55歳で買う車は、まず65歳まで10年乗って再評価し、修理・安全性・身体・生活の4条件が良ければ70歳まで15年乗るのが現実的です。
「10年で買い替えるべきか、それとも15年乗り続けたほうが得なのか」。55歳からの車選びでは、車の寿命だけでなく、65歳以降の暮らしまで一緒に考えることが大切なんですよね。
55歳で買った車は10年と15年、どちらがいい?
基本は10年後の65歳で一度判断し、条件がそろえば15年後の70歳まで乗る、という考え方がおすすめです。
10年と15年には、それぞれ違ったメリットと注意点があります。まずは同じ基準で比べてみましょう。
比較項目 10年・65歳まで 15年・70歳まで
車齢 約10年 約15年
購入回数 15年保有より増えやすい 抑えやすい
修理リスク 比較的抑えやすい 経年劣化による修理が増えやすい
税負担 13年超の経年重課前に見直せる 車種によって13年超の税負担を確認
安全装備 65歳時点で新しい世代へ更新しやすい 15年間で装備の世代差が広がる可能性
生活変化への対応 65歳で車種を選び直しやすい 55歳時の車が70歳にも合うか確認が必要
向いている人 将来の変化に柔軟に対応したい人 走行距離が少なく、整備状態が良い車を長く使いたい人
つまり、10年は「買い替え期限」ではなく、15年乗るかどうかを判定する節目と考えると分かりやすいでしょう。
一般財団法人自動車検査登録情報協会が公表した「平均使用年数」によると、2025年3月末現在、軽自動車を除く乗用車の平均使用年数は13.35年です。前年の13.32年から0.03年長くなり、4年ぶりに長期化しました。
また、日本自動車工業会が2026年4月14日に公表した「2025年度 乗用車市場動向調査」では、買い替え前に所有していた車の平均保有期間は7.2年で、「10年超」の保有も3割弱を占めています。前の車が新車だった人では平均7.3年でした。
こうした数字を見ると、55歳から10年乗る計画は決して珍しくありません。
一方で、平均使用年数13.35年だからといって、「どんな車でも13年以上安心して乗れる」という意味ではありません。走行距離、保管環境、整備履歴、車種によって状態はかなり違います。
だから私は、55歳からの車を「10年か15年か」の二択で最初に固定しないことが大切だと考えています。
55歳で買い、65歳で一度しっかり判定する。その時点で車も自分も良い状態なら、さらに5年乗る。
この「10年+5年」という考え方なら、長く乗るメリットを残しながら、無理な長期保有も避けやすくなります。
55歳で買った車を65歳まで10年乗るメリットは?
10年保有の最大のメリットは、車齢10年前後と生活の変化が重なる65歳で、次の選択をしやすいことです。
55歳では通勤で毎日使っていた車が、65歳になると買い物や通院、趣味のドライブ中心になっているかもしれません。
家族を何人も乗せていた人が、夫婦2人あるいは1人で乗ることが中心になるケースもありますよね。
実際、厚生労働省が2025年12月19日に公表した「令和7年 高年齢者雇用状況等報告」では、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%でした。
もちろん65歳で全員の働き方が変わるわけではありません。ただ、55歳から10年という時間の中で、仕事、通勤距離、収入の使い方、家族構成が変わる可能性は十分あります。
そのため私は、65歳を単なる年齢ではなく、「車齢10年」と「暮らしの変化」を一緒に確認しやすい地点として捉えています。
10年保有なら車検の節目も判断材料になる
自家用乗用車の新車なら、一般的に初回車検は3年後、その後は2年ごとです。
55歳で新車を購入した場合は、おおむね次の流れになります。
- 58歳:初回車検
- 60歳:2回目
- 62歳:3回目
- 64歳:4回目
- 66歳:5回目
ここで注目したいのが64歳前後の車検です。
車齢は約9年。タイヤやバッテリーなど通常の消耗品だけでなく、車種や使い方によっては年数に応じた部品交換も気になり始めます。
64歳の車検見積もりでまとまった整備費が提示されたなら、
「10年乗ると決めたから、とにかく全部直す」
と考える必要はありません。
今後必要になりそうな整備費と、65歳以降の生活に合った車へ替える費用を比べればよいのです。
なお、国土交通省は2025年4月1日から、車検証の有効期間満了日の2か月前から満了日までに車検を受けても、残っている有効期間を失わない制度へ変更しています。
以前の1か月前より余裕を持って予約できるため、長期保有する方にとっても整備計画を立てやすくなりました。
65歳で買い替えるなら75歳までを見据えられる
65歳で車を見直すもう一つの利点は、次の10年間を考えやすいことです。
65歳で買った車を10年間保有すれば75歳です。
つまり、
55歳の車は65歳までの暮らしを中心に考える
65歳の車は75歳前後まで扱いやすいかを見る
という二段階の車選びができます。
これは、55歳の時点で「人生最後の車を決めなければ」と構えるより柔軟です。
長年ディーラーの店頭でお話を伺っていると、年齢そのものより、通勤がなくなった、乗る人数が減った、大きな車の駐車が少し面倒になったといった生活の変化が、車選びを見直すきっかけになることが少なくありません。
55歳のときに必要だった3列シートや大きな荷室が、65歳ではそれほど必要ではなくなることもあります。
車は洋服に少し似ています。
昔お気に入りだった服でも、今の暮らしや体に合わなくなれば着る機会が減りますよね。
車も同じで、まだ使えるかどうかと、今の自分に合っているかは別問題なんです。
55歳で買った車を70歳まで15年乗るのは現実的?
