2026年8月改良のシエンタは新色や一部装備が変わりましたが、乗降性の数値は現行車同士で比較できません。フリードと比べる際は、改良点と実車の動きを分けて見ましょう。
「親を乗せるなら、どちらが乗り降りしやすいだろう」「自分が運転を続けるなら、どちらを選ぶと安心だろう」と迷いますよね。
トヨタ シエンタは2026年8月3日に一部改良され、新色やドアミラーの加飾、E-Four車の寒冷地仕様などが見直されました。ホンダ フリードとの比較では、この改良が乗り降りや安全装備を大きく変えたのか、2021年の比較記事にある数値が現行モデルにも使えるのかが気になるところです。
この記事では、改良内容を先に整理したうえで、価格、燃費、室内、3列目の収納方式を見比べます。なお、筆者は現行車の実車試乗や乗降実験をしていません。メーカー公表情報と2021年の比較記事を確認し、分かることと実車で確かめたいことを分けてご案内します。
2026年8月のシエンタ改良で何が変わった?
シエンタは2026年8月3日に一部改良されました。確認できる主な変更は、ボディカラー、ドアミラーの加飾、E-Four車の寒冷地仕様、一部の装備やオプション設定です。今回の改良を、乗り降りのしやすさを大幅に変える変更と捉えるのは適切ではありません。
トヨタの車種ページは改良後のシエンタを案内しており、販売店が公開する変更内容では、全グレードにクリアベージュメタリックを追加し、ドアミラーをブラック加飾に変更、E-Four車に寒冷地仕様を標準設定したことなどが説明されています。2026年8月改良は、主に外観や仕様、装備の設定を見直したものといえます。
このほか、従来のベージュや一部のボディカラー、ツートーンカラーが廃止されたほか、グレードや仕様によってメーカーオプションの設定も変わっています。ガソリン車のZグレードでは、法規対応に伴ってハンズフリーデュアルパワースライドドアの設定が変更されたと販売店が案内しています。足をかざしてドアを開ける機能を希望する場合は、検討中のグレードで設定があるか、注文前に確認しましょう。
70代の車選びに関係するのは、色よりも、スライドドアの操作方法や設定の違いかもしれません。手に荷物を持ったまま乗りたい、ボタンを押す動作が負担になりやすい、といった事情があれば、ドアの開け方を候補車で試しておくと安心です。
一方、今回確認できた改良内容からは、乗り込み口や座面の高さが大きく変わったとは読み取れません。改良後のシエンタが、フリードより乗り降りしやすくなったと判断できる新しい比較データも確認できませんでした。現行車の乗降性は、改良のニュースや旧型の寸法だけで決めず、本人が実車で確かめる必要があります。
70代ならシエンタとフリード、どちらを選ぶ?
価格や燃費を抑えながらコンパクトなミニバンを選びたい方はシエンタを、3列目を使う頻度や車内での移動を重視する方はフリードを候補にできます。ただし、乗り降りのしやすさは、乗る方の体格や膝・腰の状態、選ぶグレードやシート構成で変わります。
比較項目 トヨタ シエンタ ホンダ フリード
現行世代 3代目。2022年発売 3代目。2024年発売
2026年の主な動き 8月3日に一部改良。新色や一部仕様を変更 2024年登場後、一部グレードの改良・価格改定あり
乗車人数 5人・7人乗り 5人・6人・7人乗り
3列目の格納方式 2列目の下へ格納 左右に跳ね上げ
2021年記事の参考値 2列目スライドドア部の床面高330mm 同390mm
価格の確認方法 年式・グレード・乗車人数・駆動方式を指定 年式・グレード・乗車人数・駆動方式を指定
表の価格や燃費について、車種全体の最低額・最高額だけを並べても、条件が異なれば比較の参考になりにくくなります。たとえば、ハイブリッドのFF・7人乗りを候補にするなら、シエンタはHYBRID Zの2WD・7人乗り、フリードはe:HEV AIR EXのFF・7人乗りというように、乗車人数と駆動方式をそろえて見積もりを取る方法があります。
この2つの仕様では、シエンタHYBRID Z・2WD・7人乗りのメーカー希望小売価格は318万3,400円、WLTCモード燃費は27.6km/Lです。フリード e:HEV AIR EX・FF・7人乗りは、2025年の価格改定後のメーカー希望小売価格が325万6,000円で、WLTCモード燃費は25.4km/Lと案内されています。どちらも車両本体の参考価格とカタログ燃費であり、オプションや諸費用、実際の燃費は別に考える必要があります。
この例なら乗車人数と駆動方式はそろいますが、グレードの装備内容までは同じではありません。価格差だけを見て決めず、必要な安全装備やドアの機能、ナビなどを含めた見積もりで比べましょう。価格と燃費の数値は改定や仕様変更で変わることがあるため、契約前に各メーカーの最新情報を確認してください。
2021年のMOTA比較記事は、現行モデルではなく、当時販売されていたシエンタとフリードを扱っています。シエンタの現行世代は2022年、フリードの現行世代は2024年に登場しており、過去の記事の寸法や装備をそのまま今の車に当てはめることはできません。
乗り降りの数値330mm・390mmは現行車の比較?
