現行スペーシアは、後席ステップ地上高345mm、大型乗降グリップ、両側スライドドアを組み合わせ、高齢者の乗り降りに配慮した設計です。 ただし、本当に身体に合うかは「足・手・腰・降車」の4つの動作を実車で確かめる必要があります。
現行型スペーシアは2023年11月9日に発表され、同年11月22日に発売されました。この記事では、2026年9月4日時点のスズキ公式情報を確認したうえで、特に高齢の親を後席に乗せる場合の乗降性に絞って分かりやすく整理します。スズキ+1
スペーシアは高齢者が乗り降りしやすい?345mmの後席ステップが特徴
結論からいうと、スペーシアは後席への最初の一歩を小さくしやすく、手で身体を支えながら乗り降りできるよう配慮された軽ハイトワゴンです。
スズキ公式ページによると、現行スペーシアのリヤステップ地上高は345mm。さらに、後席の開口部について十分な高さと幅を確保し、左右両側に大きな乗降グリップを設けています。メーカーも高齢者や小さな子どもの乗り降りに配慮した装備として案内しています。スズキ
345mmという数字だけを見ると、「低いから大丈夫そう」と思いますよね。
ただ、ここで少し慎重に考えたいところです。
この記事では競合車のステップ高を無理に並べて「何mm低い」と評価することはしません。メーカーによってステップ高の測定条件や公開方法がそろっていない場合、数字だけを横並びにすると、かえって誤解につながるからです。
そこで私は、スペーシアそのものを「足・手・腰・降車」という4つの動作に分解して確認する方法をおすすめします。
- 足:345mmのステップへ無理なく足を上げられるか
- 手:大型乗降グリップへ自然に手が届き、身体を支えられるか
- 腰:車内へ入って座るとき、身体を大きくひねらずに済むか
- 降車:座席から立ち、ステップを使って不安なく地面へ降りられるか
この4項目なら、身長や年齢が違っても「その人に合っているか」を具体的に判断できます。
とくに高齢の親の送迎車を探している方には、カタログ上の345mmよりも、この一連の動きがスムーズにつながるかを見てほしいんですね。
スペーシアの大型乗降グリップと両側スライドドアは何が便利?
スペーシアの後席で注目したいのは、345mmの低いステップだけでなく、大型乗降グリップと両側スライドドアまでセットになっていることです。
スズキは後席の左右に、つかみやすい大型乗降グリップを設置しています。足をステップへ掛けたあと、手で身体を支えながら車内へ移動できる構成です。スズキ
高齢者の乗降では、この「つかまる場所」が意外に大切です。
玄関でも階段でも、手すりが自然な位置にあると身体を安定させやすいですよね。車でも同じように、足だけに頼るのではなく、手を添えられる場所があることで乗降動作を組み立てやすくなります。
ただし、グリップが付いていれば誰にでも使いやすいわけではありません。
実車では、座席の横に立った状態から自然に手を伸ばし、グリップを握ってみてください。
腕をいっぱいに伸ばさなければ届かない、肩を大きく上げなければ握れない、身体をひねって初めて届く、といった場合は、その人にとって理想的な位置とは言いにくくなります。
もう一つ、高齢の家族を乗せる場合に便利なのが後席両側スライドドアです。
スペーシアは左右両側にスライドドアを採用しており、スズキも狭い駐車場で乗り降りしやすい点を特徴として案内しています。スズキ
たとえば病院の駐車場を思い浮かべてみてください。
隣に車が止まっている状態で一般的な横開きドアを大きく開こうとすると、隣車との距離が気になります。高齢の家族を支えながら乗せたい場面では、ドアの開き具合まで気にしなければならず、付き添う側も落ち着きません。
スライドドアなら車体に沿って開くため、こうした場面で乗降スペースを確保しやすくなります。
私がスペーシアの後席乗降を評価するポイントは、ここです。
「低い一段」だけを用意したのではなく、「足を掛ける場所」「手を掛ける場所」「身体を通す場所」を一続きにしている。
この組み合わせが、345mmという数字以上に重要だと考えています。
HYBRID XとHYBRID Gではスライドドア装備にどんな違いがある?