15年間の保有は十分選択肢になりますが、「15年間必ず乗る」と最初から固定しないことが大切です。
自動車検査登録情報協会による2025年3月末の平均使用年数は13.35年ですから、15年という数字自体が極端に現実離れしているわけではありません。
ただし15年乗れば、55歳で買った車は70歳時点で車齢15年です。
そこでは購入費を抑えられる一方、修理、安全装備、税負担、自分自身の扱いやすさについて、10年保有より慎重な確認が必要になります。

15年乗るメリットは買い替え回数を減らせること
長く乗る大きな利点は、車を購入する回数を減らせることです。
例えば新しい車を買うには、車両価格だけでなく、登録関係の諸費用なども必要になります。200万円や300万円といった購入費はあくまで一般例ですが、家計にとって大きな支出であることは間違いありません。
今の車に多少の整備費がかかったとしても、
修理して5年乗る費用より、今すぐ買い替える費用のほうが大きい
というケースは十分あります。
ですから「古いから損」「修理が出たから即買い替え」とは限りません。
見るべきなのは、
税金+車検・整備+修理見込み+故障リスク+買い替え費用
の合計です。
車のお金は、一つの項目だけを見ると判断しにくいんですよね。
15年乗るなら13年超の税負担を確認する
15年保有では、「13年」という節目も無視できません。
ただし、13年を超えた車すべての税金が一律に同じだけ上がるわけではありません。
自動車税種別割と自動車重量税では仕組みが異なり、燃料の種類や環境性能などによって対象も変わります。
自動車重量税には、経過年数によって「13年超」「18年超」など税額区分が変わる仕組みがあります。
国土交通省は「次回自動車重量税額照会サービス」も用意しているため、長く乗る場合は自分の車の実額を確認するのが確実です。
自動車税種別割でも、一定年数を経過したガソリン車やLPG車などに重課制度があります。一方、環境性能などによって扱いが異なる車もあります。
そのため、13年になったから自動的に買い替える必要はありません。
仮に税金が少し増えても、車そのものの状態が良く、数年間大きな修理が見込まれないなら、乗り続けたほうが家計に合う可能性もあります。
「税金が上がるから売る」という一本勝負ではなく、総額で判断してみましょうね。
走行距離が少なければ15年乗りやすいとは限らない
年間走行距離が少ない車なら、15年間乗りやすいと考える方も多いでしょう。
確かに、長距離を頻繁に走る車より部品の摩耗が少ない部分はあります。
ただし、走行距離が少なければ経年劣化まで止まるわけではありません。
ゴムや樹脂、バッテリー、油脂類などには「走った距離」だけでなく「経過した時間」が影響します。
逆に、年数が経っていても定期的に点検・整備され、必要な部品が適切に交換されている車なら、良い状態を維持できることもあります。
ですから15年保有を考えるときは、単純な年式や走行距離ではなく、整備履歴を見ることが重要です。
これは中古車選びでも同じですね。
人間で言えば、年齢だけを見るのではなく、健康診断の記録も一緒に見るイメージです。
65歳で「あと5年乗れるか」を判断する4つの条件
55歳から15年乗る計画なら、65歳で修理費・安全性・身体・生活の4項目を確認してください。
この4つに大きな問題がなければ、70歳まで乗る選択には十分な合理性があります。
1.修理費が大きく増えていないか
まず見るのは車の状態です。
車齢10年前後になると、通常の消耗品以外にも、経年による部品交換が必要になる可能性があります。
大切なのは「今回の修理代はいくらか」だけではありません。
整備工場やディーラーで、
「今後2~3年で交換が考えられる部品はありますか?」
と聞いてみると判断しやすくなります。
今後5年間でまとまった修理が複数予想されるなら、65歳での買い替えも比較対象になります。
反対に、整備状態が良く、大きな不具合の兆候もなければ、年数だけを理由に手放す必要はありません。
2.安全装備の差が大きくなっていないか
10年、15年という期間では、安全技術にも世代差が出ます。
国土交通省によると、乗用車などの衝突被害軽減ブレーキは、国産新型車で2021年11月から義務化され、国産の継続生産車は2025年12月から対象となりました。
輸入車は新型車が2024年7月、継続生産車が2026年7月から対象です。軽トラックの継続生産車は2027年9月からとなっています。
