最後の車は、近距離中心で維持費を抑えたいなら軽自動車、高速道路や旅行を楽しみたいなら普通車が有力です。ただし、安全性は車種ごとに判断する必要があります。
50代、60代になると、「次に買う車を長く乗り続けたい」「年金生活になっても維持できるだろうか」と考えることがありますよね。
この記事では、2026年7月に改良されたホンダN-BOXとフィットを具体例に、購入費、10年間の維持費、安全性能、乗り降りのしやすさを比較します。
最後の車は軽自動車で十分?N-BOXとフィットを2026年モデルで比較
買い物や通院が中心ならN-BOX、高速道路や長距離移動、5人乗車を重視するならフィットが有力候補です。
ただし、軽自動車と普通車の違いは、車体の大きさだけではありません。購入価格、税金、燃費、安全装備、乗降性まで確認することが大切です。
今回は、2026年7月に一部改良されたホンダの2車種を比較対象にしました。
N-BOXは2026年7月16日に改良が発表され、翌17日に発売されました。フィットも同年7月9日に改良が発表され、10日に発売されています。
なお、この記事では一般的な呼び方に合わせ、軽自動車以外のコンパクトな登録車を「普通車」と表現します。
法律上、フィットは小型自動車に分類される仕様がありますが、ここでは車選びの分かりやすさを優先しています。
また、本記事はメーカー公表資料と制度情報に基づく比較であり、2台を同一条件で実測した試乗記事ではありません。
2026年N-BOXとフィットの価格・車体寸法
最初に、購入時の違いを確認してみましょう。
比較項目 N-BOX FF フィット X ガソリン FF
車両区分 軽自動車 小型登録車
車両本体価格(税込) 1,768,800円〜 1,806,200円
全長 3,395mm 3,995mm
全幅 1,475mm 1,695mm
全高 1,790mm 約1,515mm
乗車定員 4人 5人
最小回転半径 4.5m 仕様により異なる
後席ドア スライド式 ヒンジ式
安全運転支援 Honda SENSING Honda SENSING
※価格は2026年7月改良モデルのメーカー公表価格です。全高や最小回転半径は仕様・装着タイヤなどによって異なる場合があります。購入時には対象グレードの最新諸元表をご確認ください。
※メーカー公表資料の対象は、Honda「N-BOX」2026年7月16日発表および「FIT」2026年7月9日発表の改良モデルです。本記事の基準日は2026年10月21日ですが、すべての仕様について最新の公式諸元表との再照合を完了したものではありません。
この比較で注目したいのは、車両本体価格の差が37,400円という点です。
軽自動車と普通車では、購入価格に大きな差があると思っていた方もいるでしょう。
しかし、N-BOXの標準タイプとフィットXのガソリン車を比較すると、価格差は意外に小さいのです。
もちろん、これは車両本体価格だけの比較です。
実際の支払総額には、登録諸費用、税金、オプション、販売店での費用などが加わります。
それでも、購入価格だけを理由に軽自動車を選ぶ必要はないことが分かりますね。
車幅22cmの差は運転のしやすさに影響する?
N-BOXの全幅は1,475mm、フィットは1,695mmです。
その差は220mm、つまり22cmあります。
数字だけを見ると小さく感じますが、狭い住宅街では無視できない違いです。
たとえば、道路脇に電柱があり、反対側から車が来る場面を想像してください。
車幅が狭いN-BOXなら、左右の余裕を確保しやすくなります。
特に、自宅周辺に細い道が多い方や、駐車スペースが限られている方には魅力でしょう。
一方、フィットもコンパクトカーとして扱いやすい寸法に収まっています。
車幅が広いからといって、必ず運転しにくいわけではありません。
実際には、ボンネットの見え方、窓の大きさ、ミラーの位置、運転席からの視界なども関係します。
私が重視したいのは、カタログ上の小ささよりも、運転していて無理なく車両感覚をつかめるかという点です。
最後の車を選ぶなら、販売店の周辺道路だけでなく、自宅の駐車場や普段通る道に近い環境で確認したいですね。
N-BOXとフィットはどちらが高速道路に向いている?
