最後の車は、自宅充電が難しければハイブリッド車、充電できて近距離中心なら電気自動車が有力です。10年後の維持費や修理の安心感も比べましょう。
50代・60代から長く乗る一台だからこそ、燃料代の安さだけでなく、70代になっても無理なく扱えるかが大切ですよね。
この記事では、2026年6月24日更新のEV充電エネチェンジによるPHEV解説と、2024年8月6日に公表されたピクテ・ジャパンの市川眞一氏によるEV市場分析を踏まえ、充電損失を含む費用試算や購入後の注意点を整理します。
最後の車はハイブリッドと電気自動車のどちらがおすすめ?
最後の車として幅広い生活に対応しやすいのはハイブリッド車ですが、自宅充電ができる家庭では電気自動車も有力な選択肢です。
どちらが優れているかではなく、これからの暮らしにどちらが合っているかで考えることが大切ですね。
HV・EV・PHEVが向いている人の違い
最初に、購入条件別の結論を整理しましょう。
- ハイブリッド車(HV)が向く人: 自宅充電ができない、遠出が多い、購入費用を抑えたい方
- 電気自動車(EV)が向く人: 自宅充電ができる、近距離移動が中心、給油の手間を減らしたい方
- プラグインハイブリッド車(PHEV)が向く人: 自宅充電ができ、普段は電気で走りながら長距離旅行も楽しみたい方
例えば、60歳で購入して75歳まで乗る場合、保有期間は15年間になります。
現在は通勤で毎日40km走っていても、退職後は買い物や通院が中心になるかもしれません。
反対に、退職後に旅行を楽しむようになり、年間走行距離が増える方もいるでしょう。
最後の車では、購入時点だけでなく、退職後の生活まで想像しておきたいですね。
ハイブリッド・EV・PHEVの基本性能を比較
比較項目 HV EV PHEV
主な動力 エンジン+モーター 電気モーター エンジン+モーター
ガソリン給油 必要 不要 必要
外部充電 原則不要 必要 可能
長距離移動 給油で対応しやすい 充電計画が重要 給油でも対応可能
日常のエネルギー費 燃費による 電費と充電料金による 充電頻度による
エンジンオイル交換 必要 不要 必要
駆動用電池 搭載 搭載 搭載
長期保有の注意点 エンジン・電池 電池・充電系統 両方の整備
ここで覚えておきたいのは、ハイブリッド車にも駆動用バッテリーが搭載されていることです。
バッテリーの寿命を心配する必要があるのは、電気自動車だけではありません。
また、PHEVは外部充電ができるハイブリッド車の一種ですが、通常のHVより大きなバッテリーを備えることが一般的です。
そのため、購入価格や車両重量、整備内容にも違いが生まれます。
最後の車で最初に決めたい3つの条件
私は、車種を選ぶ前に次の3点を決めておくことをおすすめします。
- 何年間乗る予定なのか
- 退職後の年間走行距離はどの程度か
- 自宅で充電できる環境があるか
この3つが分かると、候補となる車がかなり絞られます。
特に自宅充電の可否は、EVやPHEVの使いやすさを大きく左右します。
車の性能がどれほど優れていても、毎日の使い方に合っていなければ、購入後の負担につながるからです。
電気自動車を最後の車にして後悔するのはどんなケース?
電気自動車を最後の車にして後悔する可能性が高まるのは、充電環境や将来の生活変化を十分に確認せず購入した場合です。
EVそのものが老後に向かないわけではありません。
むしろ、生活条件が合えば、給油の手間を減らせる便利な車になります。
自宅充電ができず公共充電に頼る場合
EV充電エネチェンジの2026年6月24日更新記事では、EVやPHEVの使い勝手を左右する条件として、充電環境の重要性が説明されています。
自宅に充電設備があれば、帰宅後にケーブルを接続し、翌朝までに必要な電力を補充する使い方ができます。
例えば、1日20km走る生活を考えてみましょう。
車両側の電費を6km/kWhと仮定すると、走行に必要な電力量は約3.33kWhです。
充電効率を90%と仮定した場合、家庭の電力設備から必要になる電力量は約3.70kWhになります。
毎日の走行距離が短ければ、一般的な200V普通充電設備でも日常の走行分を補充しやすい条件です。
一方、自宅充電ができず公共充電だけに頼る場合、充電場所への移動や待ち時間が発生します。
近所に急速充電器があっても、先客が利用していたり、設備が故障していたりする可能性があります。
また、充電サービスによって料金体系や利用時間、認証方法が異なります。
私なら、公共充電を中心にEVを使う予定であれば、購入前に普段利用する充電場所を実際に確認します。
充電器の台数だけでなく、故障時に利用できる別の場所まで把握しておきたいですね。
70代になっても充電ケーブルを扱える?
