は、今回の15年間の独自試算で軽自動車570万円、コンパクトカー705万円、ミニバン825万円です。いずれも購入費は含みません。
さらに、200万円のコンパクトカーを55歳で購入する場合、15年間乗り続ける総費用は905万円、62歳で買い替える場合は1,055万円となり、基本条件では150万円の差が生まれます。
ただし、この数字は実際の平均支出ではありません。修理費、売却価格、退職後の走行距離、購入時の諸費用によって、どちらが得になるかは変わります。
55歳から70歳まで車に15年間乗ると維持費はいくら?
55歳から70歳までの15年間では、車の維持費だけで数百万円の支出になる可能性があります。
車両購入費だけを見ていると、毎年少しずつ支払う税金、保険、燃料、整備費の大きさを見落としてしまいますよね。
グーネット買取ラボが紹介した50年間の車の費用
今回のテーマを考えるきっかけとなるのが、2020年10月11日に公開されたグーネット買取ラボの記事「車にかかる維持費は生涯でいくらなのか?上手く維持費を減らす方法とは?」です。
同記事では、20歳から70歳までの50年間、7年ごとに車を買い替える条件で、車の購入費と維持費を含めた生涯費用が取り上げられています。
紹介されている概算は次のとおりです。
- 軽自動車:約2,700万円
- コンパクトカー:約3,850万円
- ミニバン:約5,300万円
50年間でこれほどの金額になると聞くと、驚いてしまいますよね。
ただ、車は購入するときだけお金がかかるわけではありません。ガソリン代や保険料、車検費用などが長年積み重なることを考えれば、生涯費用が大きくなる理由も見えてきます。
一方、この50年間の試算を、そのまま55歳から70歳までの15年間に当てはめることはできません。
若い頃と50代以降では、任意保険の条件も走行距離も異なりますし、車を買い替える回数も変わるからです。
また、元記事の各車種の購入単価、保険料、駐車場代、燃費、買い替え時の売却収入などについては、今回、原文の計算表との直接照合ができていません。
そのため、紹介された生涯費用を2026年現在の確定的な金額として扱わず、以下では独立した条件による15年間の試算を行います。
2020年と2026年では、車両価格や装備、燃料価格などの条件も異なります。昔の数字をそのまま使うより、現在の生活に合わせて計算し直す方が役立つと私は考えています。
15年間の維持費を計算する条件
まず、比較する条件をそろえましょう。
今回の基本モデルは次のとおりです。
- 保有期間:55歳から70歳までの15年間
- 年間走行距離:8,000km
- ガソリン価格:170円/L
- 駐車場代:年間10万円
- 軽自動車の実燃費:20km/L
- コンパクトカーの実燃費:20km/L
- ミニバンの実燃費:12km/L
- 任意保険:車種別の仮定額
- 車検・点検・消耗品交換:年平均額で計算
- 車両購入費:維持費とは別に計算
- 突発的な高額修理:基本維持費には含めない
- ローン金利・購入諸費用:基本モデルでは含めない
ガソリン170円/Lは比較のための仮定であり、2026年10月31日時点の全国平均実売価格ではありません。
また、物価上昇、将来の税制変更、保険料の変動は織り込んでいません。
つまり、これは15年間の支出を正確に予言するものではなく、車種や買い替え時期によって家計にどのような差が生まれるかを確認する計算モデルです。
軽自動車・コンパクトカー・ミニバンの年間維持費内訳
年間維持費は、軽自動車38万円、コンパクトカー47万円、ミニバン55万円と設定しました。
数字だけでは分かりにくいため、費目ごとに分解してみましょう。
年間維持費の内訳(独自試算・単位:万円)
費用項目 軽自動車 コンパクトカー ミニバン
自動車税・軽自動車税 1.1 3.1 3.6
自賠責・重量税の年換算 1.5 2.5 3.0
任意保険 6.0 7.0 8.0
燃料費 6.8 6.8 11.3
駐車場代 10.0 10.0 10.0
車検・点検・消耗品 7.0 9.0 11.0
その他・予備費 5.6 8.6 8.1
年間合計 38.0 47.0 55.0
ここで説明しておきたいのが、「その他・予備費」です。
軽自動車5万6,000円、コンパクトカー8万6,000円、ミニバン8万1,000円という数字は、公的統計から求めた平均値ではありません。
洗車用品、ワイパー以外の小物、車内用品、軽微な補修、整備費の予算超過に備える積立金などをまとめた、比較用の予算枠です。
例えばコンパクトカーの年間8万6,000円なら、次のように配分できます。
- 洗車・清掃用品:年間1万2,000円
- 車内用品・小物:年間1万2,000円
- 軽微な外装補修など:年間2万円
- 通常整備費の予算超過に備える積立:年間4万2,000円