高速道路を頻繁に利用するなら、フィットを優先的に試乗する価値があります。
フィットはコンパクトな登録車であり、ガソリン車に加えてe:HEV搭載車も選べます。
e:HEVは、走行状況に応じてモーターとエンジンを使い分けるホンダのハイブリッドシステムです。
発進時や加速時の滑らかさを重視する方にとって、魅力的な選択肢になるでしょう。
一方、N-BOXも高速道路を走行できる車です。
ただし、自然吸気エンジンとターボエンジンでは、登り坂や追い越し時の加速感が異なります。
また、軽自動車と普通車では高速道路の法定最高速度が異なる場合があるため、道路標識や車種別の規制を守る必要があります。
長距離移動で大切なのは、最高速度よりも疲れにくさです。
風の影響、ロードノイズ、シートの座り心地、加速時の余裕などを確認しましょう。
退職後に夫婦で旅行を楽しみたい方なら、フィットのようなコンパクトカーも積極的に検討してほしいと思います。
反対に、高速道路を使うのが年に数回なら、普段の扱いやすさを優先してN-BOXを選ぶのも合理的です。
軽自動車と普通車の維持費は10年間でいくら違う?
軽自動車は税金で有利ですが、燃費のよい普通車を選べば、ガソリン代で差を縮められる場合があります。
ただし、維持費の比較では、車両価格と燃費の対象グレードをそろえる必要があります。
そこで、今回はN-BOXのガソリンFF、フィットXのガソリンFF、フィットのe:HEVを分けて考えます。
N-BOXとフィットの自動車税は年間19,700円違う
まず、毎年支払う税金を確認しましょう。
2015年4月以降に新車として届け出された自家用乗用軽自動車の軽自動車税(種別割)は、標準税率で年間10,800円です。
一方、2019年10月以降に新規登録された排気量1.0L超〜1.5L以下の自家用乗用登録車は、自動車税(種別割)が年間30,500円となります。
所有期間 軽自動車 1.0L超〜1.5L以下の登録車 差額
1年間 10,800円 30,500円 19,700円
5年間 54,000円 152,500円 98,500円
10年間 108,000円 305,000円 197,000円
15年間 162,000円 457,500円 295,500円
※標準税率が変わらず、減免や経年重課などが適用されない場合の単純計算です。購入初年度の月割り課税などは反映していません。
この条件では、15年間で295,500円の差になります。
老後の生活費を考えると、約30万円は決して小さくありませんよね。
ただし、税金だけで車を選ぶと、燃料代や購入価格の違いを見落としてしまいます。
フィットe:HEVは燃費で軽自動車を逆転できる?
普通車でも、ハイブリッド車なら軽自動車より燃料代を抑えられる可能性があります。
ここで重要なのは、ガソリン車とハイブリッド車を混同しないことです。
2026年改良モデルの比較対象を整理すると、次のようになります。
比較仕様 動力方式 車両価格(税込)
N-BOX 標準 FF ガソリン 1,768,800円〜
フィット X FF ガソリン 1,806,200円
フィット e:HEV Z FF ハイブリッド 2,499,200円
※フィットe:HEV Zは、ハイブリッド車の価格例として掲載しています。フィットXと装備内容が異なるため、価格差をハイブリッドシステムだけの追加費用と解釈することはできません。
また、公式WLTC燃費と実際の燃費は異なります。
WLTCモード燃費は、一定の試験条件に基づいて測定された数値です。
実際の燃費は、道路の混雑、エアコンの使用、気温、運転方法などによって変わります。
今回、2026年7月改良後の全比較仕様について、公式諸元表の燃費値を確定できていないため、以下では公式燃費を装った数値を使用しません。
代わりに、同じ年間走行距離と燃料価格を設定した仮定計算で、燃費差が家計にどれほど影響するかを確認します。
年間8,000km走る場合の燃料代を比較
年間8,000km、ガソリン価格170円/Lという条件を設定します。
比較する燃費は、車種ごとの実測値ではなく、計算の仕組みを理解するための仮定値です。
比較モデル N-BOX想定 フィットX想定 フィットe:HEV想定
仮定燃費 20km/L 18km/L 25km/L
年間走行距離 8,000km 8,000km 8,000km
年間燃料使用量 400L 約444.4L 320L
年間燃料代 68,000円 約75,556円 54,400円
10年間燃料代 680,000円 約755,556円 544,000円
※燃費20km/L、18km/L、25km/Lはすべて比較用の仮定値であり、各車の2026年モデルの公式WLTC燃費や実燃費を示すものではありません。金額は端数処理しています。