最後の車では、カタログに掲載されない使いやすさも重要です。
その代表例が、充電ケーブルの取り回しです。
自宅充電は便利ですが、車種や設備によっては、ケーブルを持ち上げたり、充電口まで引き回したりする必要があります。
特に駐車場が狭い場合、無理な姿勢でコネクターを接続することがあるかもしれません。
購入前には、次の動作を確認してみましょう。
- ケーブルを無理なく持ち上げられるか
- 充電口に自然な姿勢で手が届くか
- コネクターの接続と取り外しが簡単か
- 夜間でも充電口の位置が分かりやすいか
- 雨の日でも安全に操作できる環境か
これは、70代になったときの負担を考えるうえで大切な確認です。
充電設備の設置位置によっても操作性は変わるため、車だけでなく駐車場全体で考える必要があります。
私は、EVを最後の車として購入するなら、試乗と同じくらい充電操作の確認を重視したいと考えています。
なお、充電操作の負担が心配な場合には、販売店で実車のコネクターを確認し、自宅の設置業者にも相談してみましょう。
EVの航続距離が10年後に短くなる可能性
電気自動車の一充電走行距離は、一定の試験条件で測定された数値です。
実際には、外気温、エアコンの使用、高速道路での速度、道路の勾配などによって変化します。
さらに、駆動用バッテリーは使用年数や充放電の状態によって性能が変化します。
ただし、10年経過したら必ずバッテリー交換が必要になるわけではありません。
劣化の程度は車種や使用環境によって異なり、年数だけで交換時期を判断することはできません。
例えば、新車時の公表航続距離が180kmのEVでも、実際に走れる距離が常に180kmというわけではありません。
冬場の暖房使用や高速道路走行では、充電の計画を見直す必要がある場合もあります。
長期間乗る予定なら、現在の生活で必要な距離だけでなく、将来のバッテリー性能の変化も考慮しておきましょう。
EVを最後の車にして後悔しやすい生活条件
特に注意したいのは、次のようなケースです。
- 自宅充電ができず、近くに使いやすい充電器もない
- 高速道路を利用する長距離旅行が多い
- 充電ケーブルの取り回しが負担になる
- 購入価格の高さを電気代だけで回収できると考えている
- バッテリー保証終了後の修理対応を確認していない
これらに複数当てはまる場合、通常のハイブリッド車の方が生活に合う可能性があります。
反対に、自宅充電ができ、日常の移動が片道10〜20km程度なら、EVの利便性を十分に活かせるでしょう。
大切なのは、EVを選ぶこと自体ではなく、購入後に無理なく使い続けられる条件が整っているかです。
ハイブリッドと電気自動車の維持費は10年間でいくら違う?
ハイブリッド車と電気自動車の維持費は、燃料代と電気代だけでなく、購入価格や充電設備費、税金、整備費用まで含めて比較する必要があります。
ここでは、充電損失を考慮した独自試算で、10年間の費用差を確認します。
以下は比較条件をそろえたシミュレーションであり、特定車種の実測値や2026年10月の実勢価格ではありません。
充電損失を含めたHVとEVの電気代・燃料代
試算条件は次のとおりです。
項目 HV EV
燃費・電費 25km/L 6km/kWh
エネルギー単価 170円/L 30円/kWh
充電効率 対象外 90%
年間5,000km 34,000円 約27,778円
年間10,000km 68,000円 約55,556円
10年間・5,000km/年 340,000円 約277,778円
10年間・10,000km/年 680,000円 約555,556円
※独自試算。燃料単価、電力単価、燃費、電費、充電効率は説明用の仮定です。実際の請求額や車両の実測値ではありません。
ここで重要なのが、EVの充電損失です。
車両側で6km/kWhの電費だったとしても、家庭のコンセントから取り出した電力がすべて走行に利用されるわけではありません。
充電中には、電力変換や車両の制御などによる損失が発生します。
今回の試算では、充電効率を90%と仮定しています。
年間10,000km走る場合の電気代は、次の計算になります。
10,000km ÷ 6km/kWh ÷ 0.9 × 30円/kWh = 約55,556円
一方、HVの燃料代は次のとおりです。
10,000km ÷ 25km/L × 170円/L = 68,000円
したがって、年間のエネルギー費の差は約12,444円です。
10年間では約124,444円になります。
充電損失を考慮しない場合の差額18万円と比べると、節約できる金額は小さくなります。
なお、実際の充電効率は充電設備や気温、車両の状態などによって異なります。
EVの購入価格差50万円を回収するには?
