高齢者が乗り降りしやすい車は、低い乗り込み口・広いドア・つかみやすいグリップを備え、体を大きく動かさず座れる車です。
候補にはスペーシア、N-BOX、シエンタ、オデッセイなどがあります。ただし「床が一番低い車=一番楽」とは限らないので、最後は本人が普段使う席で実際に乗り降りして確かめることが大切ですよ。
高齢者が乗り降りしやすい車とは?見るべきは「高さ」より動作
高齢の親御さんを車に乗せる機会が増えると、「どんな車なら乗り降りが楽なのだろう」と迷いますよね。
そんなとき、私は車名やステップ高の数字より先に、本人が乗り込むまでに何回、体勢を変えなければならないかを見ることをおすすめします。
チェックしたいのは、主に次の6点です。
- 地面から乗り込み口までが高すぎない
- シートが低すぎず、高すぎない
- 足元に大きな段差がない
- ドアの開口部に十分な高さと幅がある
- 後席ならスライドドアを使いやすい
- 自然に手を伸ばせる位置につかまる場所がある
なかでも私が重視しているのが、「足を上げる・体をひねる・頭を下げる・腰を深く落とす」という4つの動作をどれだけ減らせるかです。
たとえば乗り込み口そのものが低くても、「片足を上げる→体を横へひねる→頭を下げる→低い座席へ腰を落とす」となる車では、思ったほど楽に感じられないことがあります。
反対に、少し座面が高くても「お尻を横からシートへ載せる→両足を車内へ入れる」という二つの動きで済めば、こちらを楽だと感じる方もいるんですね。
高齢者向けの車選びは、言ってみれば「一番低い車を探す競争」ではなく、「余計な動作を一番減らせる車を探す作業」です。
長年ディーラーでお客様の乗り降りを見てきた経験からも、この違いはカタログの数字以上に大きいと感じています。
シートは低すぎても、高すぎても負担になる
「高齢者なら、とにかく低い車がいい」と考えたくなるかもしれません。
ところがシートまで低い車では、低いソファから立ち上がるような姿勢になってしまいます。
膝を深く曲げて座り、降りるときには脚と腰で身体を持ち上げなければなりません。
一方、SUVなどで床やシートが高すぎると、今度は乗るときに片足を大きく持ち上げる必要があります。
つまり、
低すぎてもつらい。高すぎてもつらい。
その人の体格や脚力に合った「ちょうどいい高さ」を探すことが大切なんですね。
私なら販売店で、まずドアを開けた状態でシートの横に立ってもらいます。
そこからダイニングチェアへ座るように、お尻を横向きのまま自然にシートへ載せられるかを見ます。
それができ、そのあと両足を無理なく車内へ入れられるなら、身体との相性は比較的良いと考えられます。
「ステップ高」と「最低地上高」は別物
カタログを見るときには、数字の名称にも注意してください。
よく見かける「最低地上高」は、路面から車体のもっとも低い部分までの距離です。
高齢者が足を置く乗り込み口の高さとは違います。
乗降性を比較するときに見るべきなのは、
リヤステップ地上高
スライドドア部の乗り込み口高さ
2列目ステップ高
といった数字です。
しかもメーカーごとに測定位置や名称が異なります。
同じ300mm台でも測っている場所が違うため、単純に「300mmだから330mmより優秀」と順位をつけるのは適切ではありません。
ここを知らずに比較すると、少し大げさですが「身長と靴のサイズを同じ物差しで比べる」ような話になってしまうんですね。
高齢者にスライドドアが乗り降りしやすいのはなぜ?