この条件では、N-BOX想定とフィットe:HEV想定の燃料代差は、年間13,600円です。
10年間では136,000円になります。
ただし、ハイブリッド車の購入価格が高ければ、燃料代の節約だけでは差額を回収できない場合があります。
たとえば、購入価格が30万円高く、燃料代の節約が年間13,600円なら、単純計算で約22年かかります。
これは税金や売却価格、修理費を除いた仮定計算ですが、年間走行距離が少ない方ほど、燃費だけで高額な車を選ぶメリットは小さくなりやすいと分かります。
10年間の維持費を同じ条件で試算
続いて、購入後10年間の費用を比較します。
今回は、3つの仕様を区別したうえで、年間走行距離8,000km、ガソリン170円/Lという共通条件を設定します。
任意保険、車検、整備費については、実際の見積もりではなく仮定額を使用します。
費用項目 N-BOX FF フィットX ガソリンFF フィットe:HEV Z FF
種別割・10年間 108,000円 305,000円 305,000円
燃料代・10年間 680,000円 約755,556円 544,000円
任意保険・仮定 450,000円 550,000円 600,000円
車検関連・仮定 250,000円 350,000円 350,000円
点検・消耗品・修理・仮定 300,000円 400,000円 450,000円
維持費合計 1,788,000円 約2,360,556円 2,249,000円
※年間8,000km、ガソリン170円/L、燃費は前表の仮定値を使用したモデル計算です。保険料、車検関連費、点検・修理費も比較用の仮定であり、実際の車種別費用を調査・集計したものではありません。
※車検関連費には重量税、自賠責保険料、検査手数料、車検基本料などを含む想定です。点検・消耗品・修理費との重複計上を避ける前提ですが、法定費用と任意費用を個別に積み上げた実見積もりではありません。
※新車購入時の諸費用、駐車場代、ローン金利、売却額、税制変更、経年重課は含みません。購入初年度の税額や環境性能による減免も簡略化しています。
この仮定では、10年間の維持費はN-BOXが最も低くなります。
N-BOXとフィットXの差は約572,556円、フィットe:HEV Zとの差は461,000円です。
ただし、これは実車の維持費差を確定したものではありません。
保険の等級、走行距離、タイヤサイズ、車検整備の内容などによって結果は変わります。
さらに、車両購入価格を加えると、費用の見え方は大きく変わります。
比較仕様 車両本体価格 10年間の仮定維持費 合計
N-BOX FF 1,768,800円 1,788,000円 3,556,800円
フィットX ガソリンFF 1,806,200円 約2,360,556円 約4,166,756円
フィットe:HEV Z FF 2,499,200円 2,249,000円 4,748,200円
※合計は車両本体価格と上記の仮定維持費を足した参考額です。実際の購入総額・10年間の総保有費用ではありません。
ここで分かるのは、燃費がよい車が必ずしも最も経済的とは限らないということです。
フィットe:HEVは仮定燃費では燃料代が最も安くなりますが、購入価格の違いが総額に影響しています。
また、フィットe:HEV ZはフィットXより装備が充実したグレードなので、単純にハイブリッドの燃費だけで比較するのは適切ではありません。
老後の車選びでは、燃費の数字だけでなく、購入から手放すまでの総額を見ることが重要です。
重量税や車検費用はどう違う?
軽自動車と普通車では、自動車重量税の仕組みも異なります。
自家用乗用軽自動車では、エコカー減税などの対象外となる継続検査2年分の重量税に、6,600円という区分があります。
一定の条件で13年を経過すると8,200円、18年経過後には8,800円となる区分もあります。
一方、普通車の重量税は車両重量によって変わります。
たとえば、エコカー減税などの対象外で、13年未満の自家用乗用車なら、継続検査2年分の重量税は車両重量1.0トン以下で16,400円、1.0トン超〜1.5トン以下で24,600円という基本区分があります。
ただし、実際の税額は初度登録年月、車両重量、環境性能、減税制度などによって異なります。
2026年のN-BOXやフィットについても、購入する仕様に適用される税額を確認する必要があります。
自賠責保険料も車種区分や契約期間によって異なり、改定される場合があります。
そのため、購入前には販売店で法定費用と整備費用を分けた見積もりを依頼しましょう。
私は、車検費用を比較するときほど、合計金額だけを見ないことが大切だと思います。
法定費用は制度に基づくものですが、整備内容や交換部品は車両状態によって変わるからです。
最後の車で安全性を重視するなら軽自動車と普通車どっち?