先ほどの条件では、HVの走行1km当たりの燃料代は6.8円です。
EVは充電損失を含めると、走行1km当たり約5.56円になります。
つまり、EVの方が約1.24円安い計算です。
仮にEVの購入価格がHVより50万円高い場合、エネルギー費の差だけで回収するために必要な走行距離は次のようになります。
500,000円 ÷ 約1.244円/km = 約401,800km
約40.2万kmです。
年間10,000km走っても約40年、年間5,000kmなら約80年に相当します。
この条件では、10年間のエネルギー費だけで50万円の購入価格差を取り戻すことは難しいと分かります。
ただし、これはEVが必ず経済的に不利だという意味ではありません。
実際には、補助金、税制優遇、車両価格、整備費用、電力料金、売却価格などが関係します。
自宅の太陽光発電を活用できる場合も、電力購入量や自家消費による経済効果が変わります。
購入価格の差を燃料代だけで判断せず、総費用を比較することが大切ですね。
自宅充電設備に15万円かかった場合
EVの購入価格がHVより50万円高く、充電設備の工事費に15万円かかると仮定しましょう。
購入時の追加負担は合計65万円です。
年間10,000km走る条件で、10年間のエネルギー費の差は約12.4万円でした。
そのため、単純計算では次のようになります。
650,000円 − 124,444円 = 525,556円
購入時の追加負担からエネルギー費の節約分を差し引くと、10年間で約52.6万円の差が残ります。
これは税金、補助金、保険、整備費用、修理費、売却価格を含まない計算です。
また、工事費15万円は説明用の仮定であり、実際の金額は配線距離や住宅設備によって変わります。
この試算で分かるのは、EVの購入価格差が大きい場合、電気代の安さだけでは差を埋めにくいことがあるという点です。
退職後に年間走行距離が減ったらどうなる?
最後の車では、退職前と退職後で走行距離が変わることも考えたいですね。
例えば、最初の5年間は年間10,000km走り、退職後の5年間は年間3,000kmに減るケースです。
この場合、10年間の総走行距離は65,000kmになります。
先ほどと同じ燃費・電費・単価を使って計算すると、次の結果になります。
項目 HV EV
最初の5年間・50,000km 340,000円 約277,778円
後半5年間・15,000km 102,000円 約83,333円
10年間合計 442,000円 約361,111円
※独自試算。充電効率90%を含む仮定計算で、実測値ではありません。
10年間のエネルギー費の差は約80,889円です。
毎年10,000km走り続ける場合よりも、EVによる節約額は小さくなります。
私は、この退職後の走行距離の変化こそ、最後の車選びで見落とされやすいポイントだと考えています。
購入時の通勤距離だけで費用を計算すると、老後の実際の負担を正しく見積もれない可能性があるからです。
10年間の総費用で比較する項目
実際の購入判断では、次の費用を同じ期間で比較しましょう。
- 車両本体価格と購入時の諸費用
- 利用条件を満たす補助金
- 自動車税・軽自動車税などの税金
- 自動車保険料
- 燃料代または電気代
- 自宅充電設備の設置・維持費
- 定期点検・車検・消耗品交換
- 故障時の修理費用
- 保有期間終了時の売却価格
これらをすべて含めた費用が、総保有費用です。
ただし、10年後の修理費や売却価格を正確に予測することはできません。
そのため、通常の維持費に加えて、予期しない修理に備える予算を確保しておくことが安心につながります。
アクア・サクラ・プリウスPHEVは最後の車に向いている?