高齢の家族の送迎を考えるなら、スペーシア HYBRID XとHYBRID Gではスライドドア関連装備に違いがあることも確認しておきましょう。
2026年9月4日時点のスズキ公式情報では、ワンアクションパワースライドドアは、左側がスペーシア HYBRID Gを除くモデル、右側がスペーシア HYBRID Gとスペーシア カスタム HYBRID GSを除くモデルに設定されています。
したがって、通常のスペーシアで比較すると、HYBRID Xは左右両側のワンアクションパワースライドドアを利用でき、HYBRID Gは手動スライドドアとなります。スズキ
また、両側のスライドドアには半ドアを防ぐスライドドアクローザーが用意されていますが、こちらもスペーシア HYBRID Gは対象外です。スズキ
後席の乗降に関係する装備を整理すると、次のようになります。
確認項目 スペーシア HYBRID X スペーシア HYBRID G
後席両側スライドドア あり あり
ワンアクションパワースライドドア 左右両側 なし
スライドドアクローザー 両側 なし
345mmリヤステップ・乗降グリップ 乗降性を実車確認 乗降性を実車確認
つまり、「スペーシアなら全部同じ」と考えないほうがいいんですね。
特に親御さんを病院へ送迎する場面では、家族が荷物を持ちながら本人の動きを見守ることもあるでしょう。
HYBRID Xなら、スイッチ操作で自動解錠と自動オープンができるため、ドア操作に取られる手間を減らしやすくなります。スズキはパワースライドドアの一時停止機能や予約ロック機能もHYBRID Gを除くモデルに設定しています。スズキ
ただし、私は「電動だから高齢者には必ずこちら」とまでは考えません。
本人が自分で乗り降りするなら、電動ドアの動きやスイッチ操作を理解しやすいかも大切です。
展示車を見るだけでなく、実際に本人がスイッチを押し、ドアが動き始め、停止し、閉まるまでの流れを経験しておくと安心でしょう。
なお、装備やグレード構成は今後変更される可能性があります。購入時には必ず最新の公式主要装備表と販売店で確認してください。
高齢者がスペーシアへ乗るなら「足・手・腰・降車」をどう確認する?
スペーシアの後席乗降を実車で確かめるなら、一度座って終わりではなく、普段の動きを再現しながら2〜3回乗り降りするのがおすすめです。
ここで見るのは「乗れたか、乗れなかったか」ではありません。
私なら、次のように確認します。
まず「足」です。
スライドドアの前に自然に立ち、345mmのリヤステップへいつもの動きで片足を載せます。
このとき、膝を思い切り持ち上げる必要がないか、勢いをつけて乗ろうとしていないか、身体が大きく左右へ傾いていないかを見ます。
何とか足が届く状態より、普通の動作で足が載る状態のほうが望ましいと私は考えます。
次が「手」です。
乗降グリップを握ったとき、腕を伸ばし切らずに身体を支えられるかを確認します。
握ったことで姿勢が安定するなら、グリップを有効に使えていると判断しやすいでしょう。反対に、グリップへ手を伸ばすために身体が傾くようなら、本人との位置関係をもう一度見直したいところです。
三つ目は「腰」です。
ステップから車内へ身体を移し、後席へ腰を下ろします。
ここでは、身体を強くひねらなければ座れない、片足が車外に残ったまま無理に腰を回している、座席へ倒れ込むように座る、といった動きが出ていないかを確認してください。
こうした動きがあれば、「乗れた」という結果だけで判断せず、別の車も含めて比較したほうが安心です。
そして最後が「降車」です。
私は、高齢者の車選びでは乗る動作と同じくらい、あるいはそれ以上に降りる動作を丁寧に確認したいと考えています。

スペーシアは乗るより「降りる動作」を確認したほうがいい?
高齢の家族が利用するなら、スペーシアでは座席から立ち上がり、足をステップへ載せ、地面へ降りるまでの動きを必ず確認してください。
乗車できたからといって、降車も同じように楽とは限りません。
降りるときは、座った姿勢から上半身を起こし、身体の向きを変え、車外へ足を出し、グリップなどを使いながら体重を移していきます。
このとき、私は次のような動きが出たら再確認します。
- 座席から立ち上がるために何度も反動をつける
- グリップを握っても身体が大きく揺れる
- 足先でステップの位置を探す時間が長い
- 地面へ降りる瞬間に急に身体を落とすような動きになる
- 「怖い」「降りにくい」「毎回これは大変そう」という本人の言葉が出る
これは医療上の診断基準ではありません。
あくまで車選びの際に、日常利用で無理が出そうな動作を見逃さないための実用的なチェックポイントです。
体格や身体の状態によって感じ方は大きく異なりますから、「この動きをしたら不適合」と機械的に決めるのではなく、本人の感覚を優先してください。
ここで345mmの意味も、より分かりやすくなります。
ステップが低ければ、車外から乗るときだけでなく、降りるときにも地面までの移動を細かく分けられる可能性があります。
しかし、実際の乗降性はステップだけで決まりません。