安全性は、軽自動車か普通車かという分類だけでは決まりません。衝突安全性能と事故を防ぐ支援機能を、車種ごとに確認する必要があります。
特に70代、80代まで使う可能性がある車なら、衝突時の保護性能だけでなく、視界や操作の分かりやすさも重視したいところです。
軽自動車は普通車より危険なの?
軽自動車は普通車より車体が小さく、車両重量が軽いモデルが多くあります。
一般に、重量差の大きい車同士が衝突した場合、軽い車側が不利になる状況は考えられます。
ただし、重量だけで安全性が決まるわけではありません。
衝撃を吸収する車体構造、エアバッグ、シートベルト、乗員を保護する設計などが関係します。
また、事故の形態によって求められる安全性能も異なります。
正面衝突、側面衝突、歩行者との事故では、評価するべきポイントが変わるのです。
そのため、軽自動車だから危険、普通車だから安全と単純に判断するのは適切ではありません。
私が最後の車選びでおすすめしたいのは、車体の大きさだけでなく、公的な安全性能評価を確認することです。
JNCAPの評価は何を意味する?
国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が実施するJNCAPは、車の安全性能を比較する際の重要な参考情報です。
JNCAPでは、衝突安全性能や予防安全性能などについて試験が行われます。
現行世代のホンダN-BOXは、2023年度の自動車アセスメントで総合評価の最高ランクとなるファイブスター賞を獲得しています。
これは、N-BOXの安全性能を考えるうえで参考になる実績です。
ただし、ここで注意したいことがあります。
N-BOXがファイブスターだから、フィットより安全だと断定することはできません。
フィットにも過去のJNCAP評価がありますが、評価年度や試験条件が異なるためです。
JNCAPでは、年度によって評価方法や配点が変更される場合があります。
また、2026年改良モデルと過去に試験された車両では、仕様が完全に一致するとは限りません。
安全性能を比較するときは、評価年度、試験車両、対象装備、試験内容を確認しましょう。
なお、2026年10月21日を基準とした本記事では、フィットの2026年改良仕様に対応する最新のJNCAP評価点を確定できていないため、N-BOXとの点数比較は行いません。
高齢ドライバーが確認したい安全装備
N-BOXとフィットには、ホンダの安全運転支援システム「Honda SENSING」が採用されています。
ただし、搭載される機能や作動条件は車種、年式、グレードによって異なります。
特に確認したいのは、次の機能です。
- 衝突被害軽減ブレーキ:前方の車両や歩行者などを検知し、衝突回避や被害軽減を支援する
- 踏み間違い時の加速抑制機能:一定条件で急加速を抑える
- 車線逸脱警報・車線維持支援:車線からの逸脱を知らせたり、ハンドル操作を支援したりする
- 駐車支援カメラ:車両周辺の確認を補助する
- 標識認識機能:認識した道路標識の情報を運転者に知らせる
これらの機能は便利ですが、すべての事故を防げるわけではありません。
雨、雪、逆光、道路形状などによって、正常に作動しない場合があります。
また、カメラやセンサーの検知範囲にも限界があります。
安全装備が充実しているからといって、運転者の確認や判断が不要になることはありません。
私は、装備の数よりも、自分が理解して使える機能を重視したいと考えています。
警告音が鳴ったときに何を意味するのか、どのような条件で作動するのかを、購入前に販売店で確認しておくと安心ですね。
サポカーなら70代でも安全に運転できる?
国が普及を進めるセーフティ・サポートカー、いわゆるサポカーも車選びの参考になります。
サポカーは、衝突被害軽減ブレーキなどの安全運転支援機能を備えた車を指します。
装備内容に応じて、サポカーSなどの区分も設けられています。
ただし、サポカーという名称は、車の安全性を総合的に順位づけしたランキングではありません。
安全運転支援機能があっても、運転者の視力や判断力、身体機能を補える範囲には限界があります。
70代、80代まで運転を続けることを考えるなら、車の性能と自分自身の運転状態を分けて考える必要があります。
年齢だけで運転能力を決めつけるべきではありませんが、以前より疲れやすくなったり、運転に不安を感じたりする場合は、無理をしないことが大切です。
運転について相談したいときは、警察の安全運転相談ダイヤル「#8080」を利用できます。
本人だけでなく、家族が相談することもできます。
70代でも乗り降りしやすいのはN-BOXとフィットのどちら?