具体的な車種で考えると、ハイブリッド車、電気自動車、PHEVの違いが分かりやすくなります。
代表的な例として、トヨタ・アクア、日産サクラ、トヨタ・プリウスPHEVを見てみましょう。
3車種の特徴と購入前の確認ポイント
車種 動力方式 主な特徴 購入前の確認
トヨタ・アクア HV 給油で長距離移動に対応しやすい 燃費、乗降性、購入価格
日産サクラ EV 軽自動車サイズで近距離移動向き 自宅充電、航続距離、電池保証
トヨタ・プリウスPHEV PHEV 電気走行とガソリン走行を両立 車両価格、充電頻度、車体寸法
ただし、この3車種は車格が異なります。
アクアはコンパクトカー、サクラは軽自動車、プリウスPHEVは普通乗用車です。
そのため、車両価格や室内空間、長距離走行の適性を単純に比較することはできません。
また、同じ車種でもグレードや駆動方式によって価格や装備が変わります。
2026年10月時点の正確な購入総額については、メーカーの最新価格表と販売店の見積書で確認する必要があります。
本記事では、未照合の車両価格や補助金額を確定値として掲載していません。
日産サクラは近距離中心の生活に向く
日産サクラは、2022年の発売時に一充電走行距離180km(WLTCモード)を公表しています。
軽自動車サイズのため、狭い道路や駐車場で扱いやすいことが特徴です。
買い物や通院など、近距離移動が中心の生活では魅力的な選択肢になります。
ただし、公表航続距離は一定の試験条件で測定された数値です。
冬場の暖房使用や高速道路走行では、実際の走行可能距離が短くなる場合があります。
また、2026年時点の販売仕様については、購入するグレードの最新諸元を確認してください。
自宅充電ができない場合や長距離移動が多い場合は、充電計画を十分に検討する必要があります。
トヨタ・アクアは充電設備がなくても使いやすい
アクアは、外部充電を必要としないハイブリッド車です。
ガソリンスタンドで給油できるため、自宅に充電設備を設置できない家庭でも利用しやすい特徴があります。
通勤、買い物、通院、旅行など、幅広い用途に対応しやすい点も魅力です。
一方、エンジンオイル交換などの定期整備が必要で、駆動用バッテリーも搭載しています。
また、車体の大きさだけでなく、運転席の座面やドア開口部が自分の体に合っているかも確認したいですね。
特に最後の車として長く乗るなら、実際に何度か乗り降りしてみることをおすすめします。
プリウスPHEVは充電と長距離移動を両立できる
プリウスPHEVは、外部充電による電気走行と、ガソリンを使った走行を組み合わせられる車です。
自宅で充電できれば、普段の短距離移動では電気走行のメリットを活かしやすくなります。
一方、遠出ではガソリンを利用できるため、EVのように充電設備だけに依存する必要はありません。
ただし、通常のHVより購入価格が高くなる場合があります。
また、車体寸法や乗降性が自分の生活に合っているかも重要です。
PHEVだから必ず最後の車に最適というわけではありません。
充電する機会が少なければ、購入価格に見合うメリットを十分に活かせない可能性があります。
同じ車格で比較することも大切
購入費用を正しく比較するなら、車格や用途が近い車同士を選ぶ必要があります。
例えば、軽自動車のEVを検討する場合は、同じ軽自動車のガソリン車やマイルドハイブリッド車も候補になります。
普通乗用車のEVなら、室内空間や装備、用途が近いHVと比較する方が実用的です。
ただし、車格が近くても、装備やバッテリー容量が異なれば価格差が生まれます。
私は、購入候補を2〜3台に絞り、同じ条件で見積書を作成してもらう方法をおすすめします。
車両価格だけでなく、諸費用や保証内容まで比較すると、購入後の負担が見えやすくなりますよ。

EVのバッテリー保証終了後、10年後にどんな費用が発生する?
最後の車を10年以上保有するなら、バッテリー保証が終了した後の修理対応を確認しておくことが大切です。
ただし、保証が終了したからといって、すぐに高額な修理が必要になるわけではありません。
日産サクラのバッテリー保証はどうなっている?