座面との位置関係、足の運び方、身体の向きを変えられるか、グリップを使えるかまで含めて初めて「この車は乗り降りしやすい」と判断できます。
スズキ自身も、345mmのリヤステップだけでなく、開口部と大型乗降グリップを組み合わせて乗降性を説明しています。スズキ
ですから購入前の確認でも、この三つをバラバラに見るのではなく、一つの動線として見たほうがいいんですね。
考察:スペーシアを高齢者向けに選ぶなら「できる」より「余裕」で判断したい
ここからは、長年お客様の車選びに向き合ってきたモーターライフ・アドバイザーとしての私見です。
スペーシアの後席乗降で評価したいのは、345mmという低床ステップ一つに頼らず、乗降グリップとスライドドアを組み合わせている点です。
車への乗り降りは、単に足を一段上げる作業ではありません。
「足を上げる」「身体を支える」「腰の向きを変える」「座る」「立つ」「地面へ降りる」という複数の動作が連続しています。
だから私は、カタログで「ステップ高345mm」を確認したら、その次はスペック表を閉じて、本人の身体で確かめてほしいと思っています。
判断基準はとてもシンプルです。
「できるか」ではなく、「余裕を残して繰り返せるか」。
一度だけ頑張って乗れた車と、特に意識しなくても2回、3回と乗り降りできた車なら、毎日の送迎に向くのは後者でしょう。
ここには、カタログでは分からない違いがあります。
たとえば週に何度も通院へ送迎するなら、雨の日もあります。買い物袋を持っている日もあります。本人が少し疲れている日もあるでしょう。
販売店で元気な日に一度だけ乗れたという事実より、そうした日常を想像して「この動作なら余裕がありそう」と感じられるかのほうが大切です。
さらに、数年単位で乗るなら、今の身体状態にぴったり合わせすぎないことも一つの考え方です。
現在すでに345mmのステップへ足を掛けることがギリギリなら、「今は乗れるから大丈夫」で決めず、他車も含めて比較してみる価値があります。
反対に、普段はグリップなしでも乗れ、必要なときにはグリップを使ってさらに安定できる。そのくらい余裕があれば、長く使ううえで安心材料になります。
また、本人が通常の後席へ乗り移ること自体に大きな負担を感じる場合は、一般仕様のスペーシアだけで考える必要はありません。
スズキには福祉車両「スペーシア 車いす移動車」が設定されています。
現行の車いす移動車にはHYBRID X、HYBRID Gが用意され、リヤシート付車も設定されています。テールゲート一体型スロープや電動ウインチを備え、車いすでの乗降を支援する設計です。スズキ+2スズキ+2
現行型をベースとしたスペーシア 車いす移動車は、2WD車が2023年12月22日、4WD車が2024年3月21日に発売されました。スズキ
つまり、「通常のスペーシアに何とか乗ってもらう」ことだけが選択肢ではないんですね。
高齢者のための車選びで大切なのは、車に身体を合わせることではなく、その人の身体と日常生活に合う乗り方を選ぶことだと私は考えています。
まとめ:スペーシアの345mmは「足・手・腰・降車」で確認しよう
現行スペーシアは、リヤステップ地上高345mm、大型乗降グリップ、後席両側スライドドアを組み合わせ、高齢者を含めた乗り降りに配慮しています。スズキ+1
さらにHYBRID Xでは、左右両側にワンアクションパワースライドドアが設定されており、家族が付き添う送迎でも使い勝手を高めやすい構成です。一方、HYBRID Gとは電動スライドドアやクローザーなどの装備に違いがあります。スズキ+1
ただし、345mmだけを見て「高齢者なら大丈夫」と決めるのはおすすめしません。
購入前には利用する本人が実車へ乗り、足・手・腰・降車の4項目を2〜3回確認してみてください。
足を無理に持ち上げないか。グリップへ自然に手が届くか。腰を強くひねらず座れるか。そして、立ち上がって不安なく降りられるか。
その4つが滑らかにつながって初めて、345mmという低床設計の良さが本人にとって生きてきます。
高齢の家族と長く使う車なら、「何とか乗れる」より「余裕を残して乗り降りできる」こと。
私は、それをスペーシア選びの最後の判断基準にしてほしいと思います。
よくある質問
スペーシアの後席ステップの高さは何mmですか?
2026年9月4日時点のスズキ公式情報では、リヤステップ地上高は345mmです。後席両側には大型乗降グリップも設置されています。スズキ
スペーシア HYBRID Xは両側電動スライドドアですか?
はい。現行スペーシア HYBRID Xでは、左右両側にワンアクションパワースライドドアが設定されています。HYBRID Gは装備内容が異なるため、購入時には最新の主要装備表を確認してください。スズキ
高齢の親がスペーシアに乗るとき、何を試せばいいですか?
345mmのステップへ自然に足を載せられるか、グリップへ無理なく手が届くか、腰を強くひねらず座れるか、降車時に安定して地面へ降りられるかを確認しましょう。
一度だけではなく、可能なら2〜3回繰り返し、「乗れるか」ではなく「日常的に余裕を持って続けられそうか」で判断するのがおすすめです。
杉原健一
モーターライフ・アドバイザー



コメント