2021年のMOTA比較記事で紹介された330mmと390mmは、当時のモデルにおける「地上からスライドドア部分の床面までの高さ」です。シエンタの330mm、フリードの390mmという値は、現行モデル同士のステップ高を比べた数字ではありません。
この数値から分かるのは、2021年に比較された車両では、シエンタのほうがスライドドア部分の床面が地上から低い位置にあった、ということです。数値は乗り込みやすさを考えるヒントになりますが、現行車の優劣を示すものではありません。また、元記事には測定箇所の細かな条件までは見当たらないため、数値を厳密な実測比較として扱わないほうがよいでしょう。
さらに、床面の高さだけで乗り降りのしやすさが決まるわけではありません。地面から車内へ足を運ぶ動きに加えて、座面に腰を下ろす動作、座った後に姿勢を整える動作、立ち上がる動作まで続けて確かめる必要があります。
たとえば、入口が低くても、座面が低くて立ち上がりにくい場合があります。反対に、座面へ腰掛けやすくても、車内へ足を上げる動作が本人にはつらいこともあります。玄関の段差だけでなく、その先にある椅子までの動きも見るように、ドアから座席までをひと続きで確認してみましょう。
試乗や展示車確認では、普段よく乗る席で次の点を見てください。
- ドアを開けて、片足ずつ無理なく車内へ入れられるか
- ドア枠や車体に手を添えなくても、姿勢を保てるか
- 座面に腰を下ろし、深く座り直す動作がつらくないか
- 座った状態から、膝や腰に強い力をかけずに立てるか
- いつもの駐車場所に近い幅で、スライドドアを開けられるか
- ドアのスイッチや開閉操作を本人が分かりやすく扱えるか
運転席だけでなく、2列目や3列目に乗る機会が多い方は、その席でも試しましょう。運転席には問題なく座れても、2列目へ移る際には足を高く上げる必要があるかもしれません。家族が乗せることが多い場合は、本人だけでなく、介助や見守りをする人の動きも含めて確認すると、購入後のイメージがつかみやすくなります。
3列目の収納方式は荷物や操作にどう影響する?
シエンタは3列目を2列目シートの下へ格納する方式、フリードは3列目を左右に跳ね上げる方式です。荷室の使い方やシートを操作する人の体力、後方の見通しへの影響を考えると、両車の違いが日々の使いやすさに直結する場合があります。
シエンタの床下格納は、シートを左右に立てて固定する形式とは異なり、3列目を使わないときに荷室の側面を大きく空けやすい構造です。荷物を横に広く積みたい方には、格納後の荷室の形が合う可能性があります。ただし、格納時の手順や必要な力、2列目シートの動かし方は、実際に候補車で確認してください。2021年のMOTA記事には、当時のモデルで2列目を動かしてから3列目を格納する手順が紹介されていますが、それを現行モデルの操作性と同じと考えることはできません。
フリードの跳ね上げ式は、3列目シートを左右へ持ち上げて荷室を広げます。荷物の幅や高さによっては、跳ね上げたシートが積載スペースの形や後方の見え方に関係することがあります。どれくらい視界を遮るか、どの程度の力で持ち上げられるかは、グレードや実車の状態も含めて確かめましょう。
この違いは、「どちらの格納方法が優れているか」だけで決めにくいところです。日常的に長い荷物や幅のある荷物を積むなら、シートを格納した状態で荷物をどう置くかを確認します。大人が3列目に座る機会が多いなら、シートを戻す頻度と乗り込む経路も大切です。

車いすや歩行器、杖、通院用の荷物などを積む予定がある方は、普段の荷物を販売店へ持参するか、同じ大きさの箱などで積載スペースを確かめてみましょう。収納できるかだけでなく、荷物を持ち上げる高さや、積み下ろしのときに腰を深く曲げる必要があるかも見ておくと安心です。
また、シート操作を本人が行うのか、家族が手伝うのかも事前に考えておきたい点です。毎回シートを動かすなら、数回操作してみて、腰や腕に負担が残らないか確かめます。カタログの「簡単」「軽い力」といった説明だけでは、本人にとって扱いやすいかまでは分かりません。
室内寸法と乗車人数はどうそろえて見る?