合計すると8万6,000円です。
これは実際に毎年必ず発生する支出ではなく、家計管理のために設定した仮の配分です。
特に積立金は、支払った費用ではなく、将来に備えて確保するお金です。使わなかった分が残る場合、実際の総支出は表より少なくなります。
また、車検・点検・消耗品の欄には、通常の車検整備、オイル交換、タイヤ交換などを年平均化して含めています。
そのため、後から修理費を追加する際には、通常予算と重複させないことが重要です。
税金も実際の車種によって異なります。
例えば、コンパクトカーの自動車税3万1,000円は、2019年10月1日以降に初回新規登録された、排気量1.0L超〜1.5L以下の自家用乗用車の標準税率を想定しています。
軽自動車税の1万800円も、対象となる自家用軽乗用車の標準税率を丸めた数字です。
ミニバンの3万6,000円は比較用の予算額であり、特定車種の法定税額ではありません。
税額の確認には、総務省や各自治体が案内する自動車税・軽自動車税の制度、国土交通省が案内する自動車重量税の情報が参考になります。
なお、基本モデルの税額は15年間固定しているため、13年経過後などに適用される経年重課は反映していません。
15年間の維持費を車種別に比較
年間維持費を15倍すると、15年間の維持費が求められます。
15年間の維持費比較(独自試算・車両購入費を除く)
車種 駐車場代あり 駐車場代なし
軽自動車 570万円 420万円
コンパクトカー 705万円 555万円
ミニバン 825万円 675万円
駐車場代なしの金額は、年間10万円を15年間分、合計150万円差し引いたものです。
自宅に駐車スペースがあれば、毎月の駐車場料金を支払わずに済む場合があります。ただし、土地や設備の維持管理費まで完全にゼロになるとは限りません。
この比較で注目したいのは、軽自動車とミニバンの差が255万円になることです。
もっとも、これは軽自動車にすれば誰でも255万円節約できるという意味ではありません。
例えば、軽自動車でも年間走行距離が多ければ燃料費や消耗品費が増えますし、ミニバンでも走行距離が少なければ燃料費を抑えられます。
私がディーラーでお客様と接してきた経験からも、車の費用はカタログに載っている数字だけでは判断しにくいものだと感じています。
大切なのは、自分の年間走行距離、任意保険の保険料、実際の整備履歴を使って、モデルの数字を置き換えることです。
55歳で買った車を70歳まで15年間乗り続けると得?
15年間同じ車に乗り続ける最大の経済的メリットは、途中で新しい車を購入するための支出を避けられることです。
一方、車齢が長くなるほど、修理費や部品交換の負担が増える可能性があります。
200万円のコンパクトカーを15年間保有する場合
55歳で200万円のコンパクトカーを新車購入すると仮定します。
年間維持費47万円が15年間続くなら、通常維持費は705万円です。
基本モデルでは、追加修理費と70歳時点の売却収入をともに0円と置きます。
計算式は次のとおりです。
200万円+705万円=905万円
つまり、15年間の総費用は905万円となります。
ただし、この905万円は、15年間に突発的な高額修理が一度も発生しないことを保証する数字ではありません。
あくまで、購入費と通常維持費だけを合計した比較の出発点です。
実際には、購入時の登録諸費用、ローン金利、通常予算を超える修理費などが加わる可能性があります。
また、予備費として確保したお金が使われなかった場合には、実際の支出額との差が生まれます。
13年を超えた車は税金が高くなる?
15年間乗り続ける場合、税金の経年重課も確認しておきたいところです。
一般的なガソリン車では、初度登録や初度検査から一定年数が経過すると、自動車税や軽自動車税、自動車重量税が増える場合があります。
例えば、2015年4月以降に初度検査を受けた自家用軽乗用車では、標準税率が年間10,800円です。
経年重課の対象になると、年間12,900円となるケースがあります。
差額は年間2,100円です。
ただし、実際の適用年度や対象車両には条件があり、電気自動車など一部の車両は取り扱いが異なります。
普通車についても、排気量、登録時期、動力方式などによって税額が変わります。
自動車重量税も、車両重量や経過年数などによって負担が異なります。
国土交通省が案内する自動車重量税の制度や、自治体の税額案内を確認しておくと安心です。
ここで考えたいのは、税金が増えたからといって、必ずしも買い替えが得になるわけではないことです。
例えば、年間数千円の税負担を避けるために、200万円以上の車を購入するのでは、支出総額が増える可能性があります。
私なら、経年重課は買い替え判断の一要素とし、修理費や安全性と合わせて考えます。
15年間乗るなら高額修理にいくら備える?