日産サクラでは、発売時に駆動用バッテリーの容量保証として8年または16万kmという条件が案内されています。
ただし、保証には容量低下の判定基準や適用条件があります。
また、容量低下に関する保証と、製造上の不具合に関する保証では、対象が異なる場合があります。
2026年時点の保証内容や中古車への適用条件については、購入車両の保証書とメーカーの最新案内で確認してください。
重要なのは、保証期間の長さだけではありません。
どのような状態になったときに保証対象となるのかを理解しておく必要があります。
例えば、バッテリーの容量が少し減っただけで、必ず無償交換になるとは限りません。
私は、購入前に販売店へ保証条件を具体的に説明してもらうことをおすすめします。
保証終了後に確認したい修理費用
10年以上の長期保有では、次のような部品や設備について確認しておきたいところです。
- 駆動用バッテリーの点検・修理・交換
- 車載充電器や充電口の修理
- 高電圧関連部品の修理
- 補機バッテリーの交換
- エアコンや冷却系統の修理
- タイヤ、ブレーキ、足回りの整備
これらがすべて10年後に故障するという意味ではありません。
車種や使用状況によって、必要な整備内容は大きく異なります。
また、EVはエンジンオイル交換が不要ですが、タイヤやブレーキ、エアコンなどの整備が不要になるわけではありません。
一方、HVやPHEVにはエンジンがあるため、エンジン関連の点検や整備も必要です。
駆動用バッテリー交換費用は一律ではない
EVの駆動用バッテリー交換費用は、車種、容量、交換範囲、部品価格、作業内容によって異なります。
そのため、すべてのEVについて一律の交換費用を示すことはできません。
また、修理方法によっては、バッテリー全体ではなく一部の部品や関連機器への対応となる場合もあります。
反対に、車種や故障内容によっては、修理費用が高額になる可能性もあります。
本記事では、メーカーや販売店で確認できていない修理金額を掲載していません。
最後の車として長く乗るなら、購入前に次の内容を質問しておくと安心です。
- 保証期間が終了した後も点検・修理を受けられるか
- バッテリーの状態を診断できるか
- 修理費用の概算を相談できるか
- 交換部品の供給や修理対応について、現時点でどのような案内があるか
- 故障時のロードサービスや代車は利用できるか
将来の部品供給や修理価格を保証してもらうことは難しい場合があります。
それでも、現在の修理体制を把握しておくことで、購入後の不安を減らせるでしょう。
10年後の修理に備える予算も考える
長期保有では、車両購入時に予算を使い切らないことも大切です。
例えば、購入費用を抑えられれば、将来のタイヤ交換や補機バッテリー交換、予期しない修理に備えやすくなります。
修理費用は車種や故障内容によって異なるため、一定額を確保すれば必ず足りるとは限りません。
しかし、購入時から修理予算を意識しておくことには意味があります。
特に退職後は、収入や生活費の状況が変わる可能性があります。
私は、最後の車を選ぶ際には、購入できる価格だけでなく、維持し続けられる価格かどうかを重視したいと考えています。
EV市場の変化とPHEVの普及は最後の車選びにどう影響する?