高齢の家族が主に後席へ乗るなら、低床+スライドドアの組み合わせは最初に試したいタイプです。
スライドドアの利点は、単に電動で開くことだけではありません。
通常の横開きドアは、外へ弧を描くように開きます。
病院やスーパーの駐車場で隣の車との間隔が狭いと、「本当はもっと大きくドアを開きたいのに開けられない」ということがありますよね。
その狭い隙間から高齢者が乗り降りすると、身体を横へ向けたり、ドアを避けながらひねったりする動きが増えてしまいます。
スライドドアなら車体に沿ってドアが動くため、横方向へ大きく張り出しません。
狭い駐車場でも乗降スペースを確保しやすいのが大きな長所です。
さらにパワースライドドアなら、重いドアを腕の力で開閉する必要も減ります。
介助する家族にとっても助かりますよ。
本人を支えながら、もう片方の手で大きなドアを押さえる――そんな「一人二役」をしなくて済みやすくなるからです。
ただし、パワースライドドアの標準装備・オプション設定は、車種やグレードによって異なります。
中古車では年式によっても装備が違うため、購入する車そのものを確認してくださいね。
ドアは「横幅」だけでなく「高さ」も見る
スライドドアでは開口幅ばかりに目が向きますが、高齢者の場合は開口部の高さも重要です。
足元を確認しながら、同時に頭まで深く下げなければならない車では動作が複雑になります。
できれば、
「足を高く上げる」
「頭を下げる」
「身体をひねる」
この三つを同時に求められない車が理想です。
車への乗り込みは障害物競走ではありませんからね。
普通の椅子に座るような単純な動きで乗れるほど、通院や買い物を繰り返す生活では負担を減らしやすいと私は考えています。
高齢者が乗り降りしやすい車の候補は?公式情報で4台を比較
では、実際にどのような車が候補になるのでしょうか。
ここでは単純なおすすめランキングではなく、2026年8月時点でメーカーが公開している乗降関連情報を確認できる代表的な4車種を見ていきましょう。
車種 乗降面で注目したいポイント
スズキ スペーシア リヤステップ地上高345mm、開口幅600mm、開口高1,250mm、乗降グリップ
ホンダ N-BOX センタータンクレイアウト、後席の「一人で乗り降りらくらくグリップ」
トヨタ シエンタ 2WDの乗り込み口約330mm、E-Four約350mm、フラットな乗降部
ホンダ オデッセイ 2列目ステップ高約300mm、開口高1,230mm、幅750mm
ただし、先ほど触れたように測定場所や車体構造が違うため、数値の大小だけで順位は付けられません。
それぞれ何が違うのかを見てみましょう。
スズキ スペーシア|345mmの低床と大きな乗降グリップ
現行スペーシアについて、スズキはリヤステップ地上高を345mmと案内しています。
さらに2023年11月の新型車発表時には、スライドドア開口幅600mm、開口高1,250mmとし、後席の乗降グリップも持ち手部分を大きくしたと説明しています。
ここで注目したいのは、345mmという数字だけではありません。
低いステップ、広いスライドドア、身体を支えるグリップの三つが組み合わされていることです。
玄関を想像してみてください。
上がり框が低くても、身体がふらついたときにつかまれる場所がなければ、不安に感じる方はいらっしゃいますよね。
車も同じです。
「足をどこまで上げるか」と「その瞬間にどこへ手を置けるか」をセットで見ると、実際の使いやすさが見えてきます。
高齢の親御さんを頻繁に後席へ乗せる家庭では、一度試しておきたいタイプですね。
ホンダ N-BOX|数字より「つかまれる位置」が特徴
N-BOXは、単純なステップ高だけで評価するより、Honda独自の車内パッケージとグリップに注目したい車です。
Hondaは、燃料タンクを前席下へ配置する「センタータンクレイアウト」を採用しており、後席や荷室の空間を有効に使う設計を説明しています。
さらに後席のサイド部分には、手を掛けられるくぼみを設けた「一人で乗り降りらくらくグリップ」があります。
Hondaはこの装備について、子どもだけでなく高齢者も利用できると案内しています。
私はここが、N-BOXを見るときの重要なポイントだと感じます。
車選びでは「床まで○mm」という数字へ目が向きがちですが、高齢者の乗降では立ち上がろうとした瞬間に手を置ける場所があるかが安心感を大きく左右します。
販売店で確認するときは、ただ後席へ座るだけで終わらせないでください。
降りるとき、そのグリップを意識しなくても自然に手が伸びる位置にあるか。
そこまで確かめて初めて、本当に本人に合うかが分かりますよ。
トヨタ シエンタ|2WDは乗り込み口約330mm
現行シエンタについて、トヨタはスライドドアを開けたときの地面から乗り込み口までの高さを、2WDで約330mm、E-Fourで約350mmと案内しています。