現行車の室内寸法は、乗車人数やシート構成を確認してから比べましょう。シエンタは5人乗りと7人乗り、フリードは5人・6人・7人乗りが設定され、同じ車名でも仕様によって室内寸法やシートの配置が異なります。
トヨタの主要諸元では、シエンタの室内長は7人乗りが2,545mm、5人乗りが2,030mmです。Hondaのフリード主要諸元では、室内長は6人乗りが2,645mm、5人乗りが1,935mmとされています。測定値は各メーカーの基準によるもので、数字が長いほうが必ず広く感じる、座りやすい、乗降しやすいという意味ではありません。
フリードの6人乗りには、2列目にキャプテンシートを備え、前後の席の間を通り抜けられるタイプがあります。2列目から3列目へ移動する機会が多い場合は、通路の幅や、体をひねらずに通れるかを実車で見ておきましょう。シートスライド量や通路の使い勝手は仕様で異なるため、検討中の車両を指定して確認します。
一方、3列目をほとんど使わず、日常の買い物や通院の荷物を積むことが中心なら、5人乗りも選択肢になります。普段使わないシートを動かす必要がなく、荷室をどのように使えるかを考えやすいからです。家族が大人数で乗るのは年に数回なのか、週に何度もあるのかを振り返ると、必要な乗車人数を決める手がかりになります。
安全装備は名前ではなく候補車の仕様で確認
シエンタにはToyota Safety Sense、フリードにはHonda SENSINGが用意されています。ただし、搭載される機能や設定は年式・グレードで異なるため、装備名だけで同等と判断せず、候補車に付く機能と操作方法を確認しましょう。
2021年の比較記事に記載された安全装備の違いは、当時販売されていたモデルの話です。現行車や中古車に同じ装備条件が当てはまるわけではありません。中古車を検討する場合は、年式やグレード、装備表を販売店に確認してもらうのが確実です。
また、安全支援機能は運転を補助するものです。周囲の確認や運転操作を代わりに行うものではありません。警告音や表示が本人に分かりやすいか、ステアリングのスイッチやシフト操作を無理なく扱えるかも、試乗で確認してください。運転する本人が機能の役割を理解できることも、安心して使うための大切な条件です。
筆者の考察|乗降と荷室を同じ試乗で確かめたい
筆者は、70代の方がシエンタとフリードを比べるとき、まず乗り込み口の高さだけで順位をつけないことが大切だと考えます。車に乗る動作は、ドアを開ける、足を運ぶ、腰を下ろす、姿勢を整える、降りて立ち上がるという一連の動きだからです。ひとつの寸法だけでは、日々の使いやすさを判断しきれません。
今回の記事では現行車の実車試乗や、ステップ高の実測を行っていません。そのため、2021年のMOTA記事が示す330mm・390mmは、現行モデルの比較値ではなく、当時のモデルの参考情報として扱いました。現行車の乗り降りは、本人が候補車に座って立ち上がるまでを試すことが、記事の数値を読むより確かな確認になります。
3列目の使い方も、シエンタの床下格納とフリードの左右跳ね上げを、荷物の形や後方の見通しと合わせて見比べたいところです。床下に格納する方式は、荷室の横方向をどう使えるかがポイントになります。跳ね上げ方式は、シートを起こしたときに荷室と後方視界がどう変わるか、操作する人が無理なく持ち上げられるかがポイントです。
どちらか一方の方式がすべての人に合うとは限りません。買い物袋を積む程度なのか、大きな荷物を頻繁に載せるのか、3列目に乗る人はいるのか。こうした普段の使い方を想像しながら実車を確かめると、カタログ上の違いが自分の暮らしにどう関わるか見えやすくなります。
2026年8月のシエンタ改良は、色や一部装備の設定を見直したニュースとして捉えるのがよさそうです。車の乗降性や3列目の収納方式を決める根本的な変更として紹介するのではなく、買う前に確認すべき機能や仕様が変わった点に注目したいですね。特に、ドアの開閉方法やオプション装備を重視する方は、改良前の中古車と改良後の新車で装備差を確認しましょう。
まとめ|70代のシエンタ・フリード選びは使い方から
シエンタは2026年8月3日に一部改良され、新色の追加やドアミラーの加飾、E-Four車の寒冷地仕様などが見直されました。乗降性を大きく変えた改良ではなく、現行シエンタとフリードの乗降口を直接比べた新しい数値も確認できません。
2021年の比較記事にある330mmと390mmは、当時の車両の「地上からスライドドア部分の床面までの高さ」です。現行モデルの比較値ではないため、参考情報として分けて扱いましょう。
3列目の収納方式は、シエンタが床下格納、フリードが左右跳ね上げです。価格や燃費だけでなく、乗り降り、シート操作、荷物の積み下ろしを本人が試してみることが、納得できる車選びにつながります。
よくある質問
70代ならシエンタとフリードのどちらが乗り降りしやすいですか?
2021年の比較記事では、当時のスライドドア部分の床面高をシエンタ330mm、フリード390mmとしています。現行車同士の比較値ではないため、本人が候補車で乗り降りを確かめてください。
2026年8月のシエンタ改良で乗り降りは変わりましたか?
確認できた主な変更は、ボディカラーやドアミラーの加飾、寒冷地仕様、一部装備の設定などです。乗り降りのしやすさを大きく変える改良内容とは確認できませんでした。
価格と燃費を比べるとき、何をそろえればよいですか?
乗車人数、ハイブリッドかガソリンか、駆動方式、グレードをできるだけそろえましょう。メーカー希望小売価格にオプションや諸費用を加えた見積もりも比べると、購入時の費用を把握しやすくなります。
執筆:杉原健一(すぎはらけんいち)
モーターライフ・アドバイザー



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