EVやPHEVを長く保有する場合、車両価格や中古車市場、充電設備の変化にも目を向けたいところです。
ただし、海外市場の過去の数字を、そのまま2026年の日本の購入判断に当てはめることはできません。
2023年末の世界EV登録台数は4,050万台
2024年8月6日、ピクテ・ジャパンのシニア・フェローである市川眞一氏は、EV市場の成長鈍化の背景について分析を公表しました。
その分析では、国際エネルギー機関(IEA)のデータとして、2023年末の世界のEV登録台数がPHEVを含めて4,050万台、うちBEVが2,820万台と紹介されています。
地域別では、中国が1,610万台、欧州が1,120万台、米国が480万台とされています。
また、2023年の中国市場について、BEV販売540万台、PHEV販売270万台という数字も紹介されています。
分析では、これらの販売が新車販売に占める割合について、中国38%、欧州21%、米国10%という比較が示されました。
ただし、これらは2023年の市場状況を説明する歴史的データです。
登録台数と年間販売台数は異なる指標であり、BEVとPHEVの集計範囲にも注意が必要です。
また、2026年の国内販売比率を示すものではありません。
世界でEVが普及していても、地域によって充電環境や販売車種には違いがあります。
最後の車を日本で購入するなら、世界全体の数字だけでなく、自分の生活圏で利用できる充電設備や整備体制を確認することが重要です。
2024年の米国中古EV平均価格は29.5%下落
市川氏の分析では、米国の自動車比較サイトiSeeCarsによる中古車価格の調査も紹介されています。
2024年5月までの1年間について、ガソリン車の平均価格は3.3%下落した一方、EVの平均価格は29.5%下落したという内容です。
ただし、この29.5%は、中古EV市場における平均価格の変化です。
同じEVを1年間所有した場合の残価下落率ではありません。
中古車市場の平均価格は、流通する車種の構成や年式、新車価格、需要と供給によって変わります。
また、米国の調査結果を日本の中古EVすべてに当てはめることもできません。
最後の車として10年以上乗るなら、短期間の下取り価格よりも、長期的な修理対応や使いやすさを重視する考え方があります。
一方、健康状態や生活環境の変化によって、予定より早く車を手放す可能性もあります。
そのため、将来の売却価格を過度に楽観視しないことが大切ですね。
EV272車種の平均価格897万円という分析
市川氏は、2024年の分析でEVデータベースに掲載された272車種の平均価格を、円換算で897万円と紹介しています。
価格帯では600万円台から車種数が増え、1,000万〜1,199万円の区分が最も多かったとされています。
ただし、この調査対象には高価格帯の車種が多く含まれている可能性があります。
そのため、日本で販売されるEV全体の平均購入価格として扱うのは適切ではありません。
また、価格が高いEVほど航続距離が比例して伸びるわけではないことも、市川氏の分析で指摘されています。
大型車や高級車では、車重や装備によって電費が変わる場合があります。
私は、この分析から、最後の車に必要なのは高額な性能をすべて備えることではないと感じます。
普段の移動が短距離中心なら、長大な航続距離よりも、乗り降りのしやすさや購入後の家計への負担が重要になるかもしれません。
2026年のPHEVは選択肢が広がっている?
2026年6月24日更新のEV充電エネチェンジの記事では、PHEVの特徴とともに、国内外の車種展開が紹介されています。
参考記事では、2025年1月のトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」のPHEV、2025年3月の「クラウン エステート」のPHEVについて触れられています。
さらに、2025年12月のBYD「SEALION 6」、2026年3月のトヨタ「RAV4 PHEV」についても言及されています。
新型RAV4 PHEVについては、約150kmのEV走行距離という情報も紹介されています。
ただし、これらの発売時期や仕様、EV走行距離については、今回メーカーの一次資料との照合が完了していません。
特にRAV4 PHEVの約150kmという数値は、すべての仕様で実際に走れる距離を保証するものではありません。
購入候補にする場合は、メーカーの正式発表と最新のグレード別諸元を確認してください。
PHEVは、日常の短距離移動を電気で走り、長距離移動ではガソリンを利用できることが魅力です。
ただし、車種によっては購入価格が高く、自宅充電ができなければ電気走行のメリットを十分に活かせない可能性があります。
CEV補助金は購入価格をどれくらい下げる?
EVやPHEVには、購入時にCEV補助金が利用できる場合があります。
EV充電エネチェンジの2026年6月24日更新記事では、PHEVについて最大85万円という補助額が紹介されています。
ただし、これは参考記事で紹介された制度上の金額であり、2026年10月にすべてのPHEVが85万円の補助を受けられるという意味ではありません。
実際の補助額は、車種、登録時期、制度年度などによって異なります。
また、自治体独自の補助金が利用できる場合もあります。
購入前には、一般社団法人次世代自動車振興センターが公表する対象車両一覧と、居住自治体の最新制度を確認しましょう。
補助金には申請期限、予算、保有義務などの条件があります。
受給条件を確認する前に、補助金を差し引いた金額だけで購入予算を組むのは避けたいですね。
なお、本記事では2026年10月時点の車種別CEV補助額を一次資料と照合できていないため、確定金額として掲載していません。
考察|70代・80代まで安心して乗る最後の車をどう選ぶ?