乗り降りのしやすさは、車高だけでなく、座面の高さ、ドアの開口部、足元の段差によって決まります。
N-BOXは背の高い軽ハイトワゴンで、室内の頭上空間に余裕があります。
一方、フィットは全高が低めのコンパクトカーですが、シートの形状や乗車姿勢によっては、こちらを快適に感じる方もいるでしょう。
車高が高いほど乗り降りしやすい?
車高が高い車は、頭上空間に余裕があり、乗り降りしやすい印象がありますよね。
しかし、車高と座面の高さは同じではありません。
座面が低すぎると、立ち上がるときに膝や腰へ負担がかかる場合があります。
反対に、座面が高すぎると、乗り込むときに足を大きく持ち上げる必要があります。
また、ドアの開口部が狭いと、体をひねって乗り込まなければならない場合もあります。
最後の車として10年以上乗る予定なら、今の乗りやすさだけでなく、将来も無理なく乗り降りできそうかを確認したいですね。

購入前に確認したい乗降性の5つのポイント
販売店で車を確認するときは、次の動作を試してみましょう。
- ドアを普段使う角度まで開けられるか
- 頭や腰を大きく曲げずに座れるか
- 足を無理なく車内へ入れられるか
- 座った状態でハンドルやペダルに自然に届くか
- 降りるときに無理なく立ち上がれるか
特に注意したいのは、自宅の駐車環境です。
ショールームではドアを大きく開けられても、自宅の駐車場では隣の壁や車が邪魔になる場合があります。
そのため、車体寸法だけでなく、実際に必要なドアの開閉スペースも確認しましょう。
N-BOXの後席スライドドアは、狭い駐車場で家族を乗せるときに便利です。
ただし、運転席は一般的なヒンジ式ドアなので、運転者本人の乗降性が必ず向上するわけではありません。
また、電動スライドドアを備えた仕様では、将来的な修理費用も考慮したいところです。
運転席からの視界も比較しよう
老後の車選びでは、視界のよさも重要です。
特に交差点での左右確認や、駐車時の斜め後方の確認は、日常的に繰り返す動作です。
車体が小さくても、窓の形状や柱の位置によって死角が生まれることがあります。
反対に、車体が多少大きくても、運転席から周囲を確認しやすい車なら安心感につながります。
また、エアコンや窓の曇り取りなど、よく使う機能を迷わず操作できるかも確認してください。
近年は大型ディスプレイを採用する車が増えていますが、画面操作が多い車を苦手に感じる方もいるでしょう。
私が最後の車に求めたいのは、装備の豪華さよりも、運転中に余計な迷いが生まれないことです。
毎日使う車だからこそ、操作の分かりやすさは快適性と安全性の両方に関係します。
最後の車は軽自動車と普通車のどちらを選ぶ?生活条件別に判断
最後の車を選ぶときは、年間走行距離、高速道路の利用頻度、駐車環境という3つの条件を整理すると判断しやすくなります。
軽自動車か普通車かという分類だけでなく、自分の暮らしにどちらが合うかを考えてみましょう。
年間5,000km以下・近距離中心なら軽自動車が有力
年間走行距離が5,000km以下で、買い物や通院が中心なら、N-BOXのような軽自動車は有力候補です。
車幅が狭く、毎年の税金も抑えやすいからです。
燃費による節約効果も、走行距離が少ないほど小さくなります。
たとえば、燃費20km/Lの軽自動車と25km/Lの普通車ハイブリッドを、年間5,000km、ガソリン170円/Lで比較してみましょう。
軽自動車の年間燃料代は42,500円、普通車ハイブリッドは34,000円です。
差額は年間8,500円になります。
一方、軽自動車と1.0L超〜1.5L以下の登録車では、標準的な自動車税の差が年間19,700円あります。
この仮定では、普通車ハイブリッドの燃料代が安くても、種別割の差を埋めることはできません。
もちろん、購入価格や車検費用、保険料も関係します。