トヨタはさらに、乗降部を段差の少ないフラットな形状とし、高齢者などが乗り降りしやすい設計であることを紹介しています。
ここで大事なのは、「最初の一歩」だけを見ないことです。
玄関に低い踏み台があっても、その奥でもう一度大きな段差を越えなければならなければ、結局は大変ですよね。
車も同じです。
地面から一歩目が低いだけでなく、そこから座席へ移る途中に余計な段差がないかまで確かめたいところです。
シエンタは、軽ハイトワゴンより乗車人数や荷物に余裕が欲しい一方、大型ミニバンまでは必要ない家庭でも比較しやすい車です。
親御さんを乗せるからといって、必ずしも巨大なミニバンを選ぶ必要はありません。
運転する家族が日常的に扱いやすい大きさであることも、立派な「使いやすさ」なんですよ。
ホンダ オデッセイ|2列目ステップ高は約300mm
オデッセイについてHondaは、2列目のステップ高を地上から約300mmと案内しています。
スライドドア開口部は高さ1,230mm、幅750mmで、センターピラーグリップも備えています。
数字だけを見ると非常に低く感じますが、スペーシアやシエンタとは車体サイズも構造も違います。
ですから「300mmだから4台の中で一番乗りやすい」と判断するのはおすすめできません。
一方で、
「高齢の親も乗せたい」
「大人が複数人で長距離移動する」
「荷物も多い」
といった家庭では候補になりやすいでしょう。
つまり高齢者向けの車選びは、乗降性だけで100点を取れば終わる話ではありません。
乗車人数、荷物、駐車場所、運転する家族の負担まで含めて考える必要があるんですね。
ステップ高だけでは足りない?グリップと介助スペースも重要
私が高齢者向けの車を見るとき、床の高さと同じくらい確認するのがつかまれる場所です。
特に難しいのは降りるときです。
後席に座った状態から身体を横へ向け、両足を車外へ出し、地面へ体重を移して立ち上がります。
まだ立ち切っていない中途半端な姿勢でバランスを取る場面があるんですね。
この瞬間に自然な位置へグリップがあれば、身体を支えながらゆっくり立ち上がりやすくなります。
ただしグリップは、「付いているから合格」ではありません。
頭の上まで腕を伸ばさなければ届かない位置では、人によっては使いづらく感じます。
反対に、身体を起こす途中で自然に手が届く場所なら使いやすいでしょう。
重要なのはグリップの数ではなく、本人の動作の途中にそのグリップがあるかです。
ここはカタログだけでは分かりにくい部分ですよ。
雨の日の病院でも同じように乗れるか
販売店のショールームは、床が平らで、明るく、乾いています。
でも実際の生活は違いますよね。
雨の日の病院で、濡れた靴のまま乗り込むこともあります。
夜のスーパーで乗り降りすることもあるでしょう。
そこで実車を見るときは、
- ステップへ足を置く場所が見やすいか
- 足を置ける面積が十分か
- 雨の日でも怖さを感じにくそうか
- ドアを開けた横に家族が立てるか
- 腕や背中を支えるスペースがあるか
まで確認してみてください。
本人だけでなく、介助する家族にも一度その場所へ立ってもらうとよいでしょう。
車内へ乗り込む本人を支えようとしたら、自分が大きく腰を曲げなければならない。
これでは毎日の送迎で介助する側にも負担がたまります。
「本人が乗れるか」と同時に、「家族が無理なく支えられるか」を見る。
これが長く使える車を選ぶための、もう一つの大事な視点です。

SUVは高齢者には乗り降りしにくい?一律には決められない
「SUVは座面が高いから高齢者には楽だ」
反対に、
「SUVは床が高いから高齢者には向かない」
どちらの意見も聞きますよね。
結論から言うと、どちらも人によって正しくなります。
SUVといっても、コンパクトなクロスオーバーから大型SUVまで高さはかなり違います。
低いセダンへ腰を落としたあと、立ち上がるのがつらい方なら、適度に座面が高いSUVを楽だと感じることがあります。
一方、膝や股関節を大きく持ち上げるのが苦手な方では、床の高いSUVへよじ登るような動作が負担になることがあります。
そこで車種を選ぶ前に考えてほしいのが、
「その人は、腰を低く落とすのが苦手なのか。それとも足を高く上げるのが苦手なのか」
という違いです。
ここが分かると、候補車のタイプをかなり絞りやすくなります。
高齢者向けだからとSUVを最初から除外する必要はありません。
ただし高齢の家族を主に後席へ乗せ、病院やスーパーなど狭い駐車場で乗り降りすることが多いなら、低床+スライドドア車と必ず乗り比べてみてください。
カタログではSUVが良さそうに見えても、実際にはスライドドア車のほうが身体をひねらず乗れた、ということもありますからね。
高齢者が乗り降りしやすい車は試乗でどう確かめる?
ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。
高齢者向けの車は、「試乗して走る」前に「駐車したまま何度か乗り降りする」ことをおすすめします。
ディーラー時代、多くのお客様を見てきましたが、カタログを見た時点で本命だった車と、本人が乗って「これが楽」と感じた車が違うことは珍しくありませんでした。
低床だから選んだ車より、
「こちらのほうが手を掛けやすい」
「こっちのほうがお尻を載せやすい」
「この車なら降りるときに怖くない」
と感じた別の車が候補になることもあります。
高齢者の乗り降りには体格、脚力、関節の動かしやすさなど個人差があります。
だからこそ、本人の実際の動作そのものが、カタログ以上に重要な判断材料になるんですね。
私なら「4つの余計な動作」を数える
私なら2台を比べるとき、乗り降りで次の4つがどれほど必要になるかを見ます。
足を高く上げる。
身体を大きくひねる。
頭を深く下げる。
腰を深く落とす。
たとえばA車では、
「足を上げる→頭を下げる→身体をひねる→腰を落とす」
という動きになる。
B車では、
「横向きに腰掛ける→足を入れる」
だけで乗れる。
それなら、多少ステップ高の数字でA車が有利でも、私はB車を有力候補にします。
10mm、20mmの差よりも、毎日の乗り降りで必要な動作が一つ二つ減るほうが、本人にとって大きな意味を持つことがあるからです。
これはカタログには載らない、その人だけの「生活上の乗降性能」なんですね。
30秒座るだけで終わらせない
販売店でありがちなのが、本人が後席へ一度座って、
「座れたから大丈夫ですね」
と終わらせてしまうことです。
できれば乗車と降車を3回ほど繰り返してみてください。
1回目では緊張していて気付かなかったことが、2回目、3回目になると見えてきます。
「降りるときだけ右手の置き場に困る」
「足を出すときに靴がステップへ引っ掛かる」
「乗るのは楽だけれど、立ち上がるときにつらい」
こうした細かな違いが分かってきます。
さらに可能なら、本人が普段履く靴で試してください。
靴底の厚さや形によって、ステップへ足を置いたときの感覚が変わることもありますよ。
後席の位置も動かして試す
後席を前後へスライドできる車なら、一つの位置だけで判断しないことも大切です。
前へ寄せれば荷室は広くなりますが、足元空間が狭くなります。
後ろへ下げれば脚は楽でも、介助する家族の手が届きにくくなることがあります。
ですから、
本人が乗りやすい位置
介助しやすい位置
普段の荷物を積める位置
この三つが両立する場所を探してみてください。
私はここまで確認して初めて「この家族にはこの車が合いそうだ」と判断しやすくなると思っています。
高齢者本人が運転する車と、同乗する車は選び方が違う
もう一つ整理しておきたいのが、高齢者本人が運転するのか、家族が運転して後席へ同乗するのかです。
この二つは似ているようで、車選びの優先順位が違います。
家族が運転し、高齢の親御さんがいつも後席へ乗るなら、
後席の低床性
スライドドア
グリップ
介助スペース
を優先しやすくなります。
一方、高齢者本人が運転するなら、乗り降りだけでは足りません。
- 前方・左右の見やすさ
- 車体の大きさ
- 駐車のしやすさ
- ペダルやシフト操作の分かりやすさ
- 運転支援機能
- 運転席から降りるときの動作
も一緒に確認する必要があります。
つまり、
「高齢者を乗せやすい車」と「高齢者本人が運転しやすい車」は同じではありません。
ここを分けて考えるだけでも、候補選びの迷いがかなり減りますよ。
通常の車で乗り降りが難しくなったら福祉車両も検討
低床車でも乗り降りが難しくなってきた場合は、無理に一般的な車だけから選ぶ必要はありません。
福祉車両には、
座席そのものが回転するタイプ。
座席が車外方向へ下がってくるタイプ。
車いすのまま乗車できるスロープタイプ。
などがあります。
大事なのは、「福祉車両を選ぶ=大げさ」と考えないことです。
毎回本人が必死に足を上げたり、家族が身体を抱え上げたりしているなら、移動を助ける仕組みを使うことは自然な選択肢です。
ただし、福祉車両なら誰でも必ず楽になるわけではありません。
本人の体格や身体の動かしやすさによって、適したタイプは変わります。