長期保有で不安になりやすいのが、突然の修理費ですよね。
車齢が10年を超えると、走行距離だけでなく、年数による劣化にも目を向ける必要があります。
例えば、次のような部品や装置です。
- エアコンのコンプレッサーや関連部品
- ラジエーターや冷却系統
- サスペンション周辺のゴム部品
- オルタネーターなどの電装品
- エンジンや変速機の関連部品
もちろん、これらが15年間で必ず故障するわけではありません。
適切な整備を続けていれば、長く良好な状態を維持できる車もあります。
しかし、複数の修理が重なった場合には、まとまった支出が必要になることがあります。
先ほどの905万円に、通常予算を超える追加修理費を加えてみましょう。
15年保有の追加修理費別試算
追加修理費 総費用
0円 905万円
30万円 935万円
50万円 955万円
100万円 1,005万円
150万円 1,055万円
この表は、追加修理費によって長期保有の費用がどう変わるかを示しています。
重要なのは、通常維持費に含まれる整備費と、追加修理費を区別することです。
例えば、通常予算に含めているタイヤ交換費用を、もう一度追加修理費に計上してしまうと、費用を二重に数えることになります。
また、修理費150万円という数字は、15年乗れば必ず必要になる金額ではありません。
実際の修理費は、車種、整備状態、走行距離、部品価格などによって大きく変わります。
62歳で車を買い替えると15年間の費用はいくら違う?
55歳で購入した車を62歳で一度買い替える場合、今回の基本モデルでは15年間乗り続けるより150万円高くなります。
ただし、この差額は、車両購入価格、売却価格、通常維持費を仮定した場合の結果です。
15年保有と7年目の買い替えを公平に比較
比較条件をそろえましょう。
どちらも55歳で200万円のコンパクトカーを購入します。
15年保有側は、70歳まで同じ車に乗り続けます。
買い替え側は、62歳で最初の車を50万円で売却し、230万円の新車を購入します。
さらに、70歳時点で2台目を30万円で売却すると仮定します。
15年保有側の70歳時点の売却価格は0円です。
これらの売却価格は実際の査定相場ではなく、計算用の仮定です。
15年間の総費用比較(独自試算・単位:万円)
費用項目 15年保有 62歳で買い替え
55歳の購入費 200 200
62歳の購入費 0 230
62歳の売却収入 0 −50
15年間の通常維持費 705 705
70歳の売却収入 0 −30
追加修理費 0 0
総費用 905 1,055
買い替え側の追加負担は、230万円から売却収入80万円を差し引いた150万円です。
この段階では、長期保有の方が経済的に有利になります。
ただし、両方の車で追加修理費を0円とする基本モデルは、比較の基準点にすぎません。
特に長期保有側については、車齢が10年を超えた後の故障や修理費を考える必要があります。
一方、買い替えた新しい車でも故障や修理が発生する可能性があります。
そのため、長期保有側だけに修理費を加え、買い替え側を無故障とする比較では公平ではありません。
両方の車に修理費が発生したらどうなる?
そこで、長期保有側と買い替え側の両方に追加修理費を設定してみましょう。
通常維持費や売却価格などは、先ほどの条件から変更しません。
追加修理費を含めた15年間の比較(独自試算)
ケース 15年保有側の追加修理費 買い替え側の追加修理費 長期保有の総費用 買い替えの総費用
A:追加修理なし 0万円 0万円 905万円 1,055万円
B:両方に修理発生 50万円 20万円 955万円 1,075万円
C:長期保有側の修理増加 100万円 20万円 1,005万円 1,075万円
D:長期保有側の修理が高額 180万円 20万円 1,085万円 1,075万円
ケースBでは、長期保有側の修理費が買い替え側より30万円多くても、長期保有の方が120万円安くなります。
ケースCでは、その差が70万円まで縮まります。
そしてケースDでは、長期保有側の追加修理費が180万円、買い替え側が20万円となり、買い替えの方が10万円安くなります。
つまり、買い替えの損得は、古い車の修理費だけで決まるものではありません。
両方の車に発生する追加修理費の差額を考えることが重要なのです。
買い替えが得になる境界線はどう計算する?