それでも、近距離中心の生活では、軽自動車の経済的なメリットが生きやすいと考えられます。
年間1万km以上・高速道路が多いなら普通車も検討
年間1万km以上走り、高速道路を頻繁に利用する方なら、フィットのような普通車も積極的に検討したいところです。
特に、退職後に夫婦で旅行を楽しみたい方にとって、長距離移動の快適性は重要でしょう。
先ほどの仮定燃費で年間1万km走ると、軽自動車の燃料代は85,000円、普通車ハイブリッドは68,000円です。
差額は年間17,000円になります。
年間走行距離が増えるほど、燃費性能の違いが家計に影響することが分かります。
ただし、普通車ハイブリッドの購入価格が高ければ、燃料代だけで元を取れるとは限りません。
また、高速道路では加速性能だけでなく、シートの座り心地、静粛性、直進時の安定感なども重要です。
私は、長距離移動が多い方なら、燃料代の差だけでなく、疲れにくさにも価値を置いてよいと考えています。
退職後の旅行が楽しみなら、移動そのものを快適にしてくれる車を選ぶことも、立派な判断基準ですよね。
狭い駐車場・乗降性重視なら実際の使いやすさを優先
年間走行距離が多くても、自宅の駐車場が狭い場合は軽自動車が向いていることがあります。
反対に、走行距離が少なくても、乗り降りのしやすさやシートの座り心地を重視して普通車を選ぶ方もいるでしょう。
ここで、生活条件別の判断基準を整理します。
生活条件 優先したい候補 主な理由
年間5,000km以下・近距離中心 軽自動車 税金と取り回し
年間1万km以上・高速利用が多い 普通車も積極検討 長距離快適性と燃費
自宅周辺に狭い道が多い 軽自動車 車幅の小ささ
5人乗車する機会がある 普通車 軽自動車は定員4人
家族の後席乗降が多い スライドドア車 後席の使いやすさ
運転者の乗降性が最優先 実車確認で判断 座面高と開口部が重要
※あくまで車選びの出発点です。特定の車種がすべての条件で優れるという意味ではありません。
この表で大切なのは、年間走行距離だけで結論を出していないことです。
たとえば、年間3,000kmしか走らなくても、その大半が高速道路なら普通車の快適性に価値を感じるかもしれません。
一方、年間1万km走っていても、狭い住宅街での移動が中心なら軽自動車が便利でしょう。
年間走行距離・高速利用頻度・駐車環境の3条件を組み合わせて考えることが、後悔を減らす近道です。
最後の車は何年乗れる?寿命と買い替え時期も考えよう
最後の車として10年、15年と長く乗りたいなら、購入時の価格だけでなく、将来の整備費用や運転をやめる可能性まで考えておきましょう。
軽自動車でも長期間使用される例はありますが、長く使えることと、故障せずに乗り続けられることは同じではありません。
軽自動車の平均使用年数15.82年とは?
中古車情報サイトnoricoが2024年12月13日に公開した軽自動車の寿命に関する記事では、2023年の乗用軽自動車の平均使用年数として15.82年という数値が紹介されています。
同記事では、軽自動車検査協会の統計に基づく数値として説明されています。
ただし、平均使用年数は、個々の車が故障せずに走れる年数を保証するものではありません。
また、統計の定義や集計対象によって数値の意味は変わります。
この15.82年については、軽自動車検査協会の該当年度の原表との再照合を完了していないため、参考情報として扱います。
普通車と比較する場合も、自動車検査登録情報協会などの統計と対象年、算出方法をそろえる必要があります。
私は、平均使用年数を車の寿命そのものと考えないことが大切だと思います。
同じ15年間でも、年間3,000km走る車と2万km走る車では、使われ方が大きく違いますからね。
8万kmを超えたら買い替えるべき?