そのため2026年ごろに新車を選ぶ場合、衝突被害軽減ブレーキを備えた車を選びやすい環境になっています。
ただし、装備内容や作動条件は車種・グレードによって異なります。
さらに15年後まで考えれば、現在より運転支援技術が進んでいる可能性もあります。
ここで私が大切だと思うのは、
「まだ走れるか」ではなく「新しい車に替えることで安全面のメリットが大きいか」
を考えることです。
安全装備は、私は階段の手すりのようなものだと思っています。
手すりがあっても自分で歩く必要はあります。でも、ふらついたときに助けになりますよね。
車の安全支援も同じです。運転者の確認や判断を代わりに全部やってくれるものではありませんが、ミスを減らしたり被害を軽減したりする助けになります。
3.自分の身体に合っているか
65歳でぜひ確認してほしいのが、車ではなく自分自身の感覚です。
例えば、
- 乗り降りで腰や膝に負担を感じないか
- 前方や斜め前方が見やすいか
- バック駐車で車幅を負担に感じないか
- 運転席から周囲を確認しやすいか
- 長時間運転で以前より疲れやすくなっていないか
- ペダル操作や運転姿勢に無理がないか
こうした変化は、ある日突然「運転できない」という形で現れるとは限りません。
以前は何とも思わなかった車幅が少し気になる。
低い運転席から立ち上がるとき、手をつくようになった。
夜のバック駐車だけ少し緊張する。
こうした小さな変化こそ、次の車を考えるサインになることがあります。
私がこれまで店頭でお話を聞いてきた経験でも、買い替え理由は必ずしも「故障したから」だけではありません。
大きな車を持て余すようになった、乗り降りが楽な車が欲しくなった、近距離中心になったという暮らし側の理由が、車選びを変えることは珍しくありませんでした。
4.今の生活に車が合っているか
55歳と65歳では、車の使い方そのものが違う可能性があります。
55歳では片道30kmの通勤が中心だったのに、65歳では週に数回の買い物が中心になるかもしれません。
子どもを乗せる機会が減れば、大きなミニバンを維持する必要がなくなることもあります。
反対に、仕事を離れて旅行に出かける機会が増え、長距離の快適性を以前より重視する人もいるでしょう。
つまり、年齢だけでは決められません。
65歳になったとき、「この車を何に使っているか」をもう一度書き出すことが大切です。
車は人生の舞台が変われば、ちょうどよい役柄も変わります。
55歳の主役がそのまま70歳でも主役とは限らないんですよね。
70歳まで15年乗るなら免許制度と扱いやすさも確認しよう
70歳になったから運転できなくなるわけではありませんが、免許更新では高齢者講習が関係する年代に入ります。
警察庁によると、運転免許証の更新期間満了日の年齢が70歳以上の場合、高齢者講習の対象になります。
さらに75歳以上になると、免許更新時に認知機能検査が関係します。
ですから55歳で車を買い、15年間乗って70歳になるときは、
「そろそろ運転をやめなければ」
と機械的に考えるのではありません。
70歳の自分が、この車を無理なく扱えているか
を確認してください。
大切なのは年齢の数字だけではなく、実際の運転です。
例えば、70歳になっても視界が良く、乗り降りしやすく、車幅にも不安がなく、日常の運転で困っていないなら、年齢だけを理由に買い替える必要はありません。
一方、車自体は元気でも、大きさや視界が負担になっているなら、もっと扱いやすい車へ替える意味があります。
ここで「55歳で人生最後の1台を選ぼう」と考え過ぎないことも重要です。
55歳から15年乗っても70歳です。
65歳で買い替えて10年乗れば75歳になります。
その先に運転を続けるかどうかは、健康状態、生活環境、交通手段などを含めて、その時点で判断すればいいのです。
将来の可能性をすべて55歳の1台に背負わせる必要はありません。
私なら55歳の車は「10年で判定、条件が良ければ15年」と考える
ここからは制度ではなく、モーターライフ・アドバイザーとしての私見です。
私は55歳で車を購入する方には、「65歳まで10年を基本計画にし、65歳時点で4条件を満たせば70歳まで延長する」という考え方が最も無理が少ないと思っています。
理由はシンプルです。
10年と15年には、どちらか一方だけが正解という関係がないからです。
15年乗れば、買い替え回数を減らせる可能性があります。