今回の基本モデルでは、買い替えによる実質追加負担は150万円です。
そのため、次の関係が成り立つ場合、買い替えの方が経済的に有利になります。
長期保有側の追加修理費−買い替え側の追加修理費+買い替えによる通常維持費の削減額 > 150万円
例えば、62歳で買い替えることで、年間維持費が5万円安くなると仮定します。
62歳から70歳までの8年間で、40万円の削減になります。
この場合、残りの110万円を、両方の車の追加修理費の差額が上回るかどうかが境界になります。
具体的に考えてみましょう。
長期保有側の追加修理費を130万円、買い替え側を20万円とします。
修理費の差は110万円です。
そこに維持費削減40万円を加えると150万円になります。
この条件では、両者の総費用が同じになる計算です。
長期保有側の追加修理費がさらに増えれば、買い替えが有利になる可能性があります。
ただし、これは購入諸費用、経年重課の差、売却価格の変動などを除いた単純モデルです。
実際の比較では、次のように考えるとより正確です。
総費用=購入費+通常維持費+追加修理費+購入諸費用+金利など−売却収入
同じ条件で両方の総費用を計算すれば、どちらが安いかを判断しやすくなります。
購入諸費用と売却価格の違いにも注意
買い替えには、車両本体価格以外にも費用がかかります。
例えば、登録関係の費用、税金、リサイクル関連費用、販売店に支払う諸費用などです。
230万円という数字が車両本体価格なのか、諸費用込みの支払総額なのかによって、比較結果は変わります。
また、売却価格も重要です。
62歳時点で50万円と仮定した車が、実際には30万円でしか売れなければ、買い替え側の負担は20万円増えます。
反対に、70歳まで15年間乗った車に10万円の売却価値が残っていれば、長期保有側の実質負担は10万円減ります。
下取り価格は車種、年式、走行距離、修復歴、市場の需要によって変動します。
買い替えを検討するときには、購入見積もりだけでなく、現在の車の査定額も確認したいですね。

退職後に走行距離が減ると15年間の維持費はどう変わる?
55歳から70歳までの車の費用を考える際、見落としたくないのが退職後の走行距離です。
毎日の通勤がなくなれば、燃料費や走行距離に応じた消耗品費が減る可能性があります。
一方、税金や保険料など、車を所有しているだけで必要になる費用は残ります。
年間3,000km・8,000km・15,000kmの燃料費比較
実燃費20km/Lのコンパクトカーで考えます。
ガソリン価格は170円/Lとし、15年間同じ走行距離が続く条件です。
燃料費の計算式は次のとおりです。
年間燃料費=年間走行距離÷実燃費×ガソリン価格
走行距離別の燃料費(独自試算)
年間走行距離 年間燃料費 15年間の燃料費
3,000km 25,500円 382,500円
8,000km 68,000円 1,020,000円
15,000km 127,500円 1,912,500円
年間3,000kmと15,000kmでは、15年間の燃料費に153万円の差が生まれます。
走行距離が多ければ、タイヤやブレーキなどの消耗も進みやすくなります。
反対に、走行距離が少なくても、バッテリーやゴム部品などは年数によって劣化します。
車は走らせなければ費用がかからない、というわけではないんですね。
65歳で退職して走行距離が減る場合
55歳から64歳までの10年間は、年間10,000km走ると仮定します。
65歳から69歳までの5年間は、退職によって年間3,000kmに減るとしましょう。
実燃費20km/L、ガソリン170円/Lの場合、燃料費は次のようになります。
- 55〜64歳の10年間:85万円
- 65〜69歳の5年間:12万7,500円
- 15年間の合計:97万7,500円
一方、15年間ずっと年間10,000km走れば、燃料費は127万5,000円です。
退職後に走行距離が減ることで、29万7,500円の差が生まれます。
ただし、基本モデルの年間維持費47万円には、年間8,000km分の燃料費6万8,000円が含まれています。
そのため、退職後の走行距離を反映する場合は、燃料費を追加するのではなく、元の燃料費を差し替えます。
基本モデルの15年間の燃料費は102万円です。
生活の変化を反映した97万7,500円との差は4万2,500円となるため、ほかの条件が同じなら、通常維持費705万円は700万7,500円になります。
退職後の費用を考えるときには、単に年間走行距離を少なく設定するのではなく、退職前と退職後を分けて計算する方が現実的です。
ガソリン価格が上がった場合は?