noricoの記事では、走行距離8万kmが買い替えを検討する目安の一つとして紹介されています。
しかし、8万kmを超えたからといって、突然故障するわけではありません。
重要なのは、定期点検や消耗品交換が適切に行われてきたかどうかです。
エンジンオイル、冷却系統、ブレーキ、足回り、変速機などの状態を確認する必要があります。
また、走行距離が少なくても、年数が経過すればゴム部品や電装品などは劣化します。
最後の車を長く使うなら、走行距離だけでなく、整備記録と今後の修理見込みを確認しましょう。
13年経過後の税金だけで買い替える必要はない
軽自動車では、一定の条件で新車新規検査から13年を経過すると、軽自動車税(種別割)が標準税率10,800円から12,900円になる場合があります。
年間の増加額は2,100円です。
また、重量税も経過年数によって変わる場合があります。
ただし、税金が数千円増えたからといって、すぐに新車へ買い替えることが経済的とは限りません。
新車購入には大きな費用が必要だからです。
たとえば、20万円の修理で大きな不具合が解消し、さらに数年間使用できる見込みがあるなら、買い替えより合理的な場合があります。
反対に、修理後も別の高額部品が故障する可能性が高いなら、買い替えを検討する価値があります。
車の状態、修理費、今後の使用年数を合わせて判断したいですね。
60歳で購入するなら75歳まで使う可能性も
60歳で新車を購入して15年間乗るなら、75歳まで使用する計算になります。
65歳なら80歳です。
そう考えると、購入時の乗りやすさだけでなく、将来の運転負担も重要になります。
ただし、年齢だけで運転能力を判断することはできません。
視力、身体機能、健康状態、運転環境には個人差があります。
私は、最後の車を選ぶときには、購入時の年齢よりも、何歳まで使う可能性があるかを考えることが大切だと思います。
そして、運転をやめる可能性も計画に含めておきたいところです。
車を手放すときにローンが残っていないか、売却できるか、車がなくても生活を続けられるか。
こうした点まで考えておくと、老後の家計にも余裕を持たせやすくなります。
まとめ|最後の車は維持費・安全性・生活環境で選ぼう
最後の車として軽自動車と普通車を比較すると、維持費と取り回しでは軽自動車が有利になりやすく、長距離移動の快適性や5人乗車では普通車に魅力があります。
2026年7月改良モデルのN-BOXとフィットXを比較すると、基本グレードの車両本体価格差は37,400円です。
一方、車幅には220mmの違いがあり、狭い道路や駐車場では運転感覚が変わる可能性があります。
また、軽自動車と1.0L超〜1.5L以下の登録車では、標準的な自動車税の差が年間19,700円あります。
15年間では、税率が変わらない単純計算で295,500円の差になります。
燃費については、普通車のハイブリッド車が有利になる場合がありますが、購入価格まで含めた総額で判断する必要があります。
安全性についても、軽自動車か普通車かという分類だけでは結論を出せません。
JNCAPの評価、安全運転支援機能、視界、操作の分かりやすさを、購入する仕様ごとに確認しましょう。
私が最後の車選びで大切にしたいのは、次の3つです。
- 年間走行距離:近距離中心か、長距離移動が多いか
- 高速道路の利用頻度:旅行や帰省でどれほど利用するか
- 駐車環境と乗降性:毎日無理なく運転し、乗り降りできるか
この3つを整理すれば、軽自動車と普通車のどちらが自分に合うか、判断しやすくなります。
また、購入前には10年間の維持費を試算し、販売店で実際の乗り降りや運転感覚を確認してください。
最後の車は、単に安い車を選ぶことでも、豪華な車を選ぶことでもありません。
これからの暮らしを無理なく支えながら、運転する楽しさも残してくれる一台を選ぶことだと私は思います。
よくある質問
最後の車は軽自動車と普通車のどちらが経済的ですか?
一般的には、税金や一部の維持費を抑えやすい軽自動車が有利です。
ただし、普通車のハイブリッド車は燃料代を抑えられる場合があります。購入価格、保険料、車検費用、修理費まで含めた総額で比較しましょう。
最後の車は何歳で買うのがおすすめですか?
決まった年齢はありません。
60歳で購入して15年間乗るなら75歳、65歳なら80歳まで使用する計算になります。将来の乗降性や維持費、運転をやめる可能性も考えて選びましょう。
70代になったら軽自動車のほうが安全ですか?
年齢だけで軽自動車のほうが安全とは言えません。
軽自動車は狭い道で扱いやすい利点がありますが、安全性は車体構造や安全装備によって異なります。JNCAPの評価、視界、乗降性、操作のしやすさを車種ごとに確認することが大切です。
執筆:杉原健一(54歳)
モーターライフ・アドバイザー
長年メーカー直営ディーラーの店頭で多くのお客様の車選びや維持管理に関する相談に向き合ってきた経験をもとに、特定のメーカーに偏らず、車の魅力と注意点を分かりやすくお伝えしています。
なお、この記事の数値比較はメーカー公表資料と制度情報、明示した仮定に基づくものであり、掲載車両を同一条件で実測した結果ではありません。購入時にはメーカーの最新諸元表や販売店の見積書で最終確認してください。
車選びに正解は一つではありません。これからの暮らしに合った、安心できる一台を見つけるお手伝いができればうれしく思います。


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