ここからは、モーターライフ・アドバイザーとしての私の考えをお伝えします。
私は、最後の車選びでは、購入時の満足感だけでなく、年齢を重ねたときに増える負担をどれだけ減らせるかが重要だと考えています。
ハイブリッド車と電気自動車の比較では、どうしても燃費や航続距離に注目しがちです。
しかし、10年後の生活では、数字に表れない使いやすさが大きな違いになるかもしれません。
購入前に確認したい5つのポイント
長年、自動車販売の現場でお客様と向き合ってきた経験から、私は車の性能表だけでは分からない不安を確認することが大切だと考えています。
特に最後の車では、次の5点を確認しておきたいですね。
- 乗降性: 座面の高さ、ドア開口部、足元空間が自分に合っているか
- 充電・給油: 70代になっても無理なく操作できるか
- 整備体制: 自宅から通いやすい場所で点検・修理を受けられるか
- 保証内容: 駆動用バッテリーや電動システムの保証条件を理解しているか
- 家計への負担: 購入費用だけでなく、10年間の維持費と修理予算を確保できるか
例えば、SUVは座席が高いから乗り降りしやすいと思われがちです。
しかし、座面が高すぎると足を大きく持ち上げる必要があり、かえって負担になる場合があります。
反対に、座面が低い車では立ち上がる動作が大変になることもあります。
そのため、車種名やボディタイプだけで判断せず、実際に乗り降りして確認しましょう。
普段使う靴で何度か乗降すると、生活に近い感覚をつかみやすくなります。
「10年後の一週間」を想像してみる
私が最後の車選びでおすすめしたいのは、「10年後の一週間」を想像することです。
例えば、現在60歳の方なら、70歳になったときの生活を考えてみましょう。
月曜日は通院、火曜日は買い物、水曜日は自宅で過ごし、週末は家族と少し遠出する。
そんな一週間を思い浮かべると、必要な車の条件が見えてきます。
毎日長距離を走らないなら、航続距離の長さよりも、駐車のしやすさや乗降性が重要になるかもしれません。
一方、退職後に夫婦で旅行を楽しみたい方なら、長距離移動での充電や給油のしやすさが大切になります。
また、将来家族が運転する可能性があるなら、家族にとっても扱いやすい車を選ぶ必要があります。
最後の車は、現在の自分だけでなく、将来の生活にも合う一台であることが理想です。
災害時の給電機能も確認したい
EVやPHEVには、車種によって外部給電に対応するものがあります。
車内のACコンセントから家電に電気を供給できる車種や、専用設備を使って住宅へ電気を送るV2Hに対応した車種もあります。
停電時に利用できる電源があることは、防災面で心強い特徴です。
ただし、利用できる電力量や出力、使用時間には制限があります。
また、外部給電はEVやPHEVだけの機能ではありません。
一部のハイブリッド車でも利用できます。
防災を重視するなら、動力方式だけでなく、購入予定車に必要な給電機能が備わっているかを確認しましょう。
最後の車は高額なモデルほど安心なのか
私は、最後の車だからといって、無理に高額な車を選ぶ必要はないと考えています。
大切なのは、必要な性能を備えながら、購入後の生活に余裕を残せることです。
例えば、車両価格を抑えられれば、将来のタイヤ交換や予期しない修理に備えやすくなります。
また、購入費用に余裕を残すことで、旅行や趣味など、車を使って楽しむための予算も確保できます。
車は購入することが目的ではありません。
毎日の暮らしを支え、ときには新しい景色へ連れていってくれる存在です。
だからこそ、最後の車は「高性能な一台」よりも「長く気持ちよく付き合える一台」を選びたいですね。
将来のEV技術を待った方がよい?