長期保有では、燃料価格の変動も無視できません。
例えば、年間8,000km、実燃費20km/Lなら、年間のガソリン使用量は400Lです。
ガソリン価格170円/Lでは年間6万8,000円ですが、190円/Lになると7万6,000円になります。
差額は年間8,000円です。
15年間ずっと同じ価格差が続くなら、12万円の違いになります。
もちろん、実際の燃料価格は上がることも下がることもあります。
そのため、将来の家計を考えるときには、170円/Lだけでなく、190円/Lなど複数の条件で試算しておくと安心です。
また、燃費のよい車に買い替えれば、燃料費が下がる可能性があります。
しかし、年間走行距離が少ない場合、燃料費の節約額だけで新車購入費を回収するのは難しいこともあります。
例えば、年間3,000kmしか走らない方なら、燃費が改善しても、年間15,000km走る方ほど大きな節約にはなりません。
私は、燃費だけを理由に買い替えるのではなく、購入費、修理費、今後の走行距離をまとめて比較することが大切だと考えています。
15年間乗り続けるか買い替えるかは65歳で再評価すべき?
55歳で購入した車を70歳まで使う計画なら、65歳で一度見直す方法が有効です。
今回、62歳を買い替え比較の時期にしたのは、元記事の7年ごとの買い替えという条件に合わせるためです。
一方、65歳を再評価の時期とするのは、55歳で購入した車が10年目を迎え、退職や働き方の変化によって車の使い方が変わる可能性があるからです。
つまり、62歳は費用比較のための設定、65歳は生活と車の状態を見直すための提案です。
65歳で確認したい車の状態と今後5年間の費用
65歳で車齢10年を迎えたら、まず整備履歴を整理しましょう。
車の状態が良好で、今後の走行距離も少ないなら、70歳まで乗り続ける選択には十分な合理性があります。
反対に、修理費が増えていたり、運転のしやすさに不満があったりする場合は、買い替えを検討する価値があります。
確認したいのは、次の項目です。
- 現在の走行距離と今後5年間の走行予定
- 過去の整備履歴と故障歴
- 今後必要になる可能性がある高額整備
- 車検を含む今後の維持費
- 現在の車の売却査定額
- 買い替え候補車の支払総額
- 運転のしやすさと安全装備
例えば、65歳時点で走行距離6万kmのコンパクトカーなら、年間3,000kmずつ5年間走っても、70歳時点では7万5,000kmです。
もちろん、走行距離が少ないからといって、故障しないわけではありません。
それでも、整備状態が良好で、必要な部品も確保できるなら、買い替えを急ぐ理由は小さくなるでしょう。
修理費20万円なら買い替えるべき?
修理見積もりが20万円だった場合、その金額だけで買い替えを決めるのは早いと思います。
私がディーラーでの接客経験を通じて大切だと感じてきたのは、修理費の金額だけでなく、修理した後の車の状態と、今後の費用を確認することです。
例えば、エアコンの修理に20万円かかる場合と、エンジンや変速機の重大な不具合に20万円かかる場合では、判断材料が異なります。
エアコンなら、修理後もほかの部分が良好であれば、長く使い続けられる可能性があります。
一方、エンジンや変速機に重大な問題があり、ほかにも高額修理が必要になる見込みなら、買い替えを検討する理由になります。
修理見積もりを受け取ったら、まず次の4点を確認しましょう。
- 修理箇所は安全に直結する部分か
- 新品以外に再生品やリビルト品などの選択肢があるか
- 今後3年間でほかに高額整備が必要になりそうか
- 必要な部品を今後も入手できる見込みがあるか
例えば、20万円の修理で今後3年間使える見込みがあるなら、単純計算では年間約6万7,000円です。
ただし、修理によって3年間の無故障が保証されるわけではありません。
修理した部分以外にも不具合がないか、整備工場で確認することが重要です。
また、買い替える場合には、新しい車の購入費だけでなく、現在の車の売却価格も確認します。
修理して乗り続ける費用と、買い替えて残りの期間を使う費用を、同じ年数で比較することが大切です。
修理か買い替えかを判断する具体的な手順
私なら、修理見積もりを受け取ったとき、次の順番で比較します。
まず、現在の車をあと何年間使いたいか決めます。
次に、その期間に必要となる通常維持費と追加修理費を見積もります。
そして、買い替え候補車の支払総額、予想維持費、現在の車の売却査定額を確認します。
例えば、65歳から70歳までの5年間を比較する場合です。
現在の車を修理して乗り続ける費用が、通常維持費200万円、追加修理費40万円なら、合計240万円です。
一方、買い替える場合、新車の支払総額が230万円、現在の車の売却収入が30万円、5年間の維持費が180万円、70歳時点の売却収入が50万円と仮定します。
買い替え側の実質費用は330万円です。
この条件では、修理して乗り続ける方が90万円安くなります。
ただし、買い替え側の売却収入50万円は将来の仮定であり、確定している金額ではありません。
また、現在の車に大きな故障が発生すれば、長期保有側の費用も増えます。
このように、比較する期間をそろえ、購入費・維持費・修理費・売却収入を整理すれば、判断しやすくなります。
車は一度買えば終わりではなく、使い続ける間にもお金がかかります。
だからこそ、目先の修理代だけでなく、残りの保有期間全体で考えたいですね。
70歳になったら運転をやめる必要がある?