可能なら販売店や福祉車両を扱う窓口で、実際の乗降を試してから判断してくださいね。
私なら「今乗れるか」だけでなく3年後も考えて選ぶ
ここからは私の考えです。
車は買ったその日だけ乗るものではありません。
5年、7年と使うこともありますよね。
購入時には問題なく乗り降りできていても、その先ずっと身体の状態が同じとは限りません。
もちろん、将来を心配しすぎて必要以上に大きな車や特別な設備を買う必要はありません。
ただ、
低い乗り込み口
大きく開くスライドドア
自然につかめるグリップ
身体をひねりすぎず座れるシート
といった少し余裕のある設計は、長く使うほどありがたさを感じやすいと私は思います。
そして、もう一つ忘れてほしくないのが送迎する家族の負担です。
親御さんが楽だからと大型ミニバンを選んでも、運転する人が毎回スーパーの駐車場で緊張するようでは、生活に合っているとは言いにくいですよね。
逆に小ささだけで車を選び、後席へ親御さんを乗せるたび家族が腰を深く曲げなければならないのも大変です。
私が考える高齢者向け車選びの新しい基準は、
本人の「乗り降りのしやすさ」と、家族の「運転・介助のしやすさ」の交点を探すこと。
どちらか一方だけを満点にするのではなく、家族全体で無理なく続けられる車を選ぶ。
それが結局、何年も付き合いやすい一台になるのではないでしょうか。
まとめ|高齢者が乗り降りしやすい車は「低さ+動作の少なさ」で選ぼう
高齢者が乗り降りしやすい車を探すなら、まず低床設計とスライドドアを持つ軽ハイトワゴンやミニバンから比較すると選びやすくなります。
2026年8月時点のメーカー公式情報では、スペーシアはリヤステップ地上高345mm、シエンタは2WDの乗り込み口が約330mm、オデッセイは2列目ステップ高約300mmとされています。
N-BOXのように、センタータンクレイアウトと高齢者も使える後席グリップによって乗降へ配慮している車もあります。
ただし、数字はあくまで候補を絞る材料です。
メーカーによって測定箇所も車体構造も違いますから、「300mmだから1位」「345mmだから2位」という決め方はしないほうが安心です。
購入前には本人と一緒に販売店へ行き、普段使う席で何度か乗り降りしてみてください。
足を高く上げないと乗れないか。
身体を大きくひねらないと座れないか。
頭を深く下げなければならないか。
低い座席から立ち上がるのに力が必要か。
そして、降りる瞬間につかまれる場所があるか。
この一連の動きを見ると、その人に合う車が見えてきます。
毎日の通院や買い物で「車に乗るのが大仕事だな」と感じにくいこと。
私はそれこそが、高齢者にとって本当の意味での「乗り降りしやすい車」だと考えています。
よくある質問
高齢者が乗り降りしやすい車はどんなタイプですか?
後席を使うことが多いなら、低床設計とスライドドアを備えた軽ハイトワゴンやミニバンが比較しやすいです。
スペーシア、N-BOX、シエンタ、オデッセイなどには乗降へ配慮した設計がありますが、最終的には本人が実車で試すことが大切です。
高齢者向けならステップ高は何mm以下がいいですか?
「○mm以下なら高齢者に適している」という一律の基準では決められません。
シエンタ2WDの約330mmやスペーシアの345mmなどは参考になりますが、座面高、ドア開口部、グリップ位置、本人の体格によって感じ方は変わります。
数字は候補を絞る目安にして、最後は本人の動作で確認しましょう。
高齢者にはスライドドアと普通のドアのどちらが便利ですか?
高齢者が主に後席へ乗るなら、スライドドアは便利に感じやすいでしょう。
隣の車へドアを大きく張り出さずに開口部を確保しやすいため、病院やスーパーなどの駐車場でも介助スペースを作りやすいからです。
ただし高齢者本人が主に運転する場合は、運転席のドアやシートの高さ、見切り、車体サイズなども別に確認してください。
高齢者向けの車は本人を連れて試乗したほうがいいですか?
できれば本人と一緒に確認することをおすすめします。
走行性能を見る試乗だけでなく、駐車した状態で普段使う席へ3回ほど乗り降りし、「足を上げる・体をひねる・頭を下げる・腰を落とす」という動作がどれくらい必要か比べてみてください。
杉原健一
モーターライフ・アドバイザー



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