今後、EVのバッテリー性能や充電環境が改善していく可能性はあります。
車種の増加や充電時間の短縮によって、EVを選びやすくなることも考えられます。
一方、車両価格、補助金、税制優遇、中古車相場は変動します。
現在の条件が10年後も続くとは限りません。
2024年の市川氏の分析では、EVの価格の高さや中古車価格の下落が普及上の課題として指摘されていました。
2026年の購入判断でも、車両価格と長期保有コストを確認することは重要です。
ただし、過去の市場データだけで今後のEVの価値を決めつけることはできません。
私は、将来の技術進歩を期待して必要な車の購入を先延ばしにするより、現在の生活と予算に合った車を選ぶ方が現実的だと考えています。
そのうえで、購入時点の最新情報を確認し、長く使える一台を見つけることが大切です。
運転を続けること自体も見直せるように
最後の車とは、必ず生涯乗り続ける車という意味ではありません。
年齢を重ねる中で、運転に不安を感じるようになることもあるでしょう。
その場合は、車の安全装備だけで解決しようとせず、運転の継続について見直すことも大切です。
安全運転相談ダイヤル「#8080」では、加齢などによる運転への不安について相談できます。
私は、安心して車を楽しむことと、安全のために運転を見直すことは、どちらも大切な選択だと考えています。
まとめ|最後の車は10年後の暮らしに合う一台を選ぼう
最後の車にハイブリッド車と電気自動車のどちらを選ぶかは、生活環境によって答えが変わります。
自宅充電が難しく、遠出の機会もある方にはハイブリッド車が有力です。
一方、自宅で充電でき、短距離移動が中心なら、電気自動車も十分に検討する価値があります。
また、普段は電気で走り、遠出ではガソリンも利用したい方にはPHEVという選択肢があります。
今回の独自試算では、年間10,000km走る条件で、充電効率90%を考慮したHVとEVのエネルギー費の差は10年間で約12.4万円でした。
購入価格差が50万円ある場合、燃料・電力費の節約だけで差額を取り戻すことは難しい計算です。
最後の車では、購入価格や維持費だけでなく、70代になっても無理なく乗り降りできるか、充電や給油を負担なく続けられるか、保証終了後の修理対応があるかも確認しましょう。
私は、最後の車だからこそ、今の自分だけでなく10年後の自分にも優しい一台を選びたいと考えています。
焦らず、実際の車に触れながら、ご自身の暮らしに合った一台を見つけてくださいね。
よくある質問
最後の車にはハイブリッドと電気自動車のどちらがおすすめですか?
自宅充電ができず、長距離移動もする方にはハイブリッド車が有力です。
自宅充電が可能で近距離移動が中心なら、電気自動車もおすすめです。
購入価格、維持費、将来の使いやすさを合わせて判断しましょう。
電気自動車は10年以上乗り続けられますか?
車両やバッテリーの状態が良好で、必要な整備を受けられれば、10年以上乗り続けることは可能です。
ただし、すべてのEVについて同じ状態で長期間使用できることや、修理費用・部品供給が保証されるわけではありません。
購入前にバッテリー保証、整備体制、保証終了後の修理対応を確認しておくと安心です。
老後はPHEVと普通のハイブリッド車のどちらが便利ですか?
自宅充電ができ、普段は短距離、時々遠出をする方にはPHEVが便利です。
一方、充電設備を設置したくない方や購入費用を抑えたい方には、通常のハイブリッド車が向いています。
PHEVは電気走行とガソリン走行を両立できますが、車両価格や燃料管理も考慮しましょう。
参考資料と情報確認について
本記事は2026年10月21日時点の情報を基準に構成しています。
主な参考資料は、2026年6月24日更新のEV充電エネチェンジによるPHEV解説と、2024年8月6日に公表されたピクテ・ジャパンの市川眞一氏によるEV市場分析です。
また、車両仕様や保証制度を確認する際の一次資料として、トヨタ自動車および日産自動車の公式諸元・保証案内、一般社団法人次世代自動車振興センターのCEV補助金対象車両情報、経済産業省の充電インフラ関連資料などがあります。
ただし、今回の改稿では、これらの公式資料について2026年10月21日付の直接照合を完了していません。
そのため、2025〜2026年のPHEV発売情報、RAV4 PHEVのEV走行距離、車種別CEV補助額、最新の車両価格については、確定情報として扱っていません。
本文の維持費比較は、燃料単価170円/L、電力単価30円/kWh、HV燃費25km/L、EV電費6km/kWh、充電効率90%を仮定した独自試算です。
実際の費用は車種、契約電力料金、走行条件、整備内容などによって異なります。
購入を検討する際は、メーカー公式情報、制度運営機関の最新案内、販売店の見積書で条件を確認してください。
杉原健一(モーターライフ・アドバイザー)



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