今回の試算では、70歳を区切りにしています。
しかし、日本では70歳になったら必ず運転をやめなければならないという制度ではありません。
警察庁の案内によると、70歳以上の方が運転免許を更新する際には、高齢者講習が必要になります。
75歳以上では認知機能検査も関係し、一定の違反歴がある方には運転技能検査が必要になる場合があります。
今回の70歳という年齢は、あくまで家計を比較するための設定です。
70歳以降も運転を続ける方もいれば、もっと早い時期に車を手放す方もいるでしょう。
大切なのは、年齢だけで判断せず、運転能力、健康状態、生活環境を踏まえることです。
55歳から70歳までの車の費用をどう考える?私の考察
ここまでの試算から、15年間同じ車に乗り続けることは、買い替え費用を抑える有力な方法だと分かります。
ただし、私は経済性だけで長期保有を決めるべきではないと考えています。
長期保有のメリットは購入費を抑えられること
今回の基本モデルでは、15年間同じコンパクトカーに乗る場合と、62歳で買い替える場合の差は150万円でした。
15年間で割ると年間10万円、月平均では約8,300円です。
この金額をどう評価するかは、人によって異なります。
老後資金をできるだけ残したい方にとっては、150万円は大きな金額でしょう。
一方、新しい安全装備や運転のしやすさに価値を感じる方もいると思います。
私は、長期保有で節約できる可能性があるお金を、単なる節約額として考えないことが重要だと感じています。
例えば、買い替えに使う予定だった資金を、将来の修理費や生活費に備えて確保できれば、退職後の家計に余裕が生まれる可能性があります。
反対に、古い車の不具合を我慢しながら乗り続けることが、必ずしも合理的とは限りません。
安全性や快適性に問題があるなら、費用だけでなく、安心して使えるかどうかも判断材料にする必要があります。
15年間の総費用だけでなく支払い時期も重要
55歳から70歳までの車の費用を考えるとき、もう一つ注目したいのが、支払いのタイミングです。
15年間の総額が同じでも、いつまとまったお金が必要になるかによって、家計への負担感は変わります。
例えば、62歳で230万円の車を購入する場合、その時点でまとまった資金が必要になります。
55歳で購入した車を乗り続ける場合は、その支出を避けられますが、突然の修理費に備える必要があります。
つまり、長期保有は支出総額を抑えやすい一方、修理費が不定期に発生する可能性があります。
買い替えは購入時の負担が大きい一方、車の年式や保証条件によっては、その後の支出を計画しやすくなる場合があります。
私は、退職後の車の費用を考える際には、総額だけでなく、60歳・65歳・70歳の時点で手元にいくら残るかも確認したいと思います。
例えば、毎月2万円を車の将来費用として積み立てれば、5年間で120万円になります。
これは運用益を考慮しない単純計算ですが、買い替えや修理に備える資金計画としては分かりやすい方法です。
もちろん、生活費や緊急時の貯蓄を優先し、無理のない金額に設定することが前提です。
2026年以降は安全装備と整備環境も判断材料になる
今後15年間では、車の安全技術や整備環境が変化する可能性があります。
衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時の加速抑制機能などは、車種や年式によって搭載状況や性能が異なります。
新しい車に買い替えれば事故を防げるというわけではありませんが、安全装備の違いは確認しておきたいところです。
また、長期保有では部品供給も重要です。
メーカーがすべての部品を無期限に供給するわけではないため、車齢が長くなると、必要な部品の入手に時間がかかる場合があります。
特に、日常の通勤や通院に車が欠かせない方は、修理期間中に代車を利用できるかどうかも確認しておくと安心です。
ハイブリッド車では駆動用バッテリー、電気自動車では充電環境や電池の状態など、動力方式ごとに注意点も異なります。