一方、10年で見直せば、新しい安全装備や変化した生活に合う車へ移りやすくなります。
つまり、
10年は柔軟性に強い。
15年は長期保有による経済性に強い。
この違いなんです。
そして65歳の時点で、
- 大きな修理が続いていない
- 安全面で強い不満がない
- 乗り降りや視界に負担がない
- 今の暮らしに車の大きさや用途が合っている
この4条件を満たしているなら、私はあと5年乗る選択を十分合理的だと考えます。
逆に、車齢がまだ8年や9年でも、このうち複数が合わなくなっているなら、10年という数字にこだわる必要はありません。
ここが、55歳以降の車選びで私が最もお伝えしたいところです。
車の寿命と、自分にとっての使用期限は同じではありません。
機械としてまだ使える車でも、生活に合わなくなることがあります。
反対に、年式が古くても、きちんと整備され、自分にとって扱いやすければ、良い相棒であり続けることもあります。
ですから「何年乗れる車を買うか」だけでなく、
「何歳になっても扱いやすい部分を、55歳の今から選んでおく」
という視点を加えてみてください。
具体的には、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備だけでなく、視界、乗り降り、車幅、最小回転半径、駐車時の周囲確認のしやすさも大切です。
15年間故障しない車を完璧に予測することはできません。
でも、65歳や70歳になった自分が「これなら扱いやすそう」と思える条件は、購入時からある程度確認できます。
長持ちだけを目指すのではなく、長く付き合いやすい車を選ぶ。
55歳からの車選びでは、この違いが意外に大きいと私は考えています。
まとめ|55歳の車は65歳まで10年乗り、条件が良ければ70歳まで15年
55歳で買った車を何年乗るか迷ったら、10年後の65歳を最初の総合判定ポイントにすると考えやすくなります。
自動車検査登録情報協会による2025年3月末の乗用車平均使用年数は13.35年、日本自動車工業会の2025年度乗用車市場動向調査では前保有車の平均保有期間は7.2年で、10年超も3割弱でした。
そのため10年保有も、状態次第で15年保有を目指すことも、どちらも現実的な選択肢です。
ただし、15年乗るなら「平均13年以上だから大丈夫」と考えるのではありません。
65歳で修理費・安全性・身体・生活の4項目を確認し、問題が少なければ70歳まであと5年乗る。
これが私のおすすめする「10年+5年」の考え方です。
55歳から65歳までの間には、車だけでなく働き方や家族構成、走行距離も変わるかもしれません。
さらに70歳になると免許更新で高齢者講習が関係する年代になります。
だからこそ、最初から「15年間絶対に乗る」と決める必要はありません。
55歳で購入→65歳で総合判定→条件が合えば70歳まで。
このくらい余白を残しておくほうが、今の楽しさと将来の安心を両立しやすいですよ。
「この車は15年もつかな?」と考えるだけでなく、
「15年後まで、この車は自分に合っているかな?」
という問いも、ぜひ一緒に持っておいてくださいね。
よくある質問
55歳で買った車は10年で買い替えたほうがいい?
必ず買い替える必要はありません。
65歳は「買い替える年齢」ではなく、車齢10年前後の状態と、生活・身体の変化をまとめて確認するタイミングと考えてください。
修理費、安全性、扱いやすさ、生活との相性に問題がなければ、そのまま70歳まで乗る選択もできます。
13年を超えた車は買い替えたほうが得?
13年を超えたという理由だけで、買い替えが得とは言えません。
自動車税種別割や自動車重量税では経過年数による負担増が関係する場合がありますが、制度は車種や燃料などによって異なります。
増える税負担だけでなく、今後の修理費と新しい車の購入費まで含めて比較することが大切です。
走行距離が少なければ15年乗りやすい?
走行距離が少ないことは有利な材料の一つですが、それだけでは判断できません。
車には走行による摩耗だけでなく、ゴムや樹脂、バッテリーなど時間による経年劣化もあります。
走行距離だけを見るのではなく、点検・整備履歴と現在の車両状態を確認することが重要です。
杉原健一(すぎはらけんいち)
モーターライフ・アドバイザー



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