そのため、2026年以降に15年間乗る車を選ぶなら、燃費や購入価格だけでなく、整備体制や保証内容も比較したいですね。
私が重視するのは「あと何年、安心して使えるか」
私がディーラーでお客様と接してきた経験からも、車の買い替えには正解が一つしかないわけではないと感じています。
購入費を抑えたい方もいれば、安全装備を重視する方、長年乗り慣れた車を大切にしたい方もいます。
だからこそ、私は車齢や走行距離だけで買い替えを決めるのではなく、今後の使用予定と整備状態を合わせて考えることが大切だと思います。
例えば、65歳時点で車齢10年でも、整備状態が良好で、年間走行距離も少ないなら、あと5年間乗り続ける選択は合理的かもしれません。
一方、修理費が増え、運転のしやすさにも不満が出ているなら、買い替えを検討する価値があります。
また、以前は家族全員で乗っていたミニバンでも、退職後は夫婦2人の移動が中心になるかもしれません。
その場合、コンパクトカーに替えることで、駐車や取り回しが楽になる可能性があります。
ただし、車体が小さければ必ず安全というわけではありません。
衝突安全性能や運転支援機能、視界、乗り降りのしやすさを含めて比較することが重要です。
私は、長く乗ること自体を目的にするのではなく、必要な期間を安全に、無理のない費用で使うことが大切だと考えています。
よくある質問
55歳から70歳まで軽自動車に乗ると維持費はいくらですか?
今回の独自試算では、年間38万円、15年間で570万円です。
年間10万円の駐車場代が不要なら、15年間で420万円になります。
どちらも車両購入費を含まず、燃料価格や保険料などを一定としたモデルです。
15年間乗るのと7年目に買い替えるのはどちらが安いですか?
今回の基本モデルでは、15年間乗り続ける方が150万円安くなりました。
ただし、古い車の追加修理費、買い替え側の修理費、維持費の削減額、売却価格などによって結果は変わります。
両方の車の費用を同じ期間で比較することが大切です。
13年を超えた車は税金が高くなるので買い替えるべきですか?
税金の経年重課だけを理由に買い替える必要があるとは限りません。
例えば、対象となる自家用軽乗用車では、軽自動車税の年額が10,800円から12,900円になるケースがあります。
税金の差額と、新しい車の購入費や今後の整備費を比較して判断しましょう。
車検と修理で20万円かかる場合は買い替えた方がよいですか?
20万円という金額だけでは判断できません。
修理箇所、交換部品、今後3年間の整備見込み、部品供給状況を確認することが重要です。
修理によって十分な安全性と使用可能な状態を維持できるなら、買い替えるより経済的な場合があります。
まとめ|55歳から70歳までの車の費用は15年間の総額で比較しよう
55歳から70歳まで15年間車を保有する場合、今回の独自試算では、購入費を除いた維持費が軽自動車570万円、コンパクトカー705万円、ミニバン825万円となりました。
年間10万円の駐車場代が不要なら、それぞれ420万円、555万円、675万円です。
また、200万円のコンパクトカーを購入するモデルでは、15年間乗り続ける場合の総費用は905万円、62歳で買い替える場合は1,055万円でした。
基本条件では150万円の差がありますが、実際には両方の車の追加修理費、燃費、売却価格、購入諸費用などによって変動します。
特に重要なのは、買い替え側にも修理費が発生する可能性を考え、同じ条件で比較することです。
55歳で15年間の費用を見積もり、65歳で車の状態と生活環境を再評価すれば、無理な買い替えも、必要以上の長期保有も避けやすくなります。
車は大きな支出ですが、日々の移動や人生の楽しみを支えてくれる存在でもあります。
費用と安全性の両方を大切にしながら、70歳まで安心して付き合える一台を考えていきましょうね。
杉原健一(すぎはら けんいち)
モーターライフ・アドバイザー


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